ブッカー賞
ブッカー賞(ブッカーしょう、Booker Prize)はイギリスの文学賞。世界的に権威のある文学賞の一つ。the Bookerなどの通称もある。
The Booker Prize | |
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会場 | イギリスロンドン |
報酬 | £50,000 |
初回 | 1969年 |
公式サイト | www |
その年に出版された最も優れた長編小説に与えられる。選考対象は、英語で書かれた長編小説。賞金は50000ポンド(2002年までは21000ポンド)。
1968年、フランスのゴンクール賞のような賞をイギリスにもという提案により、イギリスの小売業者ブッカー・マコンネル社の後援のもとブッカー・マコンネル賞 (The Booker-McConnell Prize for Fiction) として創設された。当時はイギリス連邦およびアイルランド国籍の著者に限られていた。創設に携わった編集者のトム・マシュラーは、ソサエティ・オブ・ヤング・パブリッシャーズでの話がきっかけだったとしている[1]。
2002年からは運営がブッカー賞財団に移転、財団のタイトルスポンサーは投資会社のマン・グループである。それに伴い、名称はマン・ブッカー賞 (The Man Booker Prize for Fiction) に変更した。
2019年にはアメリカ人の実業家マイケル・モリッツの基金がスポンサーとなり、名称はブッカー賞に変更され、アメリカ国籍の著者も対象となった[2]。
1992年にはロシア・ブッカー賞、2005年にはマン・ブッカー国際賞 (The Man Booker International Prize)が設立されている。2019年からは国際ブッカー賞 (The International Booker Prize)に改称されている。
1993年にブッカー賞中のブッカー賞 (Booker of Bookers Prize) として、サルマン・ラシュディの『真夜中の子供たち』(Midnight's Children、1981年受賞)が選ばれた。
選考
編集ブッカー賞が高い評価を得ている要因の一つに、その選考の仕方がある。
賞選考は、諮問委員会が選考委員を決定するところから始まるが、選考委員は毎年変わり、2度選ばれることは滅多にない。諮問委員会は財団より選出された作家、出版社2社、エージェント、書店、図書館と議長より構成され、選考委員は文芸評論家、学者、編集者、小説家、高名な人物などから、性別などのバランスに注意して選出される。
次に、選考委員による審査の前段階として、審査の対象となる作品が選出される。その年に出版された小説から、イギリスの出版社が最高2作まで申請でき、また、過去のブッカー賞受賞者の全著作、過去10年間のブッカー賞候補者の全著作は自動的に対象とされる。また、選考委員も別途、その年に出版された小説のうち、最低8作、最高12作を推薦する。さらに、出版社は選考委員に考慮のうちに入れてほしい作品を最高5作をあげることができる。この時点では何が選ばれたかは極秘とされる。
選考委員は、審査の対象として選出された作品すべてを読んだ上で、審査を行う。審査は3段階で、まず候補作 (Longlist)、次いで6作の最終候補作 (Shortlist)、そして受賞作が発表される。最終候補者には、2500ポンドと副賞が授与される。
2019年時点でジョン・クッツェー、ピーター・ケアリー、ヒラリー・マンテル、マーガレット・アトウッドが過去2回受賞している。
受賞作一覧
編集1960年代
編集- 1969年
- Something to Answer for, P・H・ニュービィ
- 最終候補作:
-
- Figures in a Landscape, バリー・イングランド
- Impossible Object, ニコラス・モスレー
- The Nice and the Good, アイリス・マードック(「愛の軌跡」)
- The Public Image, ミュリエル・スパーク
- From Scenes like These, ゴードン・ウイリアムズ
1970年代
編集- 1970年
- The Elected Member, バーニス・ルーベンス(『選ばれし者』鈴木和子訳、ヤマダメディカルシェアリング創流社、1996年)
- (遺贈)Troubles, J. G. Farrell
- 最終候補作:
-
- John Brown's Body, A・L・バーカー
- Eva Trout, エリザベス・ボウエン(「エヴァ・トラウト」)
- Bruno's Dream, アイリス・マードック(「ブルーノーの夢」)
- Mrs Eckdorf in O'Neill's Hotel, ウィリアム・トレヴァー
- The Conjunction, T・W・ウィーラー
- 1971年
- In a Free State, V・S・ナイポール(『自由の国で』安引弘訳、草思社、2007年)
- 最終候補作:
-
- The Big Chapel, トマス・キルロイ
- Briefing for a Descent into Hell, ドリス・レッシング
- St Urbain's Horseman, モルデカイ・リッチラー(「セント・アーベインの騎士」)
- Goshawk Squadron, デレク・ロビンソン
- Mrs Palfrey at the Claremont, エリザベス・テイラー(注:映画女優とは別人物)
- 1972年
- G., ジョン・バージャー(『G.』栗原行雄訳、新潮社、1975年)
- 最終候補作:
-
- Bird of Night, スーザン・ヒル(「君を守って」)
- The Chant of Jimmie Blacksmith, トマス・キニーリー
- Pasmore, デイヴィッド・ストーリー
- 1973年
- The Siege of Krishnapur, ジェイムズ・G・ファレル(『セポイの反乱』岩元巌訳、新潮社、1977年)
- 最終候補作:
-
- The Dressmaker, ベリル・ベインブリッジ
- The Green Equinox, エリザベス・メイヴァー
- The Black Prince, アイリス・マードック(「ブラック・プリンス」)
- 1974年
- The Conservationist, ナディン・ゴーディマー
- Holiday, スタンレー・ミドルトン
- 最終候補作:
-
- Ending Up, キングズリー・エイミス
- The Bottle Factory Outing, ベリル・ベインブリッジ
- In Their Wisdom, C・P・スノー
- 1975年
- Heat and Dust, ルース・プラワー・ジャブヴァーラ(「熱砂の日」[注 1]」)
- 最終候補作:
-
- Gossip from the Forest, トマス・キニーリー
- 1976年
- Saville, デイヴィッド・ストーリー(『サヴィルの青春』橋口稔訳、集英社、1983年)
- 最終候補作:
-
- An Instant in the Wind, アンドレ・ブリンク
- Rising, R・C・ハッチンソン
- The Doctor's Wife, ブライアン・ムーア
- King Fisher Lives, ジュリアン・ラズボーン
- The Children of Dynmouth, ウィリアム・トレヴァー
- 1977年
- Staying On, ポール・スコット
- 最終候補作:
-
- Peter Smart's Confessions, ポール・ベイリー
- Great Granny Webster, キャロライン・ブラックウッド
- Shadows on our Skin, ジェニファー・ジョンストン
- The Road to Lichfield, ペネロピ・ライヴリー
- Quartet in Autumn, バーバラ・ピム(「秋の四重奏」)
- 1978年
- The Sea, the Sea, アイリス・マードック(『海よ、海』蛭川久康訳、集英社、1982年)
- 最終候補作:
-
- Jake's Thing, キングズリー・エイミス(「ジェイク先生の性的冒険」)
- Rumours of Rain, アンドレ・ブリンク
- The Bookshop, ペネロピ・フィッツジェラルド
- God on the Rocks, ジェイン・ガーダム
- A Five-Year Sentence, バーニス・ルーベンス(「ミス・ホーキンズの五年日記」)
- 1979年
- Offshore, ペネロピ・フィッツジェラルド(『テムズ河の人々』青木由紀子訳、晶文社、1981年)
- 最終候補作:
-
- Confederates, トマス・キニーリー
- A Bend in the River, V・S・ナイポール(「暗い河」)
- Joseph, ジュリアン・ラズボーン
- Praxis, フェイ・ウェルドン
1980年代
編集- 1980年
- Rites of Passage, ウィリアム・ゴールディング(『通過儀礼』伊藤豊治訳、開文社出版、2001年)
- 最終候補作:
-
- Earthly Powers, アントニイ・バージェス
- Clear Light of Day, アニター・デサイ
- The Beggar Maid, アリス・マンロー
- No Country for Young, ジュリアン・オフェイラン
- Pascali's Island, バリー・アンズワース(「パスカリの島」)
- A Month in the Country, J・L・カー(「ひと月の夏」)
- 1981年
- Midnight's Children, サルマン・ラシュディ(『真夜中の子供たち』寺門泰彦訳、早川書房、1989年)
- 1982年
- Schindler's Ark, トマス・キニーリー(『シンドラーズ・リスト 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人』幾野宏訳、新潮社、1989年)
- 最終候補作:
-
- Silence Among the Weapons, ジョン・アーデン
- An Ice-Cream War, ウィリアム・ボイド(「アイスクリーム戦争」)
- Constance or Solitary, ロレンス・ダレル
- The 27th Kingdom, アリス・トマス・エリス
- Sour Sweet, ティモシー・モー(「サワースィート」)
- 1983年
- Life & Times of Michael K, J・M・クッツェー(『マイケル・K』くぼたのぞみ訳、筑摩書房、1989年)
- 最終候補作:
-
- Rates of Exchange, マルカム・ブラッドベリ
- Flying to Nowhere, ジョン・フラー(「巡礼たちが消えていく」)
- The Illusionist, アニタ・メイソン
- Shame, サルマン・ラシュディ(「恥」)
- Waterland, グレアム・スウィフト(「ウォーターランド」)
- 1984年
- Hotel du Lac, アニータ・ブルックナー(『秋のホテル』小野寺健訳、晶文社、1988年、のち講談社、1996年)
- 最終候補作:
-
- Empire of the Sun, J・G・バラード(「太陽の帝国」)
- Flaubert's Parrot, ジュリアン・バーンズ(『フロベールの鸚鵡』斎藤昌三訳、白水社、1989年)
- In Custody, アニター・デサイ(「デリーの詩人」)
- According to Mark, ペネロピ・ライヴリー(「ある英国人作家の偽りと沈黙」)
- Small World, デイヴィッド・ロッジ(「小さな世界」)
- 1985年
- The Bone People, ケリ・ヒューム
- 最終候補作:
-
- Illywhacker, ピーター・ケアリー(「イリワッカー」)
- The Battle of Pollocks Crossing, J・L・カー
- The Good Terrorist, ドリス・レッシング
- Last Letters from Hav, ジャン・モリス
- The Good Apprentice, アイリス・マードック
- 1986年
- The Old Davils, キングズリー・エイミス
- 最終候補作:
-
- The Handmaid's Tale, マーガレット・アトウッド(『侍女の物語』斎藤英治訳、新潮社、1990年)
- Gabriel's Lament, ポール・ベイリー
- What's Bred in the Bone, ロバートソン・デイヴィス
- An Artist of the Floating World, カズオ・イシグロ(「浮世の画家」)
- An Insular Possession, ティモシー・モー
- 1987年
- Moon Tiger, ペネロピ・ライヴリー(『ムーンタイガー』鈴木和子訳、朝日出版社、1993年)
- 最終候補作:
-
- Anthills of the Savannah, チヌア・アチェベ(「サバンナの蟻塚」)
- Chatterton, ピーター・アクロイド(「チャタトン偽書」)
- Circles of Deceit, ニーナ・ボーデン
- The Colour of Blood, ブライアン・ムーア(「夜の国の逃亡者」)
- The Book and the Brotherhood, アイリス・マードック(「本をめぐる輪舞の果てに」)
- 1988年
- Oscar and Lucinda, ピーター・ケアリー(『オスカーとルシンダ』宮木陽子訳、DHC、1999年)
- 最終候補作:
-
- Utz, ブルース・チャトウィン(「ウッツ男爵 ある蒐集家の物語」)
- The Beginning of Spring, ペネロピ・フィッツジェラルド
- Nice Work, デイヴィッド・ロッジ(「素敵な仕事」)
- The Satanic Verses, サルマン・ラシュディ(「悪魔の詩」)
- The Lost Father, マリーナ・ウォーナー
- 1989年
- The Remains of the Day, カズオ・イシグロ(『日の名残り』土屋政雄訳、中央公論社 1994年)
- 最終候補作:
-
- Cat's Eye, マーガレット・アトウッド(『キャッツ・アイ』松田雅子・松田寿一・柴田千秋訳、開文社出版 2016年)
- The Book of Evidence, ジョン・バンヴィル
- Jigsaw, シビル・ベッドフォード
- A Disaffection, ジェイムズ・ケルマン
- Restoration, ローズ・トレメイン(「恋の闇 愛の光」)
1990年代
編集- 1991年
- The Famished Road, ベン・オクリ(『満たされぬ道』金原瑞人訳、平凡社、1997年)
- 最終候補作:
-
- Time's Arrow, マーティン・エイミス(「時の矢 あるいは罪の性質」)
- The Van, ロディ・ドイル(「ヴァン」)
- Such a Long Journey, ロヒントン・ミストリー(「かくも長き旅」)
- The Redundancy of Courage, ティモシー・モー
- Reading Turgenev (from Two Lives), ウィリアム・トレヴァー
- 1992年
- The English Patient, マイケル・オンダーチェ(『イギリス人の患者』土屋政雄訳、新潮社、1996年)
- Sacred Hunger, バリー・アンズワース
- 最終候補作:
-
- Serenity House, クリストファー・ホープ
- The Butcher Boy, パトリック・マッケーブ(「ブッチャー・ボーイ」)
- Black Dogs, イアン・マキューアン(「黒い犬」)
- Daughters of the House, ミシェル・ロバーツ
- 1993年
- Paddy Clarke Ha Ha Ha, ロディ・ドイル(『パディ・クラーク ハハハ』実川元子訳、キネマ旬報社、1994年)
- 最終候補作:
-
- Under the Frog, ティボール・フィッシャー
- Scar Tissue, マイケル・イグナティエフ
- Remembering Babylon, デイヴィッド・マルーフ(『異境』武舎るみ訳、現代企画室、2012年)
- Crossing the River, キャリル・フィリップス
- The Stone Diaries, キャロル・シールズ(「ストーン・ダイアリー」)
- 1994年
- How Late It Was, How Late, ジェイムズ・ケルマン
- 最終候補作:
-
- Reef, ロメシ・グネセケラ
- Paradise, アブドゥルラザク・グルナ「『楽園』粟飯原文子訳、白水社 、2023年)
- The Folding Star, アラン・ホリングハースト
- Beside the Ocean of Time, ジョージ・マッカイ・ブラウン(「ソーフィンの夢物語 時を紡ぐ少年」)
- Knowledge of Angels, ジル・ペイトン・ウォルシュ
- 1995年
- The Ghost Road, パット・バーカー
- 最終候補作:
-
- In Every Face I Meet, ジャスティン・カートライト
- The Moor's Last Sigh, サルマン・ラシュディ
- Morality Play, バリー・アンズワース(「仮面の真実」)
- The Riders, ティム・ウィントン
- 1996年
- Last Orders, グレアム・スウィフト(『ラストオーダー』真野泰訳、中央公論社、1997年。『最後の注文』新潮社、2005年として改版)
- 最終候補作:
-
- Alias Grace, マーガレット・アトウッド(『[またの名をグレイス』佐藤アヤ子訳、岩波書店、2008年)
- Every Man for Himself, ベリル・ベインブリッジ
- Reading in the Dark, シェイマス・ディーン(「闇の中で」)
- The Orchard on Fire, シーナ・マッケイ(「燃える果樹園」)
- A Fine Balance, ロヒントン・ミストリー
- 1997年
- The God of Small Things, アルンダティ・ロイ (『小さきものたちの神』工藤惺文訳、DHC、1998年)
- 最終候補作:
-
- Quarantine, ジム・クレイス(「四十日」)
- The Underground Man, ミック・ジャクソン(「穴掘り公爵」)
- Grace Notes, バーナード・マック・ラヴァティ
- Europa, ティム・パークス
- The Essence of the Thing, マデリーン・セント・ジョン
- 1998年
- Amsterdam, イアン・マキューアン(『アムステルダム』小山太一訳、新潮社、1999年)
- 1999年
- Disgrace, J・M・クッツェー(『恥辱』鴻巣友季子訳、早川書房、2000年)
- 最終候補作:
-
- Fasting, Feasting, アニター・デサイ
- Headlong, マイケル・フレイン(「墜落のある風景」)
- Our Fathers, アンドリュー・オヘイガン
- The Map of Love, サエイフ
- The Blackwater Lightship, コルム・トビーン
2000年代
編集- 2000年
- The Blind Assassin, マーガレット・アトウッド(『昏き目の暗殺者』鴻巣友季子訳、早川書房、2002年)
- 最終候補作:
-
- The Hiding Place, トレッツァ・アッツォパルディ(『息をひそめて』川副智子訳、早川書房、2002年)
- The Keepers of Truth, マイケル・コリンズ
- When We Were Orphans, カズオ・イシグロ(『わたしたちが孤児だったころ』入江真佐子訳、早川書房、2001年)
- English Passengers, マシュー・ニール
- The Deposition of Father McGeevy, ブライアン・オドハティ
- 2001年
- True History of the Kelly Gang, ピーター・ケアリー(『ケリー・ギャングの真実の歴史』宮木陽子訳、早川書房、2003年)
- 最終候補作:
-
- Atonement, イアン・マキューアン(『贖罪』小山太一訳、新潮社、2003年)
- Oxygen, アンドリュー・ミラー
- number9dream, デイヴィッド・ミッチェル(『ナンバー9ドリーム』)
- The Dark Room, レイチェル・シーファー(『暗闇のなかで』)
- Hotel World, アリ・スミス(『ホテルワールド』)
- 2003年
- Vernon God Little, D・B・C・ピエール(『ヴァーノン・ゴッド・リトル 死をめぐる21世紀の喜劇』都甲幸治訳、ヴィレッジブックス、2007年)
- 最終候補作:
-
- Brick Lane, モニカ・アリ
- Oryx and Crake, マーガレット・アトウッド(『オリクスとクレイク』畔柳和代訳、早川書房、2010年)
- The Good Doctor, デイモン・ガルガット
- Notes on a Scandal, ゾーイ・ヘラー(『あるスキャンダルについての覚え書き』)
- Astonishing Splashes of Colour, クレア・モラル
- 2004年
- The Line of Beauty, アラン・ホリングハースト
- 最終候補作:
-
- Bitter Fruit, アハマット・ダンゴール
- The Electric Michelangelo, サラ・ホール
- Cloud Atlas, デイヴィッド・ミッチェル
- The Master, コルム・トビーン
- I'll Go to Bed at Noon, ジェラルド・ウッドワード
- 2006年
- The Inheritance of Loss, キラン・デサイ(『喪失の響き』谷崎由依訳、早川書房、2008年)
- 最終候補作:
-
- The Secret River, ケイト・グレンヴィル
- Carry Me Down, M・J・ハイランド
- In The Country of Men, ヒシャーム・マタール
- Mother's Milk, エドワード・セント・オービン(『マザーズ・ミルク』、国弘喜美代・手嶋由美子共訳、早川書房、2019年)
- The Night Watch, サラ・ウォーターズ(『夜愁』中村有希訳、創元推理文庫、2007年)
- 2007年
- The Gathering, アン・エンライト
- 最終候補作:
-
- Darkmans, ニコラ・バーカー
- The Reluctant Fundamentalist, モーシン・ハミド
- Mister Pip, ロイド・ジョーンズ(『ミスター・ピップ』大友りお訳、白水社、2009年)
- On Chesil Beach, イアン・マキューアン(『初夜』村松潔訳、新潮社、2009年)
- Animal’s People, インドラ・シンハ
- 2008年
- The White Tiger, アラヴィンド・アディガ (『グローバリズム出づる処の殺人者より』鈴木恵訳、文藝春秋、2009年)
2010年代
編集- 2010年
- The Finkler Question, ハワード・ジェイコブソン
- 最終候補作:
-
- Parrot and Olivier in America, ピーター・ケアリー
- Room, エマ・ドナヒュー(『部屋』土屋京子訳、講談社、2011年)
- In a Strange Room, デイモン・ガルガット
- The Long Song, Andrea Levy
- C,Tom McCarthy
- 2011年
- The Sense of an Ending, ジュリアン・バーンズ(『終わりの感覚』土屋政雄訳 新潮社、2012年)
- 最終候補作:
-
- Jamrach's Menagerie, Carol Birch
- Pigeon English, Stephen Kelman
- Half Blood Blues, Esi Edugyan
- Snowdrops,A.D. Miller
- The Sisters Brothers, Patrick deWitt(『シスターズ・ブラザーズ』茂木健訳 東京創元社、2013年)
- 2014年
- The Narrow Road to the Deep North, リチャード・フラナガン(『奥のほそ道』渡辺佐智江訳、白水社、2018年)
- 最終候補作:
-
- To Rise Again at a Decent Hour, Joshua Ferris
- We Are All Completely Beside Ourselves, カレン・ジョイ・ファウラー(『私たちが姉妹だったころ』矢倉尚子訳、白水社、2017年)
- J, ハワード・ジェイコブソン
- The Lives of Others, Neel Mukherjee
- How to be Both, アリ・スミス(『両方になる』木原善彦訳、新潮社、2018年)
- 2015年
- A Brief History of Seven Killings, マーロン・ジェイムズ(『七つの殺人に関する簡潔な記録』旦敬介訳、早川書房、2019年)
- 2016年
- The Sellout, Paul Beatty
- 2017年
- Lincoln in the Bardo , ジョージ・ソーンダーズ(『リンカーンとさまよえる霊魂たち』上岡伸雄訳、河出書房新社、2018年)
- 2018年
- Milkman, アンナ・バーンズ(『ミルクマン』栩木玲子訳、河出書房新社、2020年)
- 最終候補作:
-
- Washington Black, エシ・エデュジアン(『ワシントン・ブラック』高見浩訳、小学館、2020年)
- Everything Under, デイジー・ジョンソン
- The Mars Room, レイチェル・クシュナー(『終身刑の女』池田真紀子訳、小学館、2021年)
- The Overstory, リチャード・パワーズ(『オーバーストーリー』木原善彦訳、新潮社、2019年)
- The Long Take, Robin Robertson
- 2019年
- The Testaments, マーガレット・アトウッド(『誓願』鴻巣友季子訳、早川書房、2020年)
- Girl, Woman, Other, バーナディン・エヴァリスト(『少女、女、ほか』渡辺佐智江訳、白水社、2023年)
- 最終候補作:
-
- Ducks, Newburyport,ルーシー・エルマン
- An Orchestra of Minorities, チゴズィエ・オビオマ(『小さきものたちのオーケストラ』粟飯原文子訳、早川書房、2021年)
- Quichotte, サルマン・ラシュディ
- 10 Minutes 38 Seconds in This Strange World, エリフ・シャファク(『レイラの最後の10分38秒』北田絵里子訳、早川書房、2020年)
2020年代
編集- 2020年
- Shuggie Bain, ダグラス・スチュアート(『シャギー・ベイン』黒原敏行訳、早川書房、2022年)
- 2021年
- The Promise, デイモン・ガルガット(『約束』宇佐川晶子訳、早川書房、2024年)
- 最終候補作:
-
- A Passage North, Anuk Arudpragasam
- No One Is Talking About This, Patricia Lockwood
- The Fortune Men, ナディファ・モハメド
- Bewilderment, リチャード・パワーズ(『惑う星』木原善彦訳、新潮社、2022年)
- Great Circle, マギー・シプステッド(『グレート・サークル』北田絵里子訳、早川書房、2023年)
- 2022年
- The Seven Moons of Maali Almeida, シェハン・カルナティラカ(『マーリ・アルメイダの七つの月』山北めぐみ訳、河出書房新社、2023年)
- 最終候補作:
-
- Glory, NoViolet Bulawayo
- The Trees, Percival Everett
- Treacle Walker, アラン・ガーナー
- Small Things Like These, クレア・キーガン
- Oh William!, エリザベス・ストラウト(『ああ、ウィリアム!』小川高義訳、早川書房、2023年)
- 2023年
- Prophet Song, Paul Lynch
- 最終候補作:
-
- Study for Obedience, Sarah Bernstein
- If I Survive You, Jonathan Escoffery
- This Other Eden, ポール・ハーディング
- The Bee Sting, ポール・マレイ
- Western Lane, Chetna Maroo
- 2024年
- Orbital, Samantha Harvey
- 最終候補作:
-
- James, Percival Everett
- Creation Lake, Rachel Kushner
- Held, Anne Michaels
- The Safekeep, Yael van der Wouden
- Stone Yard Devotional, Charlotte Wood
国際ブッカー賞
編集国際ブッカー賞(The International Booker Prize)は、ブッカー賞の翻訳書部門であり、英語に翻訳された本から選ばれる賞である[3]。
2005年に創設。当初は受賞対象となる作家を隔年選出していたが、2016年からはブッカー賞と同様、作品を対象として毎年選出されることとなり[4]、原著者と英語への翻訳者の共同受賞となる。
- 2005年 イスマイル・カダレ(アルバニア)
- 2007年 チヌア・アチェベ(ナイジェリア)
- 2009年 アリス・マンロー(カナダ)
- 2011年 フィリップ・ロス(アメリカ)
- 2013年 リディア・デイヴィス(アメリカ)
- 2015年 クラスナホルカイ・ラースロー(ハンガリー)
- 2016年 韓江(大韓民国), Deborah Smith 訳, The Vegetarian
- 『菜食主義者』 きむ・ふな訳、クオン、2011年)
- 2017年 デイヴィッド・グロスマン(イスラエル), Jessica Cohen 訳. A Horse Walks Into a Bar
- 2018年 オルガ・トカルチュク(ポーランド), Jennifer Croft 訳, Flights
- 『逃亡派』 小椋彩訳、白水社、2014年)
- 2019年 Jokha al-Harthi(オマーン), Marilyn Booth 訳, Celestial Bodies
- 2020年 マリーケ・ルカス・ライネフェルト(オランダ), Michele Hutchison 訳, The Discomfort of Evening
- 『不快な夕闇』 國森由美子訳、早川書房、2023年)
- 2021年 ダヴィド・ディオップ(フランス), Anna Moschovakis 訳, At Night All Blood is Black
- 『夜、すべての血は黒い』 加藤かおり訳、早川書房、2024年)
- 2022年 Geetanjali Shree(インド), Daisy Rockwell 訳, Tomb of Sand
- 2023年 Georgi Gospodinov(ブルガリア), Angela Rodel 訳, Time Shelter
- 2024年 ジェニー・エルペンベック(ドイツ), Michael Hofmann 訳, Kairos
脚注
編集注釈
編集- ^ 本作を原作とする、1983年に公開された同名映画につけられた邦題。en:Heat and Dust (film)
出典
編集- ^ トム・マシュラー 『パブリッシャー』 麻生久美訳、晶文社、2006年、213頁。
- ^ Booker Prize finds new funder in billionaire Sir Michael Moritz - BBC
- ^ “川上未映子さん受賞逃す 英ブッカー国際賞”. 日本経済新聞 (2022年5月27日). 2024年4月30日閲覧。
- ^ 16年ブッカー国際賞、韓国の女性作家韓江氏の「菜食主義者」に ロイター 2016年5月17日