ベルビア英語: Velvia)は、富士フイルムカラーリバーサルフィルムブランドフジクローム」を冠する銘柄のシリーズである。

ベルビア
Velvia

(RVP)
製造元: 日本の旗 富士フイルム
ISO感度: 50
増感: +1絞り
形式: カラー リバーサル
色温度: デイライト
現像: CR-56現像 / E-6現像
フォーマット: 135120220シートフィルム
RMS粒状度: 9
彩度: 超高彩度
用途: ファッション写真商品写真風景写真自然科学写真ポスター
製造開始: 1990年3月
製造終了: 2006年2月
後継製品: ベルビア50
URL: データシート
備考: イメージカラー

略歴・概要

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1990年(平成2年)3月、フジクロームベルビア(デイライトタイプ、ISO50)の製造販売を開始した[1]。1983年(昭和58年)3月に発表された「ニューフジクローム」のうち、「フジクローム50プロフェッショナルD」(デイライト、感度ISO50)が、同製品に先行する同一ISO感度(ISO50)、同一色温度(デイライトタイプ)のカラーリバーサルフィルムである[2]

2003年(平成15年)6月、「フジクロームベルビア」に加えて、フジクロームベルビア100Fおよびフジクロームベルビア100を発売、ベルビアは3タイプとなる[3]。1978年(昭和53年)10月発売の「フジクローム100プロフェッショナル タイプD」(デイライト、ISO100)、1983年3月発売の「フジクローム100プロフェッショナルD」(デイライト、感度ISO100)が、これら2製品に先行する同一ISO感度(ISO50)、同一色温度(デイライトタイプ)のカラーリバーサルフィルムである[2][4]。同年6月、欧州映像音響協会英語版(EISA)およびテクニカル・イメージ・プレス・アソシエーション英語版(TIPA[5])で、「フジクロームベルビア100F」が受賞する[6]。同年6月、フジクローム系では「アスティア100F」も発売されており[3]、開発者たちは「ベルビア100F」「ベルビア100」「アスティア100F」は、「色再現性」「像構造画質」「画像堅牢性」の3点を飛躍的に進化させたカラーリバーサルフィルムであると述べている[7]

2006年(平成18年)2月、「フジクロームベルビア」は、一部原材料の入手困難のため製造中止する[8]。「フジクロームベルビア100F」および「フジクロームベルビア100」のみの販売となる。

2007年(平成19年)3月15日、「フジクロームベルビア」の後継製品としてフジクロームベルビア50を発表、120フィルムと220フィルム、シートフィルムの4×5in判、8×10in判、5×7in判、4×5inクイックロードの販売を翌4月15日から開始した[8]。同年11月22日には、「フジクロームベルビア50」135フィルムの製造販売開始を発表、12月16日に発売した[9]

同年4月、東京・銀座に「ベルビア」の名を冠した商業テナントビル「銀座Velvia館」(東京都中央区銀座2-4-6)がオープン[10][11]。同地は、1949年(昭和24年)から1969年(昭和44年)までの間、富士フイルム(当時富士写真フイルム)の本社所在地であった[11][12][13]

2010年(平成22年)4月1日、富士フイルムは、同日改正された化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)で、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)が第一種特定化学物質に指定されたことを受け、同成分を含有した製品を同日現在は製造していないこと、および過去には製造していたもののリストを発表した[14]。ベルビアに限っていえば、「フジクロームベルビア」の2000年9月-2006年2月製造分、「フジクロームベルビア50」の2007年2月-2010年2月製造分に、それぞれPFOSが含有されていることを明らかにした[14]

製品

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ベルビア50
Velvia 50

(RVP 50)
 
製造元:   富士フイルム
ISO感度: 50
増感: +1絞り
形式: カラー リバーサル
色温度: デイライト
現像: CR-56現像 / E-6現像
フォーマット: 135120シートフィルム
RMS粒状度: 9
彩度: 超高彩度
用途: 風景・ネイチャー
製造開始: 2007年4月15日
URL: データシート
備考: イメージカラー

ベルビア50(ベルビアごじゅう、英語: Velvia 50)は、2007年(平成19年)4月15日に発売された富士フイルムカラーリバーサルフィルム写真フィルムである。

 
ベルビア50で撮影したスライド写真。

同製品は、2006年(平成18年)2月に販売中止した「フジクロームベルビア」の後継製品として、翌2007年に発売された[8][15]。「フジクロームベルビア」の入手困難となった原材料の代替物を開発し、「フジクロームベルビア」に近いフィルムを実現した[15]

粒状性はRMS:9であり、色相再現においては赤緑色強調のイメージカラー、被写体は風景・ネイチャー等に合い、とくに夕景・緑色の描写に際立つ特徴をもつ[16]。蛍光灯適性はグリーンにかぶりやすい傾向がある[16]

タングステン光下では、「富士色温度変換フィルターLBB-12」、あるいは「ラッテンフィルターNo. 80A」を必要とする[15]

ロールフィルムについては、135フィルムでは厚さ0.127mm、120・220フィルムでは厚さ0.098mmのセルローストリアセテートを支持体とし、4×5in判(シノゴ)、5×7in判(ゴシチ)と8×10in判(バイテン)のシートフィルムでは、厚さ0.175mmのポリエステルを支持体とする[15]

現像処理は、「フジクロームフィルムプロセスCR-56」を同社は指定しており、これはコダックのカラーリバーサルフィルム「エクタクローム」現像処方である「E-6現像」と互換性があり、同社は後者の処方でも現像可能であると明言している[15]

2010年(平成22年)4月1日、富士フイルムは、同製品の2007年2月-2010年2月製造分に、化審法が第一種特定化学物質に指定した有害物質PFOSが含有されていることを明らかにし、同年4月以降は含有しない製品の生産を続行すると発表した[14]

小型映画用フィルムを製造販売するサードパーティであるドイツのヴィットナー・シネテックは、本製品を原反に、スーパー8およびダブル8用フィルム「ヴィットナークロームV50D」を、 日本のレトロエンタープライズとドイツのGKフィルムの2社が共同開発したスーパー8およびシングル8用フィルム「シネビア50Dプロフェッショナル」を製造販売している[17][18][19]

ベルビア100F
Velvia 100F

(RVP F)
製造元:   富士フイルム
ISO感度: 100
増感: +1絞り
形式: カラー リバーサル
色温度: デイライト
現像: CR-56現像 / E-6現像
フォーマット: 135120シートフィルム
RMS粒状度: 8
彩度: 超高彩度
用途: 風景・商品・ドキュメンタリー
製造開始: 2003年
製造終了: 2017年3月予定
URL: データシート
備考: リアルカラー

ベルビア100F(ベルビアひゃくエフ、英語: Velvia 100F)は、2003年(平成15年)に発売された富士フイルムカラーリバーサルフィルム写真フィルムである。

 
ベルビア100Fで撮影したスライド写真。

粒状性はRMS:8であり、色相再現においては忠実発色のリアルカラー、被写体は風景・商品、あるいはドキュメンタリー写真等、鮮やかな発色を必要とする場合に最適である[16]。蛍光灯適性はグリーンにかぶりにく、画像保存性においては「フジクロームベルビア」対比で約2-3倍である[16]

ロールフィルムについては、135フィルムでは厚さ0.127mm、120・220フィルムでは厚さ0.098mmのセルローストリアセテートを支持体とし、4×5in判(シノゴ)、5×7in判(ゴシチ)と8×10in判(バイテン)のシートフィルムでは、厚さ0.175mmのポリエステルを支持体とする[20]

現像処理は、「フジクロームベルビア」「フジクロームベルビア50」「フジクロームベルビア100」同様、「フジクロームフィルムプロセスCR-56」およびコダックのカラーリバーサルフィルム「エクタクローム」現像処方である「E-6現像」を指定している[20]

同製品は、発売の年の6月、欧州映像音響協会英語版(EISA)およびテクニカル・イメージ・プレス・アソシエーション英語版(TIPA)でダブル受賞している[6]

2015年現在、4×5in判と8×10in判のシートフィルムのみ販売中であるが、これも2017年3月には生産終了となる予定である[21]

ベルビア100
Velvia 100

(RVP 100)
 
135フィルム、36枚撮り。
製造元:   富士フイルム
ISO感度: 100
増感: +1絞り
形式: カラー リバーサル
色温度: デイライト
現像: CR-56現像 / E-6現像
フォーマット: 135120
RMS粒状度: 8
彩度: 超極彩度
用途: 風景・ネイチャー
製造開始: 2003年
URL: データシート
備考: イメージカラー

ベルビア100(ベルビアひゃく、英語: Velvia 100)は、2003年(平成15年)に発売された富士フイルムカラーリバーサルフィルム写真フィルムである。

 
ベルビア100で撮影したスライド写真。

粒状性はベルビアラインでは初めてRMS:8を実現、色相再現においては赤緑色強調のイメージカラー、被写体は風景・ネイチャー等に合い、とくに夕景・緑色の描写に際立つ特徴をもつ[16][22]。「ベルビア100F」よりも「ベルビア50」に似た傾向のフィルムであるが、蛍光灯適性はややグリーンにかぶりにくい点が異なっており、新カプラーを採用したことで画像保存性においても「フジクロームベルビア」対比で約2-3倍である[16][22]

ロールフィルムについては、135フィルムでは厚さ0.127mm、120・220フィルムでは厚さ0.098mmのセルローストリアセテートを支持体とする[22]

現像処理は、「フジクロームベルビア」「フジクロームベルビア50」同様、「フジクロームフィルムプロセスCR-56」およびコダックのカラーリバーサルフィルム「エクタクローム」現像処方である「E-6現像」を指定している[22]

フィルムシミュレーション

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富士フイルムのデジタルカメラの2009年以降の製品(FinepixF200EXRやS100FS、Xシリーズ全機種)では、「フィルムシミュレーションモード」の中に「Velvia(ビビッド)」として同じ名称が使われているが、同名のフィルムを模倣したものではなく、そのフィルムの色を再現するものではない。[23]

脚注

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  1. ^ 富士フイルムのあゆみ 1990年、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  2. ^ a b プロフェッショナル写真市場向け商品のラインアップ、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  3. ^ a b 第108期有価証券報告書、富士写真フイルム、2004年6月30日付、2012年1月30日閲覧。
  4. ^ プロ用商品の充実、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  5. ^ tipa.com, テクニカル・イメージ・プレス・アソシエーション英語版, 2012年1月30日閲覧。
  6. ^ a b 富士フイルムのあゆみ 2000年 Archived 2010年6月30日, at the Wayback Machine.、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  7. ^ 新カラーリバーサルフィルム フジクローム「Velvia 100F/100」「ASTIA 100F」の開発、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  8. ^ a b c フジクローム「Velvia50」プロフェッショナル(ブローニーサイズ、シートサイズ)新発売、富士フイルムイメージング、2007年3月15日付、2012年1月30日閲覧。
  9. ^ フジクローム「Velvia50」プロフェッショナル(35mmサイズ)新発売、富士フイルムイメージング、2007年11月22日付、2012年1月30日閲覧。
  10. ^ 富士フイルムのあゆみ 2005年、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  11. ^ a b 文化を育み幅広く人々へ価値を提供、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  12. ^ 富士フイルム、銀座二丁目の旧本社跡地に新たな都市型商業テナントビル「銀座Velvia(ベルビア)館」平成19年4月19日(木)オープン 個性的な全33店舗の出店が決定 - 三井不動産 2007年1月18日
  13. ^ 2013年3月以降、ベルビア館の土地建物とも銀座プライムリテールファンド合同会社に所有権が移されている。【売買】銀座ベルビア館の底地を売却、富士フイルム - ケンプラッツ(日経BP社)2013年8月19日
  14. ^ a b c PFOSを含有する業務用写真撮影フィルムのお知らせ、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  15. ^ a b c d e ベルビア50 データシート、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  16. ^ a b c d e f ベルビアシリーズの性能・特長、富士フイルム、2012年1月30日閲覧。
  17. ^ Super8 - 15m Kassetten (ドイツ語), ヴィットナー・シネテック、2012年1月30日閲覧。
  18. ^ スーパー8フィルムレトロエンタープライズ、2012年1月30日閲覧。
  19. ^ シングル8フィルム Archived 2011年8月24日, at the Wayback Machine.、レトロエンタープライズ、2012年1月30日閲覧。
  20. ^ a b ベルビア100F データシート、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  21. ^ 写真フィルム 一部製品の価格改定および販売終了のご案内、富士フイルム、2015年7月10日。
  22. ^ a b c d ベルビア100 データシート、富士写真フイルム、2012年1月30日閲覧。
  23. ^ デジカメWatch『富士フイルムのフィルムシミュレーションはどのようにつくられているのか(前編)』、2020年12月7日、「フィルムシミュレーションについて」より。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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