クリューセース
クリューセース(古希: Χρύσης, Chrȳsēs)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してクリュセスとも表記される。主に、
が知られている。以下に順に説明する。
アポローンの神官
編集このクリューセースは、クリューセー市のアポローンの神官で、娘クリューセーイスの父。
トロイア戦争の際、娘がギリシア軍の捕虜となったため、クリューセースは身代金を持ってギリシアの陣地を訪れ、娘の解放を乞ったが、クリューセーイスを手放したがらないアガメムノーンは彼を乱暴に追い返した。このためクリューセースはアポローンに祈りを捧げ、ギリシア軍に報復することを願うと、アポローンは怒ってギリシア軍に対し9日間死の矢を降らせ、多くのギリシア兵が疫病で死んだ。アガメムノーンはしぶしぶクリューセーイスを返すことに同意したが、代わりにアキレウスの捕虜ブリーセーイスを奪ったため、怒ったアキレウスは戦場に出ることを拒否した。オデュッセウスが船で娘を返しに来ると、クリューセースはアポローンに犠牲を捧げ、怒りを解くことを願ったので、ギリシア軍は疫病から解放された[1]。
クリューセーイスの子
編集このクリューセースは、クリューセーイスとアガメムノーンの子。上記のクリューセースの孫にあたる。
ギリシア軍の捕虜になっていたクリューセーイスは解放されて父のもとに返されたとき、すでにアガメムノーンの子を身ごもっており、生まれるとアポローンの子として育てた。後にタウリスのトアース王のもとからオレステースとイーピゲネイアが逃げてきたとき、クリューセースは自分が彼らと同じアガメムノーンの子であると母から教えられ、オレステースと協力してトアースを殺し、タウリスからアルテミス神像を持ち出し、ミュケーナイに帰ったという[2]。
ミーノースの子
編集このクリューセースは、クレーテー島の王ミーノースとニュムペーのパレイアとの子で、エウリュメドーン、ネーパリオーン、ピロラーオスと兄弟。パロス島の住人で、ヘーラクレースがパロス島に立ち寄ったときにヘーラクレースの仲間を殺したため、兄弟とともに殺された[3]。
ミニュアースの父
編集このクリューセースは、シーシュポスの子ハルモスの娘クリューソゴネイアと海神ポセイドーンの子で、ミニュアースの父。プレギュアースの後を継いでオルコメノスの王になった[4]。