塩酸塩(えんさんえん、Hydrochloride)は、塩酸アミン等の有機塩基と反応した結果生じるである。フランス語を用いてchlorhydrateとも書く。また、かつて塩酸のことをmuriatic acidと呼んだことから、かつてはmuriateと言った。

例えば、ピリジン(C5H5N)が塩酸(HCl)と反応すると、ピリジン塩酸塩(塩化ピリジニウム)が生じる。分子式は、C5H5N・HClまたはC5H5NH+ Cl-と書く。

利用

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不溶性のアミンを塩酸塩にすることは、それらを可溶化するための常套手段である。この性質は、薬品となる物質には特に望ましい[1]European Pharmacopoeia欧州薬局方)は、薬品中の活性物質として、200を超える塩酸塩を収録している[2]。これらの塩酸塩は、遊離塩基と比べ、消化管内で溶解しやすく、より速く血流に吸収される。さらに、多くのアミン塩酸塩は、各々の遊離塩基と比べ、消費期限が長くなる。

関連項目

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出典

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  1. ^ Stahl, P. Heinrich; Wermuth, Camille G., eds (2011). Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (2nd ed.). John Wiley & Sons. ISBN 978-3-90639-051-2 
  2. ^ European Pharmacopoeia 7th Edition 2011, EDQM.
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