キベリタテハ(黄縁立羽、Nymphalis antiopa)は、タテハチョウ科に属するチョウの一種。北半球温帯から寒帯に広く分布するタテハチョウで、和名通りの外縁が黄色になる。

キベリタテハ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: タテハチョウ科 Nymphalidae
: タテハチョウ族 Nymphalini
: タテハチョウ属 Nymphalis
亜属 : Euvanessa
: キベリタテハ N. antiopa
学名
Nymphalis antiopa
(Linnaeus1758)
和名
キベリタテハ
英名
Mourning Cloak (北米)
Camberwell Beauty (英)
亜種

概要

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開張7cm成虫の前翅長は35-40mmほど。翅表外縁には黄色の太い縁取りがあり、そのすぐ内側に水色の斑紋が一列に並ぶ。つけ根に近い部分は小豆色で、ベルベットのような光沢がある。また、前翅の前縁にはヒオドシチョウに似た白斑がある。翅の表側に限ると類似種はおらず、他種との区別がつき易い。一方、翅の裏は灰黒色で同心円状の細かいしま模様があり、クジャクチョウルリタテハなどに似る。ただし本種は裏側外縁にも黄白色の太い縁取りがある。

ヨーロッパから中央アジアシベリア北アメリカメキシコまで、北半球の温帯-寒帯に広く分布する。日本では1000m以上の山地にすみ中部地方の高山から福島県以北にかけての冷涼な地域に分布し、北方系の種類として位置づけられる。なお、日本産は亜種 N. a. asopos (Fruhstorfer, 1909) として分類されている。

年1回発生、成虫越冬という生態は近縁のヒオドシチョウの仲間に共通する。ただし、本種の新成虫は8-9月頃に発生し、ヒオドシチョウやクジャクチョウよりやや遅い。成虫は林道や湿地などに現れ、小刻みに羽ばたいて機敏に飛ぶ。花に来ることはなく、もっぱら樹液や腐った果実、獣などに訪れて汁を吸う。吸水時などは翅を広げて止まることが多い。卵は食草の枝に指輪状に固めて産み付ける。

幼虫カバノキ科ダケカンバヤナギ科ドロノキオオバヤナギなどの葉を食べる。

関連項目

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参考文献

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  • 朝比奈正二郎監修 『野外観察図鑑1 昆虫』 旺文社ISBN 4-01-072421-8
  • 伊藤修四郎他監修 『学生版 日本昆虫図鑑』 北隆館ISBN 4-8326-0040-0
  • 猪又敏男編・解説、松本克臣写真 『蝶』 山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年、ISBN 4-635-06062-4
  • 木野田君公 『札幌の昆虫』 北海道大学出版会、2006年、ISBN 4-8329-1391-3
  • 牧林功解説 『日本の蝶』成美堂出版、1994年、ISBN 4-415-08045-6
  • 日本環境動物昆虫学会編『チョウの調べ方』文教出版、1998年、ISBN 4-938489-11-2

外部リンク

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