型紙
染色、洋裁、手芸などで用いられる紙
概説
編集型紙は、いくつかのタイプがあり、たとえば以下のようなものがある。
- 型染めに使う模様を彫りぬいた紙[2]。
- (洋服作り、カバン作り、靴づくり 等々で)必要な形の布(や革など)を得るために、(その形になるよう、身体のサイズなどを基に、定められた方法で計算しつつ特定の図形を紙の上で定規類を用いて作図(製図)したり、既存の出来の良い型紙の形を借用しつつ微修正したり、あるいは欲しい完成品からそのパーツの部分を写しとったりする等々して)その形(=「型」となるべき図形)を紙の上に線で描いたもの。あるいは、紙の上にその線を引いたうえで、その形に切り抜いた紙のこと。
- "何か"を作るための「型」(原型)となる、切り抜かれた紙のこと。その型紙を(多くは板状の)材料に押し当てて、型紙の周囲をペン・鉛筆・鉄筆 等でなぞることで、得ようとしている形の線を、材料の上に引くことができる。様々な加工、職人的仕事、工作など(たとえば木工、金属加工、模型工作、段ボール工作 等々等々)で用いられている。ある型紙を得た人たちは(形について言葉や数字による細かい指示を受けなくとも)同じ形のものを作ることができる。またわざわざ材料ひとつひとつの上で作図する必要が無いので、その手間を省いて同一の形のものを、少ない手間で比較的速く、大量に作ることができる。またある人がある型紙をひとつ保存し続けていれば、長期の年月を経ても、同一形状のものを簡単につくれる。
染色用型紙
編集染色(型染め)用の型紙は、油や柿渋などで加工した紙に文様を彫り抜き、染料や防染糊を捺染したり、注染したりするのに用いる。中国や日本、琉球などで盛んに用いられた。
洋裁用型紙
編集洋服などの布製の物品は、裁断した生地を縫い合わせて構成されている。その裁断生地の平面形状を示し、なぞって布に写すための原寸図を、「型紙」またはパターン(英: sewing pattern)という[1]。
型紙上の線を布に写すには、いくつか方法があるが、たとえば「チャコペーパー」などと呼ばれる複写紙(カーボン紙)と布と型紙を重ねて、型紙上の線をルレット(やヘラや鉄筆など)でなぞるなどして行う。
既存の型紙の入手方法はさまざまあり、手芸店で販売されているものもあり(また一部、手芸店で無料で配布しているものもあり)、書店や図書館などに並ぶ洋服づくりの本などの巻末などに(折り畳まれた、大判の紙の状態で)掲載されている場合もある。また近年ではPDF形式でダウンロード販売するネットショップも散見される。子供服ではA3サイズ、小物ではA4サイズが多く、プリンターで用紙に印刷し、貼りあわせることでひとつの大きな型紙を作ることができるようになっている。
型紙の作成
編集型紙を作成する者および職業は「パタンナー(英: pattern maker)」と呼ぶ。
型紙の作成方法には、立体裁断と平面作図の二つがある[1]。必要な強度や透過度などに合わせ、紙ないしそれに類する素材で作られる。
型紙には布目(布地の織り方向)や縫い代など裁断に必要な指示のほか、縫製に関する事項も記載される。たとえばタックの位置とその倒す方向、ポケットの位置やボタンホールの位置と長さ、ステッチの種類などである。
型紙の種類
編集- ファーストパターン
- デザインに基づき最初に作る型紙。見本縫いに使用される。
- 工業用パターン
- 量産用の型紙。具体的な縫製方法などに合わせてファーストパターンを修正したもの。
- 原型
- 作図の基礎となる型紙。婦人原型・男子原型・子供原型、服種別のシルエット原型などがある[4]。作図が容易で、一般的な体型に適合し、多数のシルエットに展開しやすいことが求められる。
- 有り型
- 既製・定型の型紙を指す俗称。アパレルブランドやメーカーは固有の有り型を持ち、商品展開の基礎に用いている。
他
編集脚注
編集- ^ a b c 大日本百科全書『型紙』
- ^ デジタル大辞泉
- ^ クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館. “KATAGAMI, ABSTRACT WATER PATTERN”. 2018年12月15日閲覧。
- ^ JISには日本人向け衣料の各種標準サイズが規定されている。
- ^ 北名古屋市歴史民俗資料館「昭和モノ事典」
参考文献
編集- 日本大百科全書(ニッポニカ). “型紙”. コトバンク. 2018年12月15日閲覧。
- 北名古屋市歴史民俗資料館. “昭和モノ事典”. 2018年12月15日閲覧。