マーウェン
『マーウェン』(Welcome to Marwen)は、2018年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はロバート・ゼメキス、出演はスティーヴ・カレルとレスリー・マンなど。実在するイラストレーター・ミニチュア写真家マーク・ホーガンキャンプの実話をもとに、暴漢たちに襲われて重度の記憶障害を負った男性が、独自の空想世界を作り上げることで社会復帰を果たしていく姿を描いている[3]。
マーウェン | |
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Welcome to Marwen | |
監督 | ロバート・ゼメキス |
脚本 |
ロバート・ゼメキス キャロライン・トンプソン |
製作 |
ロバート・ゼメキス ジャック・ラプケ スティーヴ・スターキー シェリラン・マーティン |
製作総指揮 |
ジャクリーン・レヴィーン ジェフ・マルンベルグ |
出演者 |
スティーヴ・カレル レスリー・マン メリット・ウェヴァー ジャネール・モネイ |
音楽 | アラン・シルヴェストリ |
撮影 | C・キム・マイルズ |
編集 | ジェレマイア・オドリスコル |
製作会社 |
ユニバーサル・ピクチャーズ ドリームワークス イメージムーバーズ パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ パルコ |
公開 |
2018年12月21日 2019年7月19日[1] |
上映時間 | 116分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $39,000,000[2] |
興行収入 |
$10,763,520[2] $13,061,491[2] |
ストーリー
編集自宅の庭でミニチュアの写真を撮り続けているマーク・ホーガンキャンプは、酷い暴行を受けた後遺症で記憶障害を抱えており、記憶のほとんどを思い出せない状態にある。マークが撮影するミニチュアは“マーウェン”という村で暮らすホーギー大尉と女性達で、そこで繰り広げられる空想の物語はマークの心の拠り所だった。
マークの心の傷は深く、処方される薬を日常的に過剰摂取してしまっていた。また、事件の話題に触れたり、ハーケンクロイツ(暴行犯が腕に彫っていたタトゥーに似ている)を目にするとパニック状態に陥ってしまう。
ある日マークが撮影を行っていると、道路を挟んだ向かい側の家に引っ越して来たニコルに話しかけられる。自分と同じ名前の人形が登場する“マーウェン”の物語を聞いて感激するニコルに、マークは惹かれ始めていた。ニコルの荷解きを手伝ったマークは自分のことを話し、女性用の靴を集める趣味が原因で暴行され、記憶障害になったことを明かす。
マークが自宅に帰ると、担当弁護士のデマリウス・ジョンソンが訪ねてきた。暴行犯への厳罰を求めるためマークも法廷へ来てほしいと、乗り気でないマークを説得にやってきたのだ。ジョンソンの説得にマークは覚悟を決め、判決を言い渡す場に同席することになる。しかし、いざ判決の言い渡しが始まると暴行犯のタトゥーを見てパニック状態となり、法廷から逃げ出してしまった。
ニコルと親密になったマークは、“マーウェン”の中でホーギー大尉と人形のニコルを結婚させると、それをなぞる形で現実のニコルにプロポーズをする。その気のないニコルは優しく断り、消沈したマークに新しい人形を贈るが、マークが自宅前で開封したそれはナチス・ドイツの親衛隊がモデルであり、パニック状態になったマークは人形を蹴り飛ばしてしまう。
自宅に戻ったマークが失意のどん底に落ちていると、“マーウェン”では先ほど蹴り飛ばした親衛隊の人形が村を襲撃していた。人形のニコルが撃たれて瀕死の重傷を負ったものの、ホーギー大尉が黒幕を打ち破ると傷は癒え、マークも自分を苦しめていた存在から解放される。
改めて迎えた判決を言い渡す場で自分の意見を読み上げたマークは、同日の開催だった自身の個展に現れていた。村は“マーウェンコル”へと名前を変え、過去を乗り越えたマークは新たな一歩を踏み出す。
マーウェン
編集マークが創りだした架空の村で、第二次世界大戦中のベルギーにあるという設定。村の名称はマーク本人の名前と、暴行されたマークを見つけた女性の名前ウェンディを繋ぎ合わせたもの。物語は現実の出来事と、“マーウェン”を舞台にした空想が入り乱れて展開していく。
ある日、乗っている戦闘機が被弾し不時着したアメリカ陸軍航空隊のホーギー大尉[注 1]は、敵であるナチスの兵士に暴行されているところを村の女性達に助けられる。
以来、ホーギー大尉と女性達は村で生活を共にしつつ、執拗にホーギー大尉を狙うナチスを撃退する日々を過ごしていた。時折、ホーギー大尉に付き纏うデジャ・ソリスという魔女も登場するが、彼女はホーギー大尉と親しくなろうとする女性を排除する危険な存在である。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替
- マーク・ホーガンキャンプ / ホーギー大尉:スティーヴ・カレル(堀内賢雄)
- ニコル:レスリー・マン(渋谷はるか)
- デジャ・ソリス:ダイアン・クルーガー(佐古真弓)
- ロバータ:メリット・ウェヴァー(清水はる香)
- ジュリー:ジャネール・モネイ(おまたかな)
- カラーラ:エイザ・ゴンザレス
- アナ:グェンドリン・クリスティー
- シュゼット:レスリー・ゼメキス
- カート / SS将官クルト・マイヤー:ニール・ジャクソン
- エルサ:シボーン・ウィリアムズ
- ルイス / トップ大尉:フォーク・ヘンチェル
- カール / ベンツ中尉:マット・オリアリー
- ルディ / ルドルフ:ニコライ・ウィッチ
- スティーヴィー / ステファン:パトリック・ロッカス
- ヴァーン / ヴェルナー:アレクサンダー・ロウ
- ウェンディ:ステファニー・フォン・フェッテン
- デマリウス・ジョンソン:コンラッド・コーツ
- マーサ・J・ハーター判事:ヴィーナー・スード
製作
編集2017年4月28日、ロバート・ゼメキス監督の新作映画にスティーヴ・カレルが出演することになったと報じられた[4]。5月19日、レスリー・マンとジャネール・モネイが本作に出演するとの報道があった[5]。23日、エイザ・ゴンザレスの出演が決まったと報じられた[6]。6月、ダイアン・クルーガーとグェンドリン・クリスティーがキャスト入りした[7][8]。7月、メリット・ウェヴァーとニール・ジャクソンの出演が決まった[9][10]。8月6日、フォーク・ヘンチェルが本作に起用されたと報じられた[11]。21日、レスリー・ゼメキスがキャスト入りしたとの報道があった[12]。
マーケティング
編集2018年6月20日、本作のファースト・トレイラーが公開された[15]。7月18日、本作のセカンド・トレイラーが公開された[16]。
興行収入
編集本作は『アクアマン』、『バンブルビー』、『セカンド・アクト』と同じ週に封切られ、公開初週末に700万ドルから900万ドルを稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを大きく下回るものとなった[17]。2018年12月21日、本作は全米1911館で公開され、公開初週末に236万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場9位となった[18]。ゼメキス監督作の初動成績としては最低の数字を記録し、前週に封切られた『移動都市/モータル・エンジン』と並んで2018年を代表する興行的失敗作となってしまった[19]。
評価
編集本作に対する批評家からの評価は芳しいものではない。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには151件のレビューがあり、批評家支持率は33%、平均点は10点満点で4.93点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『マーウェン』は見事な視覚効果と悲哀を帯びた感動的なストーリーを売りにしているが、脚本の不出来と感情描写のちぐはぐさが原因で、観客は感情移入することができない。」となっている[20]。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は40/100となっている[21]。なお、本作のシネマスコアはB-となっている[22]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “スティーブ・カレル、PTSDを患う実在の男を熱演! 『マーウェン』日本公開”. シネマカフェ. (2019年5月24日) 2019年5月25日閲覧。
- ^ a b c “Welcome to Marwen” (英語). Box Office Mojo. 2019年1月9日閲覧。
- ^ “マーウェン”. WOWOW. 2021年5月30日閲覧。
- ^ N'Duka, Amanda (2018年6月12日). “Robert Zemeckis’ Steve Carell Drama Gets Title: ‘Welcome To Marwen’” (英語). Deadline.com 2018年12月15日閲覧。
- ^ Kroll, Justin (2017年5月19日). “Leslie Mann, Janelle Monae Join Steve Carell in Robert Zemeckis’ Next Film (EXCLUSIVE)” (英語). Variety 2018年12月15日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2017年5月23日). “'Baby Driver' Actress Eiza Gonzalez Joins Steve Carell in Robert Zemeckis Drama (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter 2018年12月15日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2017年6月16日). “Diane Kruger Joins Steve Carell in Robert Zemeckis Drama (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter 2018年12月15日閲覧。
- ^ McNary, Dave (2017年6月27日). “Gwendoline Christie Joins Steve Carell in Robert Zemeckis’ Drama” (英語). Variety 2018年12月15日閲覧。
- ^ Sneider, Jeff (2017年7月7日). ““Nurse Jackie” Alum Merritt Wever Joins Steve Carell in Robert Zemeckis’ Next Movie (Exclusive)” (英語). The Tracking Board 2018年12月15日閲覧。
- ^ N'Duka, Amanda (2017年7月31日). “Universal’s Untitled Robert Zemeckis Project Adds Neil Jackson” (英語). Deadline.com 2018年12月15日閲覧。
- ^ Galuppo, Mia (2017年6月8日). “Robert Zemeckis' Universal Drama Casts a Villain” (英語). THe Hollywood Reporter 2018年12月15日閲覧。
- ^ The Deadline Team (2017年8月21日). “Leslie Zemeckis Joins Untitled Robert Zemeckis Project Based On Docu ‘Marwencol’” (英語). Deadline.com 2018年12月15日閲覧。
- ^ Mirchandani, Amar (2017年8月1日). “21 Movies Filming in Vancouver This August” (英語). 604 Now 2018年12月15日閲覧。
- ^ Mirchandani, Amar (2017年8月4日). “9+ Hollywood Stars You Can Catch Around Vancouver This August” (英語). 604 Now 2018年12月15日閲覧。
- ^ “Welcome to Marwen - Official Trailer” (英語). YouTube. Universal Pictures (2018年6月20日). 2018年12月15日閲覧。
- ^ “Welcome to Marwen - Official Trailer 2” (英語). YouTube. Universal Pictures (2018年7月18日). 2018年12月15日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (2018年12月18日). “Box Office Preview: 'Aquaman,' 'Mary Poppins Returns' to Lead Christmas Crush” (英語). The Hollywood Reporter 2018年12月25日閲覧。
- ^ “Domestic 2018 Weekend 51 / December 21-23, 2018” (英語). Box Office Mojo. 2018年12月25日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (2018年12月23日). “Box Office: 'Welcome to Marwen' Bombs With $2.4M Debut, Will Lose $50M-Plus” (英語). The Hollywood Reporter 2018年12月25日閲覧。
- ^ “Welcome to Marwen (2018)” (英語). Rotten Tomatoes. 2019年5月25日閲覧。
- ^ “Welcome to Marwen Reviews” (英語). Metacritic. 2019年5月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2018年12月26日). “‘Aquaman’ Unwraps $22M+ On Christmas For $105M+ Cume; ‘Holmes & Watson’ Opens To $6M+; ‘Vice’ $4M+” (英語). Deadline.com 2019年5月25日閲覧。