エラトー

ギリシア神話に登場する文芸の神。ムーサイの1神。独吟叙事詩を司る

エラトー古希: Ἐρατώ, Eratō)は、ギリシア神話に登場する女神ニュンペーである。長母音を省略してエラトとも表記される。主に、

ヨハン・ハインリヒ・ティシュバインが1779年に描いた『恋愛詩のミューズ、エラトーの肖像』。

の2人が知られている。以下に説明する。

ムーサの1人

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このエラトーは、文芸の女神ムーサたち(ムーサイ)の1柱で、すべてのムーサたちと同じく大神ゼウスムネーモシュネーの娘で、カリオペークレイオーメルポメネーエウテルペーテルプシコラータレイアポリュムニアーウーラニアーと姉妹[1][2][3] 。抒情詩、歌唱、舞踏により愛情を表現する女神である。

「独唱歌」(独吟叙事詩)を司る。表される際の持ち物は、竪琴だが、この様にムーサたちが細分化されたのはローマ時代のかなり後期になってからである。他のムーサたちと同様、単独の神話はほとんど無い。音楽家タミュリスはエラトーの子といわれることがある[4]

ニュムペーのエラトー

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このエラトーは、アルカディア地方の木のニュムペードリュアス)である[5]アルカスと結婚し[5][6][7]アザーンアペイダースエラトスを生んだ[5][7]

エラトーはもともとリュコスラ近くのデスポイナ女神の神域のパーン神域に仕えた巫女であり、参拝者に神託を伝える役目を果たしていた。しかしパーンの神域が神託を行っていたのは古い時代のことで、パウサニアースの時代には廃れてしまっていた[6]

その他のエラトー

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ギャラリー

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脚注

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  1. ^ ヘーシオドス、76行-79行。
  2. ^ ヘーシオドス、915行-917行。
  3. ^ アポロドーロス、1巻3・1。
  4. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.147a。
  5. ^ a b c パウサニアス、8巻4・2。
  6. ^ a b パウサニアス、8巻37・11。
  7. ^ a b パウサニアス、10巻9・5。
  8. ^ アポロドーロス、1巻2・7。
  9. ^ アポロドーロス、2巻1・5。
  10. ^ アポロドーロス、2巻7・8。

参考文献

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