入間基地
埼玉県入間市にある航空自衛隊基地
入間基地(いるまきち、JASDF Iruma Air Base)は、埼玉県狭山市・入間市域にまたがる航空自衛隊の基地。所在地は埼玉県狭山市稲荷山2-3。
入間飛行場 Iruma Air Base | |||||||
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入間飛行場 | |||||||
IATA: なし - ICAO: RJTJ | |||||||
概要 | |||||||
国・地域 | 日本 | ||||||
所在地 | 埼玉県狭山市・入間市 | ||||||
種類 | 軍用 | ||||||
所有者 | 防衛省 | ||||||
運営者 | 航空自衛隊 | ||||||
運用時間 | 24時間 | ||||||
所在部隊 |
中部航空方面隊 中部航空警戒管制団 第1高射群 航空救難団 第2輸送航空隊 第3補給処 第4補給処ほか | ||||||
標高 | 90 m (295 ft) | ||||||
座標 | 北緯35度50分31秒 東経139度24分38秒 / 北緯35.84194度 東経139.41056度 | ||||||
地図 | |||||||
空港の位置 | |||||||
滑走路 | |||||||
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リスト | |||||||
空港の一覧 |
概要
編集航空自衛隊における4個航空方面隊のひとつであり、南東北・関東・中部・近畿地域26都府県の防空を担当する中部航空方面隊司令部が置かれている主要基地であり、人員において最大の規模を誇る。基地司令は中部航空警戒管制団司令が兼務。
飛行隊、航空救難団司令部、飛行点検隊、地対空誘導弾ペトリオットを備えた中部高射群(関東・中部・近畿・四国・中国地方(山口県を除く)31都府県を担当)[要出典]等、様々な部隊が配備されているが、住宅地からなる地元と協定を結んでいることから輸送機等が主体で戦闘機の運用はないが、戦闘機搭乗員の耐G訓練等を実施する航空医学実験隊の『加速度訓練科』等がある[1]。
基地誘導路の南端東側に埼玉県警察のヘリポートとハンガーがあり、それらの施設で県警航空隊がヘリコプターを運用している(北緯35度50分13.6秒 東経139度24分58.1秒 / 北緯35.837111度 東経139.416139度)。
狭山市役所と県警狭山警察署に隣接し、司令部等を含む敷地の大部分である9割が狭山市域にある[2](1割は入間市域)。構内には航空自衛隊で唯一となる託児施設が存在する[3]。
基地に隣接して旧東町側留保地と呼ばれる約28haの米軍基地跡地がある。防衛省はここに自衛隊病院や、首都圏直下地震などを想定した災害対応拠点の建設を計画しており、入間市は2015年に同意した[4]。
航空管制
編集種類 | 周波数 |
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GND | 275.8MHz |
TWR | 122.05MHz,126.2MHz,236.8MHz,322.2MHz |
GCA | 125.30MHz,225.40MHz |
YOKOTA APP | 118.3MHz,270.6MHz |
YOKOTA DEP | 122.1MHz,363.8MHz |
RESCUE | 123.1xMHz,138.05MHz,247.0xMHz |
- GND,TWR,RESCUEは、入間管制隊が担当。
- APP,DEPは、横田基地が担当。
- 小文字のxは、周波数が変動することを示す。
航空保安無線施設
編集局名 | 種類 | 周波数 | 識別信号 |
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入間 | TACAN | 1004MHz | YLT |
- 保守は、入間管制隊が担当。
配置部隊・機関
編集以下のうち、基地正門に設置されていた部隊表記及び基地内の表札等は2015年11月現在、第4補給処等の一部部隊を除き撤去されている[7]。
- 中部航空方面隊隷下
- 中部航空方面隊司令部
- 中部航空警戒管制団
- 中部高射群
- 中部高射群本部
- 指揮所運用隊
- 整備補給隊
- 第4高射隊
- 中部航空方面隊司令部支援飛行隊
- 中部航空施設隊
- 本部
- 第1作業隊
- 航空総隊直轄
- 航空支援集団隷下
- 航空開発実験集団隷下
- 防衛大臣直轄部隊等
- 情報本部隷下
- (電波部)
- (大井通信所)入間通信支所
主な所属機
編集航空自衛隊
主なその他装備
編集- 地対空誘導弾ペトリオット(第1高射群)
基地データ
編集歴史
編集- 1938年(昭和13年)5月 - 帝国陸軍航空部隊の現役航空兵科将校を養成する士官学校である陸軍航空士官学校分校(当時は陸軍士官学校の分校)が、入間郡所沢町(現所沢市)の所沢陸軍飛行場から入間郡豊岡町(現入間市)に移転。航空神社(修武台航空神社)を遷座。
- 1940年(昭和15年)1月7日 - 豊岡陸軍飛行場完成。
- 1941年(昭和16年)3月 - 行幸の昭和天皇より、航士に対して「修武台」の名が与えられる。
- 1945年(昭和20年)9月 - 太平洋戦争(大東亜戦争)敗戦により、アメリカ陸軍航空軍第5空軍が同地に進駐、航士・飛行場等を接収。
- 10月 - 航士閉校。
- 1946年(昭和21年) - 22機を撃墜し、接収直後の45年10月に殉職した“ジャングル・エース”こと故ジェラルド・R・ジョンソン大佐[注釈 1]を偲んでジョンソン基地と命名[11]。航空神社は所沢市北野の北野天神社境内へ移設。
- 1952年(昭和27年)3月1日 - アメリカ空軍第41航空師団司令部編成。
- 1954年(昭和29年)7月 - 航空自衛隊発足。
- 1956年(昭和31年)8月1日 - 航空自衛隊臨時航空訓練部設置[12](航空集団〈のちの航空総隊〉の前身)
- 1957年(昭和32年)8月1日:臨時航空訓練部を解散(府中基地に「航空集団」を編成)。
- 1958年(昭和33年) 8月 - 中部航空方面隊司令部・中部航空警戒管制群編成により、入間基地開設[11]。
- 1960年(昭和35年) - 航空救難隊本部が浜松南基地から移動。
- 1961年(昭和36年) - 日米共同使用協定を締結[11]。
- 1962年(昭和37年)6月28日 - 第41航空師団司令部、横田飛行場に移転。
- 1962年(昭和37年) - 第7航空団、偵察航空隊が松島基地から移動。入間救難分遣隊が新編。
- 1963年(昭和38年) - 飛行場地区の管理運用が米軍から航空自衛隊に変更[11]。
- 1964年(昭和39年) - 入間救難分遣隊が入間救難隊に改編。
- 1967年(昭和42年) - 第7航空団が百里基地へ移動。
- 1968年(昭和43年) - 木更津から輸送航空団が移動。入間救難隊が救難任務を解かれ廃止。
- 1971年(昭和46年) - 航空救難隊本部が航空救難団に改編。
- 1973年(昭和48年) - 入間航空隊にC-1輸送機が配備。
- 1974年(昭和49年) - 偵察航空隊が百里基地へ移動。
- 1978年(昭和53年) - 輸送航空団を第2輸送航空隊に改編。基地が米軍から全面返還される[11]。
- 1981年(昭和56年) - F-86ブルーインパルス最後の展示飛行が行われる[14]。
- 1986年(昭和61年) - 帝国陸軍航空部隊および空自の歴史資料館として、旧航士の本部校舎を利用した「修武台記念館」を開館。
- 1987年(昭和62年) - 入間基地の一部が日米地位協定第2条第4項(b)の適用施設・区域(一時共同使用)として在日米軍に提供される(横田飛行場の一部として追加提供)[15]。
- 1988年(昭和63年) - 入間ヘリコプター空輸隊が新編。「修武台記念館」開館を契機に、旧航士時代の航空神社が奉還再興される。
- 1989年(平成元年)3月16日:航空実験団・航空医学実験隊等を改編・統合して「航空開発実験集団」が新編[16]。
- 1997年(平成9年) - 第2輸送航空隊に多用途支援機U-4が配備。
- 1999年(平成11年)11月22日 - T-33練習機が民家を避けて入間川河川敷に墜落し、その際に東京電力の送電線を切断したため、埼玉県南部及び東京都西部を中心とする約80万世帯が停電、並びに信号機および鉄道が停止する(T-33A入間川墜落事故)。
- 2000年(平成12年) - 倉庫から火災が発生し、付近を通る西武池袋線が運休する被害を与えた。
- 2005年(平成17年) - 建物老朽化・リニューアルのため「修武台記念館」を閉館(のち「航空歴史資料館 修武台記念館」)[17])。
- 2006年(平成18年)12月15日 - 航空医学実験隊の総務部、第3部、第4部が立川分屯基地から移動。
- 2007年(平成19年)3月30日 - 第4高射隊に地対空誘導弾ペトリオットの最新型(PAC-3)が配備された(空自の高射隊の中で最初)。
- 2008年(平成20年) - 50周年[18]。
- 2011年(平成23年) - 東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、航空救難団などは人命救助や物資輸送及び被害復旧、並びに福島原発事故における消火活動及び給水支援等を実施[19]。このため、4月23日に予定していたランウェイウォークは中止された[20]。
- 2012年(平成24年)3月1日 - 空自隊員に対する航空歴史教育を行う場として、 2005年に閉館した「修武台記念館」を「航空歴史資料館 修武台記念館」にリニューアル[17]。
- 2013年(平成25年) - 航空保安管制群本部及び電子開発実験群が府中基地へ移動。
- 2014年(平成26年)
- 2016年4月6日 - 鹿屋航空基地で電波航法設備を点検中のU-125が、基地の北側にある高隈山地・御岳に墜落。乗員6名全員死亡(U-125御岳墜落事故)。
- 2018年(平成30年):飛行管理隊が府中基地へ移動。
- 2020年(令和 2年)
- 2021年(令和3年)2月17日 - 第2輸送航空隊にC-2が配備[23][24]。
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)3月16日 - 第1高射群と第4高射群が統合し中部高射群へ改編[27]。航空安全管理隊が立川分屯基地から移動。
イベント
編集- 毎年7月末頃、納涼祭が行われ、花火大会や盆踊り大会が行われる。
- 毎年11月3日に航空祭が開催され、基地敷地内が一般に開放される。東京都心から最もアクセスが良い基地のため、毎年多くの来場者で会場が賑わっている。戦闘機や輸送機などの地上展示や、輸送機からの落下傘、ブルーインパルスによる展示飛行などのイベントが行われる[14]。
- 航空祭では基地所属の司令部支援飛行隊が通常仕様のT-4によるアクロバットチーム『シルバーインパルス』を編成している。
- 毎年4月または5月にランウェイウォークが開催される。普段は立ち入ることのできない滑走路を歩くイベントで、航空機の地上展示なども行われる。航空祭とは違い抽選による参加となっている。
- 2016年より定期的に修武台記念館を一般公開している。
- 団体向けの基地見学を受け入れている。詳細は入間基地見学のご案内(同基地公式ホームページ)を参照。
- 2024年1月20日に令和5年度入間航空祭が開催される予定だったが、同月1日に発生した、令和6年能登半島地震による災害派遣活動を優先するため開催中止を発表した[28][29]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 航空自衛隊入間基地
- ^ “入間基地の概要”. 狭山市 (2011年3月1日). 2011年11月1日閲覧。
- ^ 庁内託児施設一覧
- ^ 米軍跡地を災害拠点に 埼玉県入間市、防衛省案を受け入れ - 『日本経済新聞』朝刊2015年9月25日
- ^ “災害時の拠点にも 空自入間基地に病院”. FNNプライムオンライン. (2022年3月18日) 2022年3月19日閲覧。
- ^ “自衛隊入間病院 引越し編”. 防衛ホーム (2022年7月15日). 2023年1月25日閲覧。
- ^ 空自入間基地 所属部隊の看板消える しんぶん赤旗2015年11月4日
- ^ 作戦システム運用隊作戦システム管理群の募集要項
- ^ a b 自衛隊法施行令及び防衛省の職員の給与等に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第57号)官報号外51号(令和4年〈2022年〉3月11日)
- ^ a b “自衛隊入間病院が開院、3病院を集約し高機能化 一般市民の2次救急患者も受け入れ 10診療科で60病床”. 埼玉新聞. (2022年3月18日) 2022年3月22日閲覧。
- ^ a b c d e f “入間基地のあゆみ”. 狭山市 (2011年3月1日). 2011年11月1日閲覧。
- ^ a b “基地跡地利用に関する年譜”. 入間市. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
- ^ 朝雲新聞社編集局 編『陸上自衛隊20年年表』朝雲新聞社、1971年9月20日。
- ^ a b “航空自衛隊入間基地 [入間航空祭]”. 航空自衛隊. 2011年11月1日閲覧。
- ^ 昭和62年防衛施設庁告示第10号
- ^ 1989年度防衛白書
- ^ a b “教育講堂~旧修武台記念館についてお知らせ~”. 航空自衛隊 (2012年3月21日). 2012年11月6日閲覧。
- ^ “航空自衛隊入間基地 [入間基地50年のあゆみ]”. 航空自衛隊 (2008年). 2011年11月1日閲覧。
- ^ “東日本大震災における入間基地の活動状況”. 航空自衛隊 (2011年). 2011年11月1日閲覧。
- ^ “ランウェイウォーク2011中止のお知らせ”. 航空自衛隊 (2011年). 2011年11月1日閲覧。
- ^ 航空自衛隊入間基地への飛行点検機サイテーションUー680Aの配備入間市。2020年5月20日
- ^ 防衛省 航空自衛隊Twitter
- ^ “入間基地への輸送機C-2の配備と電波情報収集機RC-2の配備”. 狭山市 (2021年2月18日). 2021年4月7日閲覧。
- ^ “C-2輸送機と次期電波情報収集機の入間基地への配備に関するお知らせ”. 入間市 (2021年2月22日). 2021年4月7日閲覧。
- ^ “航空医学実験隊第1部、第2部、入間基地へ移転(令和4年3月14日(火))”. 立川分屯基地ホームページ. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “「自衛隊入間病院」新設へ 入間基地に令和3年度末 開院”. 朝雲新聞. (2020年10月8日). オリジナルの2020年10月20日時点におけるアーカイブ。 2022年3月17日閲覧。
- ^ 航空自衛隊入間基地に関する令和4年度概算要求の主要事業について2021年(令和3年)9月、防衛省
- ^ “令和5年度入間航空祭(中止)”. 防衛省 (2024年1月9日). 2024年1月10日閲覧。
- ^ “空自の「入間航空祭」中止に、災害派遣活動に専念…コロナ禍前は32万人来場の大型イベント”. 読売新聞 (2024年1月9日). 2024年1月10日閲覧。
参考文献
編集- 陸軍航空士官学校史刊行会編『陸軍航空士官学校』1996年
関連項目
編集- 西武鉄道池袋線稲荷山公園駅(当基地の敷地内に駅がある)
- 狭山稲荷山公園(米軍管轄時に住宅街となった地域)
- 彩の森入間公園(入間基地の敷地から県営公園に緑地化された)
- ジョンソン・タウン
- 航空自衛隊の基地一覧
- 青空少女隊(清水としみつ原作の漫画。当基地が舞台となっている)
- 日本沈没(2006年公開のリメイク版:当基地でも撮影が行われた)
- 図書館戦争(アニメ版に当基地をモチーフとした基地が登場する。実写映画版でも撮影協力)
- redballoon(デビューシングル「雪のツバサ」のミュージックプロモのロケで使われた)
- CHANGE(月9ドラマ:木村拓哉演じる総理が災害現場にヘリで向かうシーンのロケが行なわれた)
- RIVER(AKB48の曲:プロモーションビデオのロケが行われた)
- 峯岡山分屯基地
- 所沢通信基地
- 宮城事件
- 上原重太郎
- ロングプリー事件
外部リンク
編集- 航空自衛隊入間基地ホームページ
- 航空自衛隊入間基地(Official)(@jasdf_iruma) - Twitter
- 入間修武太鼓(@syubudaiko)- Twitter(駐屯地所属の自衛太鼓)