井上満
生涯
編集福岡県久留米市に生まれる。福岡県立中学明善校(現福岡県立明善高等学校)卒、1924年日露協会学校卒。 翌年上京して文筆活動に入り、社会科学文献を翻訳。
1930年ソ連大使館に勤務、ロシア事情の紹介などを行うが、1936年軍機保護法違反で逮捕され三年間下獄。出獄後はロシア文学の翻訳に従事。 1941年ゴンチャロフの『フレガート艦パルラダ』を『日本渡航記』として翻訳、1943年ゴロヴニン『日本幽囚記』を翻訳する。
戦後はゴンチャロフの『断崖』『オブローモフ』などのほか、ロシア文学を多数翻訳。 また日ソ親善協会を創立、日ソ学院を創立し副学院長を務めた。
編著
編集- 『ロシヤ語常用6000語』(編著、大学書林) 1959
翻訳
編集- 『弁証法的唯物論への入門』(デボーリン、白揚社) 1927
- 『フランス唯物論史』(A・デボーリン、南宋書院) 1927
- 『国際情勢と我等の任務 コミンタン第六回大会における執行委員会報告』(N・I・ブハーリン、文芸戦線社出版部) 1928
- 『日本渡航記 フレガート「パルラダ」号より』(ゴンチャロフ、岩波文庫) 1941
- のち復刊 1988 ほか
- 『母と五人の浮浪児』(ナタリヤ・アレキサンドロヴナ・プフラウメル、橘書店) 1943
- 『コーカサスのとりこ』(トルストイ、文藝春秋新社) 1948
- 『日本幽囚記』上・中・下(ゴロヴニン、岩波文庫) 1943 - 1946
- のち復刊 1996 ほか
- 『文芸評論集』(ゴンチャローフ、世界文学社) 1948
- 『断崖』全5巻(ゴンチャロフ、岩波文庫) 1949 - 1952
- のち改版 2011
- 『貧しき人々』(ドストエフスキー、鎌倉文庫) 1949
- のち角川文庫
- 『猟人日記』(ツルゲーネフ、小峰書店、少年少女のための世界文学選) 1951
- 『白樺』(ミハイール・ブーベンノフ、三一書房) 1951
- 『生れ故郷で』(チェホフ、袋一平共訳、角川文庫) 1951
- 『平凡物語』上・下(ゴンチャローフ、創元文庫) 1952 - 1953
- のち岩波文庫 2010
- 『わたしの動物』(ドゥーロフ、創元社、世界少年少女文学全集) 1953
- 『文学的回想』上・下(パナーエフ、岩波文庫) 1953
- のち度々復刊
- 『せむしの小馬』(エルショーフ、創元社、世界少年少女文学全集) 1953
- 『自由の民』(フョードル・グラトコフ、河出書房、ソヴェト文学全集) 1953
- 『日本の今日』(ア・コージン、門脇書店) 1954
- 『北氷洋漂流記』(ハヂーギン、河出書房、世界探検紀行全集) 1954
- 『道づれ』(パノーヴァ、岩波書店) 1955
- 『母』(ゴーリキー、角川文庫) 1956
- 『緑の谷』(アントーノフ、創元社、世界少年少女文学全集) 1956
- 『空をとぶブタ』(ドーロフ、麦書房、雨の日文庫) 1958
- 『セメント』(グラトコーフ、西本昭治共訳、岩波文庫) 1960
- 『ひらかれた処女地』(シヨーロホフ、筑摩書房、世界名作全集) 1960
- 『人の運命』(ショーロホフ、講談社、少年少女世界文学全集34(ロシア編第5巻)) 1962
- 『オブローモフ』(ゴンチャロフ、 平凡社、ロシア・ソビエト文学全集15) 1965