やぎ座β星は、やぎ座にある3等星のβ1星と6等星のβ2星からなる連星系である。

やぎ座β星[1]
Beta Capricorni
星座 やぎ座
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  20h 21m 00.67s[1]
赤緯 (Dec, δ) −14° 46′ 53.0″[1]
やぎ座の領域とβ星の位置
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やぎ座β1[2]
Beta1 Capricorni
仮符号・別名 ダビー[3], Dabih[4][5]
星座 やぎ座
見かけの等級 (mv) 3.08[2]
位置
元期:J2000.0[2]
赤経 (RA, α)  20h 21m 00.67326s[2]
赤緯 (Dec, δ) −14° 46′ 52.9791″[2]
赤方偏移 -0.000063[2]
視線速度 (Rv) -19.00km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: 44.92 ミリ秒/年[2]
赤緯: 7.38 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 9.98 ± 1.09ミリ秒[2]
(誤差10.9%)
距離 約 330 光年[注 1]
(約 100 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -1.9[注 2]
物理的性質
半径 35 R[6]
質量 <4 M[6]
自転速度 54 km/s[7]
スペクトル分類 F8V+A0[7]
光度 600 L[6]
表面温度 4,900 K[6]
色指数 (B-V) +0.79[7]
色指数 (U-B) +0.28[7]
色指数 (R-I) +0.50[7]
他のカタログでの名称
やぎ座9番星[2]
BD -15 5629[2]
FK5 762[2], HD 193495[2]
HIP 100345[2], HR 7776[2]
SAO 163481[2]
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やぎ座β2[8]
Beta2 Capricorni
星座 やぎ座
見かけの等級 (mv) 6.10[8]
位置
元期:J2000.0[8]
赤経 (RA, α)  20h 20m 46.54913s[8]
赤緯 (Dec, δ) −14° 47′ 05.6283″[8]
赤方偏移 -0.000059[8]
視線速度 (Rv) -17.60km/s[8]
固有運動 (μ) 赤経: 44.06 ミリ秒/年[8]
赤緯: -1.66 ミリ秒/年[8]
年周視差 (π) 9.61 ± 0.90ミリ秒[8]
(誤差9.4%)
距離 340 ± 30 光年[注 1]
(104 ± 10 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 1.0[注 2]
物理的性質
自転速度 97 km/s[7]
スペクトル分類 B9/A0III/IV [8]
光度 40 L[6]
色指数 (B-V) -0.02[7]
色指数 (U-B) -0.11[7]
他のカタログでの名称
BD -15 5626[8]
HD 193452[8]
HIP 100325[8], HR 7775[8]
SAO 163471[8]
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連星系

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β1星とβ2星は地球からは3.4離れており、双眼鏡を使えば容易に分離して見ることができる[6]。2つの星は少なくとも21,000au離れた軌道を100万年以上かけて互いに周回している[6]。そして、β1星、β2星のそれぞれがまた連星系を成しており、全体として少なくとも5つ以上の恒星から構成されている[6]

β1星あるいはAは、K型の巨星AaがB型の伴星Ab1を従えており、2つの星は1,374日の周期で周回している[6]。Ab1はさらに0.1auの軌道を8.7日の周期で周る伴星Ab2を持っている[6]。Aaは3.1等星、Abは(Ab1とAb2を合わせて)4.9等星である[9][注 3]

β2星あるいはBは、B型の巨星または準巨星Baが、30au離れた軌道を周るF型主系列星を伴星Bbに持っている[6]。Baは6.16等星、Bbは9.14等星である[9]。Baは水銀・マンガン星で、大気の組成に水銀マンガンを多く含んでおり、白金ビスマスに至っては太陽の10万倍のレベルで含有率が高い[6]

AとBは205秒離れているが、Aから226秒(Bから396秒)離れて8.83等星のCが、Aから116秒離れて13.7等星のDが、Dから4秒離れて14.4等星のEがある[9](1秒は100天文単位に相当)。ただしこれらは、AあるいはBと重力的に結びついていることが固有運動などで示されているわけではない[9]

名称

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学名は β1 Capricoruni (略称は β1 Cap) 。固有名のダビー[3] (Dabih[4][5]) はアラビア語で「屠殺者の幸運(の星)」を意味する saʿd al-dhābiḥ に由来する[4]。この屠殺者が何を意味するのかは伝わっていない[4]。2016年8月21日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、β1星Aaの固有名として Dabih を正式に承認した[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c d パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ a b 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ ただし、英語版ウィキペディアは、出典なしだがAb1が7.20等星としている。だとすると、これより暗いAb2を合わせても、Abは6.45等より明るくはならない。

出典

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  1. ^ a b c d SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet Cap. 2016年11月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet01 Cap. 2016年11月20日閲覧。
  3. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、179頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  4. ^ a b c d Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 25. ISBN 978-1-931559-44-7 
  5. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月20日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l Jim Kaler. “Dabih”. STARS. 2016年11月20日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h 輝星星表第5版
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet02 Cap. 2016年11月20日閲覧。
  9. ^ a b c d The Washington Double Star Catalog”. United States Naval Observatory. 2020年2月7日閲覧。
  NODES
Project 3