愛称

本名以外の名前の一つ
あだ名から転送)

愛称(あいしょう)とは、とくに親しみを込めて対象を呼ぶために用いられる、本名以外の名前の一種である。あだな(渾名・綽名)、ニックネーム英語: nickname)、ペットネーム英語: petname)ともいう。

なお、「仇名・徒名」も「あだな」と読むが、こちらは悪評、事実無根の評判、男女関係についてのを意味する語で、「渾名・綽名」とは意味が異なる。

愛称の付け方

編集
  • 本名からつける
  • 身体の特徴からつける
  • 対象に関係する事柄からつける
  • 対象が関係したエピソードからつける
  • (対象が生物の場合)性格・気質からつける
  • 自己紹介の聞き間違いからつける

イヌに対する「ポチ」やネコに対する「タマ」など、本来の由来からはなれて、普遍的な愛称として定着しているものもある。

また、自衛隊の装備品にあるように現場での愛称[注 1]と防衛省がイベント的な意味合いで公募した愛称[注 2]がある。詳細は陸上自衛隊の装備品一覧を参照。

対象となる物事

編集

愛称がつけられる対象には、次のようなものがある。

人間

編集
  • あだ名、ニックネーム - 本名以外の呼称、本来の芸名以外の呼称。小泉今日子の“キョンキョン”、近藤真彦の“マッチ”、岡田有希子の“ユッコ”のように自然発生的につく場合が多いが、AKB48およびその姉妹グループのメンバーのように、呼んで欲しい愛称を先に決めて公表している例もある。大人数グループだと同音異字の名のメンバーが複数いる場合もあり、重複しないよう考案するのに一苦労することもある[注 3]。メンバー個々人でなくグループ全体を呼ぶ場合は「ちゃん」づけになる[注 4]
  • コートネーム - 女子スポーツの世界でのニックネーム。主にバスケットボールバレーボールでのみ使用され、他の集団競技には見られない。
  • TACネーム - アメリカ空軍や航空自衛隊の操縦士(主に戦闘機パイロット)につけられる個人の愛称。階級の上下に関係なく、無線で呼びやすくするため用いられている。
  • コールサイン - アメリカ海軍の操縦士につけられる個人の愛称。階級の上下に関係なく、無線で呼びやすくするため用いられている。参考:Aviator call sign

動物(ヒト以外)

編集
  • ペット - 飼い主によって付けられる名前。

乗り物

編集

組織

編集

サービス名

編集

地名

編集

アメリカではニューヨーク市を「ビッグ・アップル[注 5]ニューヨーク州を「エンパイアー・ステート」[注 6]オレゴン州カリフォルニア州ワシントン州西海岸三州を「レッドウッド・カーテンの向こう側」[注 7]コネチカット州ニューハンプシャー州バーモント州マサチューセッツ州メイン州ロードアイランド州(旧13植民地のうちのニューヨーク以北6州)を「ニューイングランド」と称するように、都市や州などに愛称をつける場合がある。

その他

編集

文学作品における愛称

編集

日本

編集
  • 夏目漱石坊っちゃん』は、「赤シャツ」、「野だいこ」、「マドンナ」、「山嵐」、「うらなり」など、あだ名が多い。
  • 源氏物語』の作中人物の名前も、本名、実名でなく、「光源氏」、「藤壺」、「紫の上」などいずれもあだ名である(当時の女性の地位は特に低く、実在の人物でも親の官職名で呼ばれる事がほとんど)。“源氏名”(げんじな)の呼称はここから生まれた。

中国

編集

愛称の考案・普及者

編集

広告業界においては、愛称を考案・普及させるのは、企業マスメディア、特定の商品や場所の宣伝に関わる者などある場合が多い。また商品やサービス、キャラクターの場合は公募や選考委員会によって決定される場合もある。

E電 のように、考案、宣伝されながらも定着しないままに終わる愛称もある。

ヨーロッパ諸言語

編集

ヨーロッパ諸言語においては多くの場合、特定の名(ファーストネーム)に対応する短縮形が存在する。日本ではこれを「愛称形」と表現する場合もあるが、現地では「通称」として公式文書への署名などに使用できるものであり、本項の主旨である「愛称」(ニックネーム、あだ名)とは意味を異にする。たとえば格闘家ボブ・サップ(本名は「ロバート・マルコム・サップ・ジュニア」)の「ボブ」は「ロバート」の短縮形を用いて「ボブ・サップ」と呼ばれる。また彼の愛称(ニックネーム)は野獣を意味する「ザ・ビースト」[注 8]である。ビル・ゲイツの本名も、ウィリアム・ヘンリー・ゲイツである。

ニックネームの語源

編集

「ニック」の語源は「…もまた」を意味する初期英語「eke」であり、渾名を「eke‐name」としていたものが、後に訛ったものとされる。

仇名・徒名・嫌なあだ名

編集

基本的には自己決定権によって自分に付けられた呼び名を拒否することが可能である。これは同意の範囲によって定めることができ、好意的な使われ方なら使用を許可でき、否定的や茶化す目的で使用するなら拒否することも可能であり[1]いじめ防止対策推進法名誉毀損肖像権の侵害など法的な対応も行われる[1]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 隊員により昔から付けられていた事実上の愛称。
  2. ^ 隊員からの募集でない点に着目。2001年以降導入装備品には公募愛称は存在しない。
  3. ^ AKB48は“はるか”だけで5人いた時期があり、“よこやまゆい”も2人いる。SKE48とNMB48、AKB48チーム8には“あかり”が1人ずつおり、全員が表記違いの「あかりん」。乃木坂46は“まい”が3人いた時期があった。
  4. ^ ribbonに対する「リボンちゃん」、CoCoに対する「ココちゃん」、乃木坂46に対する「乃木坂ちゃん」、欅坂46に対する「欅ちゃん」、日向坂46に対する「日向ちゃん」など。
  5. ^ : Big Apple
  6. ^ : Empire State
  7. ^ : behind the Redwood Curtain
  8. ^ : The Beast

出典

編集
  1. ^ a b イヤな「あだ名」はお断り!法的視点から見たその理由”. ダイヤモンド・オンライン (2022年11月18日). 2022年11月18日閲覧。

関連項目

編集
 
「〜ちゃん」 ネームバッチ

外部リンク

編集
  NODES