2014 年 70 巻 2 号 p. I_319-I_324
2011年3月11日の巨大津波来襲以降,避難時間の確保や逃げ遅れた人々の避難空間の提供など,減災の視点にたったさまざまな対策や提案が成されている.筆者らは,危機的状況におかれた人々の避難空間,また,避難所等における更なる避難空間として利用していただくことを目的として,浮体式津波避難施設の提案・開発を進めている.同施設は流体力を受けて浮上・移動する可動構造物であり,それ故,津波作用時の強度や避難者の安全性の観点から,流体力作用直後の挙動を高精度に予測することは重要な課題である.本研究では,水理実験によって避難施設の並進運動および回転運動の特性を把握するとともに,得られた実験結果との比較から,回転運動を考慮した避難施設の運動予測手法の適用性について検討した.