ジャスミン(耶悉茗[1]、素馨[1]英語: jasmine [ˈdʒæzmɨn, ˈdʒæsmɨn])は、モクセイ科ソケイ属(素馨属、学名: Jasminum)の植物の総称。ソケイ属の植物は世界で約300が知られている。

ソケイ属
Jasminum polyanthum
ハゴロモジャスミン Jasminum polyanthum
2004年
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: シソ目 Lamiales
: モクセイ科 Oleaceae
: Jasmineae
: ソケイ属 Jasminum
学名
Jasminum
L.
タイプ種
ソケイ Jasminum officinale
L.
和名
ソケイ属(素馨属)
英名
jasmine
  • J. sect. Alternifolia
  • J. sect. Primulina
  • J. sect. Jasminum
  • J. sect. Trifoliata
  • J. sect. Unifoliolata

ほとんどの種は白色または黄色を咲かせる(色についてはジャスミン (色)参照)。いくつかの種では花は強い芳香を持ち、香水ジャスミン茶(茉莉花茶)の原料として使用される。オウバイ(黄梅)もこれに含まれるが、香りはない。主な香気成分は、ジャスモン酸メチルである。

ジャスミンとソケイ属の中国名はそれぞれ「素馨」「素馨属」。サンスクリットmallikā(マリカー)を語源とする「茉莉」(まつり)はソケイ属の数種に用いられる。ソケイ(素馨、中国名:素馨花)やマツリカ(茉莉花、中国名:双瓣茉莉)はソケイ属の一種。

ジャスミン(ヤースミーン)という語はペルシャ語に由来し、中近東から欧米では女性の名前としても用いられる(ジャスミン (曖昧さ回避)を参照)。

分布・生育地

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アジアからアフリカ熱帯あるいは亜熱帯地方が原産である。

利用

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ほとんどの種が観賞用として栽培されている。栽培の歴史は古く、古代エジプトですでに行われていたといわれている。ソケイとマツリカの2種については、香料原料として大規模な栽培が行われている。

ソケイは16世紀中ごろからフランスグラースで香料原料として大規模に栽培されるようになった。現在では、主な産地はエジプトやモロッコインドなどに移っている。花は夜間に開くので、開ききった明け方に人手により摘み取られ、有機溶媒による抽出が行われる。抽出後、溶媒を除去すると「コンクリート」と呼ばれるワックス状の芳香を持つ固体が得られる。これをエタノールで再度抽出し、エタノールを除去したものが、香料として使用される「ジャスミン・アブソリュート」である。花約700キログラムからジャスミン・アブソリュート1キログラムが得られる。ジャスミン・アブソリュートを使った香水としては、ジャン・パトゥ英語版社の「Joy」が著名である。

化粧品・医学部外品成分の香料の中で、ジャスミン・アブソリュートはアレルゲン陽性率が高く、注意を要する[2]

ジャスミンの花にはいくつかの香気成分が含まれているが、その中でもジャスミンの香りを特徴づける独特な香気成分であるcis-ジャスモンは、未だ工業的生産法は確立されておらず、自然の花から抽出し精製するしか方法がないため、cis-ジャスモンを主原料とした香料は非常に高価である。それと比べ、工業的生産法が確立されているジャスモン酸メチル系の香料は安価で入手可能で、香水やアロマオイルなどとして一般に広く出回っている。16世紀中国の官能小説『金瓶梅』には、女がジャスミンの蕊(めしべ、おしべ)とバターとおしろいを混ぜて体中に塗り付け男を楽しませる場面が登場する[3]

茉莉花茶

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緑茶またはウーロン茶に、マツリカを用いて香りをつけたのが茉莉花茶である。茉莉花茶は、中国においてもっとも有名な茶の香りである[4]。中国福州市が産地として有名であり、ジャスミンの花は福州市の市花である。

マツリカは中国南部、台湾インドネシアなどで栽培されており、ジャスミン茶の着香に使用される。マツリカも夜間に花が開くが、摘み取りはまだつぼみの状態の昼間のうちに行われる。これを夜間に花が開き始めたところで、茶葉と混合して着香する。

栽培

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熱帯地方原産の植物であるため、中緯度以北では温室が必要な種が多いが、シロモッコウハゴロモジャスミン、オウバイ(黄梅)は耐寒性があり、普通に露地栽培することができる。肥沃で水はけのよい土地を好む。ソケイやマツリカ、シロモッコウなどはつる植物であるので、支柱が必要である。支柱があると2 - 3メートル程度の高さまで伸びる。通常は挿し木で増やす。

主な種

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ジャスミンと呼ばれるその他の植物

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ジャスミンと名のつく植物は多くのにあり、本来のジャスミンとは系統の遠いものも多い。

文化的側面

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2011年のチュニジア革命は、別名ジャスミン革命と呼ばれている。

いくつかの国では、ジャスミンを国花として定めている。

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b 松村明 編「ジャスミン」『大辞林 4.0三省堂、2019年。 
  2. ^ 皆本景子「化粧品, 医薬部外品成分中の皮膚感作性物質と接触皮膚炎」日本衞生學雜誌 65(1), 20-29, 2010-01-15, 一般社団法人日本衛生学会
  3. ^ 潘金蓮論 : 歪みゆく性に見る内なる叫び川島優子 (広島大学文学部中国中世文学研究会, 2004-10-23) 中国中世文学研究. (45・46)
  4. ^ Gong, Wen. Lifestyle in China. 五洲传播出版社, 2007. Retrieved October 23, 2010, from [1]
  5. ^ Anabel Bachour (23 February 2017). “Damascus, the City of Jasmine”. Peacock Plume, Student Media, The American University of Paris, France. 26 May 2019閲覧。
  6. ^ Keputusan Presiden No. 4 Tahun 1993 Archived 2012-04-02 at the Wayback Machine.
  7. ^ Symbolic and spiritual meaning of jasmine flowers” (英語). Gardening Tips | Flower Wiki (2017年1月3日). 2019年4月25日閲覧。

参考文献

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  • 茂木透 写真「ソケイ属 Jasminum」『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』高橋秀男勝山輝男 監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年、296-297頁。ISBN 4-635-07005-0 

関連項目

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外部リンク

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