上大静脈(じょうだいじょうみゃく、superior vena cava(SVC))とは上半身の血液を集めて右心房に流れ込む短く太い静脈である。なお下半身の血液を集めているのは下大静脈である。

静脈: 上大静脈
心臓の前面における断面図である。白い矢印は通常の血液の流れを示している。
周辺の静脈
ラテン語 v. cava superior
グレイの解剖学 書籍中の説明(英語)
起始
MeSH Vena+Cava,+Superior
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走行

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上大静脈は、上肢や首や頭からの血液を集めている右と左の腕頭静脈が合流してできる。また右心房に入る直前に、胸郭からの血液を集めている奇静脈が心臓の上側の右前方から合流している。

上大静脈と腕頭静脈には右心房に至るまでがないので、右の心房収縮と心室収縮が内頚静脈まで伝わる。この拍動を頚静脈圧といい、胸鎖乳突筋を通して観測することができる。三尖弁逆流が起こるとこれがかなり強くなる。

発生

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発生の途中まで胚の静脈はほぼ左右対称であるが、心臓が発達するにつれて静脈系は右側に偏って発達する。このとき右総主静脈右前主静脈の一部から作られるのが上大静脈である。左前主静脈は退縮し左総主静脈冠状静脈洞として心臓側に残り冠状静脈の還流にあずかるようになる。稀に、左前主静脈がのこっていることがあり、これを左上大静脈遺残(PLSVC: persistent left superior vena cava)という[1]。さらに右側も閉塞せず、左右両方に上大静脈がある場合は重複上大静脈と呼ばる。このとき左上大静脈は冠状静脈洞を通って右心房に入ることがほとんどである。

関連疾患

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上大静脈が悪性腫瘍等で閉塞するとチアノーゼ浮腫などの症状がでることがある。これを上大静脈症候群という。上大静脈の閉塞時には奇静脈内胸静脈が側副血行路として発達する。

画像

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脚注

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  1. ^ ただし、哺乳類でもウサギなどでは左上大静脈が残存するのが普通である。
    (『兎の解剖図譜』R.Barone 他共著、望月公子訳、学窓社、1977年、ISBN 978-4-87362-003-9、P121-152)

関連項目

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