イソヒヨドリ

ヒタキ科に分類される鳥の一種

イソヒヨドリ(磯鵯、学名Monticola solitarius Linnaeus, 1758)は、スズメ目ヒタキ科分類される鳥の一[1]アフリカユーラシア大陸に広く分布し、和名どおり海岸岩山などで多く見られる。

イソヒヨドリ
イソヒヨドリのオス、菅島、三重県鳥羽市にて(2015年2月28日撮影)
イソヒヨドリ Monticola solitarius(オス)
イソヒヨドリのメス、菅島、三重県鳥羽市にて(2021年12月14日撮影)
イソヒヨドリ Monticola solitarius(メス)
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: ヒタキ科 Muscicapidae
: イソヒヨドリ属 Monticola
: イソヒヨドリ M. solitarius
学名
Monticola solitarius Linnaeus, 1758
英名
Blue Rock Thrush

や岩場に多く生息し、外見がヒヨドリに似ていることからこの和名がついているが、鳥類学上ではヒヨドリ科ではなくヒタキ科に分類されており、まったく別の鳥である[2]

静岡県伊東市三重県伊勢市において市の鳥に指定されている。

分布

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アフリカからユーラシア大陸インドネシアニューギニアまで広く分布する。

形態

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体長は23cmほどで、ヒヨドリよりは少し小さい。体色は亜種によって異なるが、日本に分布する亜種イソヒヨドリ M. s. philippensis では、オスは頭から喉および背部が暗青色、胸腹部がレンガ色のような赤褐色、翼がと鮮やかに色分けされる。一方、メスは全身がうずら模様の茶褐色で薄い水色が入っている。

のような模様があり、雌雄の区別は容易であるが、若鳥のオスはメスの個体と近似の羽色をしており、雌雄の区別がしづらい。繁殖期が近づくと、正面の腹の下部からだんだん赤褐色に変色していく。

生態

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イソヒヨドリは世界的には標高2,000-4,000mの高山の岩石地帯に生息する鳥である。

日本ではかつてはなど海岸周辺が主要な生息地域であったが、1980年頃から内陸部の地方都市で繁殖が確認されるようになり、2000年代に入ってその数はさらに増加している。2019年現在では関東、近畿など大都市圏で見かけることも珍しくなく[3]、電線や看板に留まっていたり、住宅地やビルの間を飛び回る姿を見かけたり、綺麗な鳴き声を聞くことができる[4]。オスは青い部分が多いため、「幸せの青い鳥」と呼ばれることもある。

おもに地上で餌を探し、肉食中心。甲殻類昆虫類トカゲなど、いろいろな小動物を捕食する。カラスなどと同じく人の食べ残しも食べるためカラス、スズメの存在しない小笠原諸島においては、人家の周囲でイソヒヨドリがゴミ捨て場漁りなどをしている光景も見られる。

単独行動で、群れは作らない。つがいでさえ距離を取ることがある。

春にはヒタキ科特有の声量のある美声でさえずる。その声音と節回しは複雑である。また、繁殖期以外でも天気の良い日はさえずることが知られている。また、警戒音声を発する時にはカエルの鳴き声によく似た「ケケケケケ」という声を発する。

通常は岩の隙間などに営巣するが、都市部ではビルの屋上、屋根の隙間、通風口などに営巣することもある。

産卵は地域によって差があるが、本州では5月初旬ごろに行われる。巣は枯れた雑草などの寄せ集めである。通常は5、6個程度の卵を産む。雛は濃い鼠色をし、2週間程度で巣立つ。この間、雄のみが餌を運ぶ。

亜種

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南西諸島などに稀に渡来する亜種アオハライソヒヨドリ M. s. pandoo のオスは全身青色である。

  1. Monticola solitarius philippensis, イソヒヨドリ、Red-bellied Rock Thrush
  2. Monticola solitarius pandoo, アオハライソヒヨドリ、Blue Rock Thrush
  3. Monticola solitarius madoci
  4. Monticola solitarius longirostris
  5. Monticola solitarius solitarius

脚注

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  1. ^ 山形則男・吉野俊幸・五百澤日丸=写真、五百澤日丸・山形則男=解説『新訂 日本の鳥550 山野の鳥』文一総合出版、2014年、285頁。ISBN 978-4829984000 
  2. ^ 安部直哉『山溪名前図鑑 野鳥の名前』山と溪谷社、2008年、47頁。ISBN 978-4-635-07017-1 
  3. ^ 柴田佳秀「鳥の都会暮らしはじめました#17今いちばん目が離せない‐イソヒヨドリ」『BIRDER 2019 Augst vol.391』、文一総合出版、2019年、54頁。 
  4. ^ イソヒヨドリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動”. サントリーの愛鳥活動. 2020年8月31日閲覧。

関連項目

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