ハギ

マメ科ハギ属の総称

ハギ(萩、胡枝花 Lespedeza)は、マメ科ハギ属の総称。落葉低木。七草のひとつで、花期は7月から10月

ハギ
ヤマハギ (Lespedeza bicolor)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ヌスビトハギ連 Desmodieae
亜連 : ハギ亜連 Lespedezinae
: ハギ属 Lespedeza
和名
ハギ(萩)
英名
Bush clover, Japanese clover
亜属
  • ハギ亜属 subgenus Lespedeza
  • ヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza

名称

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「萩」は本来はヨモギ類(あるいは特定の種を挙げる資料もある)の意味で、「はぎ」は国訓である。牧野富太郎によるとこれは「+秋」という会意による国字であり、ヨモギ類の意味の「萩」とは同形ではあるが別字という[1]

「芽子」「生芽」とも字を当てる。

分布

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東アジア南アジア北米東部、オーストラリアの、温帯亜熱帯

特徴

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数種あるが、いずれも比較的よく似た外見である。

背の低い落葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。は木質化して固くなるが、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出る。直立せず、先端はややしだれる。

葉は3出複葉、秋に枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。果実は種子を1つだけ含み、楕円形で扁平。

荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事跡などに一面に生えることがある。

分類

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範囲

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ハギ属は当初、Maximowicz (1873) により、現在のハギ属・ハナハギ属 Campylotropisヤハズソウ属 Kummerowia にわたる範囲に定義された。

現在それらは3属に分けられ、それらをまとめる分類群としてハギ亜連 Lespedezinae がある。

亜属・節

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ハギ属は、北米のハギ亜属 subgenus Lespedeza と、アジアのヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza に分かれる[2]。芽生えの第1節の葉が、ハギ亜属では互生、ヤマハギ亜属では対生する[2]。従来は、アジア・北米のハギ亜属とアジアのヤマハギ亜属に分けられていたが、この分類は系統を反映していない[2]

2亜属は、それぞれ2節ずつ、計4節に分かれる[2]。それらには計44種(および43雑種)が含まれる[2]

  • ハギ属 Lespedeza
    • ハギ亜属 subgenus Lespedeza - 北米。11種。
      • ハギ節 section Lespedeza - 7種。
      • section Lespedezariae Torr. & A. Gray - 4種。
    • ヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza (Maxim.)H. Ohashi - アジアの系統。33種。
      • ヤマハギ節 section Macrolespedeza Maxim. - 9種。
      • シベリアメドハギ節 section Junceae (Maxim.) H. Ohashi & T. Nemoto - 24種。

代表的なものをあげる。

※ このほか、マメ科植物で、ハギの名を持ったものにはメドハギ・ヤブハギ・ヌスビトハギ・ネコハギなど多くのものがある。他に、ヒメハギはマメ科ではなく、ヒメハギ科に属するが、花の外見がややマメ科に似る。

主な雑種

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  • Lespedeza × acuticarpa
  • Lespedeza × brittonii
  • Lespedeza × divaricata
  • Lespedeza × intermixta
  • Lespedeza × longifolia
  • Lespedeza × manniana
  • Lespedeza × neglecta
  • Lespedeza × nuttallii
  • Lespedeza × oblongifolia
  • Lespedeza × simulata

利用

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緑化資材

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ハギは、マメ科植物特有の根粒菌との共生のおかげで、痩せた土地でも良く育つ特性がある。この特徴を買われ、古く[いつ?]から道路斜面、治山砂防など現場で緑化資材として活用されている。現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、斜面緑化のための吹付資材として用いられている。

飼料

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日本では戦後まもなくまでは、家畜の冬季の飼料として、萩の葉が利用された。秋に山から枝ごと刈ってきて、乾燥させて葉だけを取り、干し草などに混ぜ込んで与えた。

文化

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和歌

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古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもある。秋萩[3]と牡鹿のペアの歌が多い。

民俗

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  • 中秋の名月に萩・すすきを月見団子と共に月に供える風習がある。萩もすすきも、昔の日本では山野に自生する身近な植物であった。
  • 花札では7月の絵柄として、「萩に」、「萩に短冊」、カス2枚が描かれる。

文芸

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音楽

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  • 『萩の露』(地歌箏曲) 幾山検校作曲。幕末に京都で活躍した盲人音楽家幾山検校の代表曲。恋に破れ涙に暮れる自分を露の萩にたとえ、秋の風物を詠み込んだ「手事もの」曲。
  • 『萩桔梗』(端唄

シンボリズム

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都道府県の花

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市区町村の花

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その他

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出典

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  1. ^ 牧野富太郎「中国の椿の字、日本の椿の字」『植物一日一題』1998(初出1953)。 
  2. ^ a b c d e 大橋広好; 根本智行 (2014), “マメ科ハギ属の新分類体系 A New System of Lespedeza (Leguminosae Tribe Desmodieae)”, 植物研究雑誌 89 (1) 
  3. ^ 秋萩』 - コトバンク
  4. ^ 高円宮家 - 宮内庁2020年令和2年)10月9日閲覧。
  5. ^ 学章・ロゴマーク・スクールカラー | 東北大学について

外部リンク

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