将棋栄誉賞
将棋栄誉賞（しょうぎえいよしょう）は、日本将棋連盟に所属する将棋棋士及び女流棋士が、プロ入り後、公式戦や女流棋戦で通算600勝を挙げた時に達成者に贈られる賞である。1984年に制定された、通算勝ち数に応じて与えられる一つ目の賞である。この後、通算800勝で将棋栄誉敢闘賞、通算1000勝及び通算1200勝で特別将棋栄誉賞、通算1500勝で特別将棋栄誉敢闘賞がそれぞれ達成者に贈られる。
賞の創設は1984年11月。日本将棋連盟60周年の年に行なわれた「第10回将棋の日」式典の第1部として、当時600勝以上達成の棋士9名を表彰した[1][2][3]。
受賞者
編集通算600勝達成者を達成順に記載する（2024年12月20日時点）。
- 「将棋栄誉賞」受賞者：64名（うち女流棋士1名）
- 「通算600勝」達成者：65名（うち女流棋士2名、左記2名のうちフリー1名=受賞対象外）
| ：現役棋士 ：女流棋士 |
| 達成 順 |
受賞 順 |
達成年月日 | 達成者 | 達成時の成績 (持将棋を除く) |
備考 （※ 通算800勝達成） | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | - | 木村義雄 | 記録なし | 1984年受賞 | |
| 2 | 2 | 1965年 | 大山康晴 | 600勝 241敗(0.713) | [4] / 1984年受賞（持将棋 1） | ※ |
| 3 | 3 | 1977年 | 加藤一二三 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | ※ |
| 4 | 4 | 1977年 | 二上達也 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | ※ |
| 5 | 5 | 1979年 | 内藤國雄 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | ※ |
| 6 | 6 | 1980年 | 有吉道夫 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | ※ |
| 7 | 7 | 1981年10月9日 | 中原誠 | 600勝 248敗(0.707) | [4] / 1984年受賞（持将棋 2） | ※ |
| 8 | 8 | 1982年 | 米長邦雄 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | ※ |
| 9 | 9 | 1984年 | 花村元司 | 受賞時600勝以上 | 1984年受賞 | |
| 10 | 10 | 1986年 | 丸田祐三 | 600勝 620敗(0.492) | ||
| 11 | 11 | 1987年2月24日 | 大内延介 | 600勝 388敗(0.607) | [5] | ※ |
| 12 | 12 | 1988年 | 森安秀光 | 600勝 367敗(0.620) | ||
| 13 | 13 | 1988年 | 桐山清澄 | 600勝 389敗(0.607) | ※ | |
| 14 | 14 | 1989年 | 加藤博二 | 600勝 614敗(0.494) | ||
| 15 | 15 | 1989年 | 関根茂 | 600勝 560敗(0.517) | ||
| 16 | 16 | 1991年 | 西村一義 | 600勝 485敗(0.553) | ||
| 17 | 17 | 1991年12月31日 | 谷川浩司 | 600勝 294敗(0.671) | 初の20代受賞〈当時最年少〉[6] | ※ |
| 18 | 18 | 1993年 | 勝浦修 | 600勝 478敗(0.557) | ||
| 19 | 19 | 1994年 | 森雞二 | 600勝 464敗(0.564) | ※ | |
| 20 | 20 | 1999年2月10日 | 羽生善治 | 600勝 209敗(0.742) | [7][8] 最年少・最速・最高勝率 | ※ |
| 21 | 21 | 1999年6月11日 | 石田和雄 | 600勝 544敗(0.524) | [9][10][11] | |
| 22 | 22 | 2000年9月22日 | 森下卓 | 600勝 319敗(0.653) | [12] | ※ |
| 23 | 23 | 2000年9月23日 | 青野照市 | 600勝 475敗(0.558) | [12] | ※ |
| 24 | 24 | 2000年10月 | 田中寅彦 | 600勝 405敗(0.597) | ||
| 25 | 25 | 2000年 | 高橋道雄 | 600勝 385敗(0.609) | ※ | |
| 26 | 26 | 2003年7月18日 | 佐藤康光 | 600勝 313敗(0.657) | [4] | ※ |
| 27 | 27 | 2003年9月5日 | 淡路仁茂 | 600勝 525敗(0.533) | [13] | |
| 28 | 28 | 2003年11月21日 | 南芳一 | 600勝 423敗(0.587) | [14] | ※ |
| 29 | 29 | 2004年1月15日 | 森内俊之 | 600勝 282敗(0.680) | [15] | ※ |
| 30 | 30 | 2004年8月8日 | 島朗 | 600勝 445敗(0.574) | [16] | ※ |
| 31 | 31 | 2006年3月10日 | 中村修 | 600勝 461敗(0.566) | [17] | ※ |
| 32 | 32 | 2006年7月18日 | 田中魁秀 | 600勝 616敗(0.493) | [18] | |
| 33 | 33 | 2007年5月11日 | 丸山忠久 | 600勝 290敗(0.674) | [19] | ※ |
| 34 | 34 | 2007年8月31日 | 阿部隆 | 600勝 362敗(0.624) | [20] | ※ |
| 35 | 35 | 2007年10月3日 | 郷田真隆 | 600勝 318敗(0.654) | [21] | ※ |
| 36 | 36 | 2008年8月8日 | 中田宏樹 | 600勝 358敗(0.626) | [22] | |
| 37 | 37 | 2008年10月28日 | 井上慶太 | 600勝 419敗(0.591) | [23] | |
| 38 | 38 | 2008年12月16日 | 塚田泰明 | 600勝 465敗(0.563) | [24] | |
| 39 | 39 | 2009年1月20日 | 深浦康市 | 600勝 281敗(0.681) | [25] | ※ |
| 40 | 40 | 2009年6月9日 | 小林健二 | 600勝 580敗(0.508) | [26] | |
| 41 | 41 | 2009年7月10日 | 屋敷伸之 | 600勝 340敗(0.638) | [27] | ※ |
| 42 | 42 | 2010年8月6日 | 土佐浩司 | 600勝 573敗(0.512) | 達成時 七段[28] | |
| 43 | 43 | 2011年12月9日 | 中川大輔 | 600勝 370敗(0.619) | [29] | |
| 44 | 44 | 2012年3月8日 | 福崎文吾 | 600勝 604敗(0.498) | [30] | |
| 45 | 45 | 2012年10月10日 | 日浦市郎 | 600勝 447敗(0.573) | 順位戦B級2組以上の経験がない棋士では初 [31] | |
| 46 | 46 | 2013年1月10日 | 久保利明 | 600勝 356敗(0.628) | [32] | ※ |
| 47 | 47 | 2013年2月7日 | 先崎学 | 600勝 392敗(0.605) | [33] | |
| 48 | (-) | (2015年1月22日) | (中井広恵) | 600勝 288敗(0.676) | 女流初の達成、受賞対象外[34] | |
| 49 | 48 | 2015年2月3日 | 脇謙二 | 600勝 593敗(0.503) | [35] | |
| 50 | 49 | 2016年1月27日 | 藤井猛 | 600勝 426敗(0.585) | [36] | |
| 51 | 50 | 2016年11月28日 | 清水市代 | 600勝 252敗(0.704) | 女流2人目の達成、女流初の受賞[37] | |
| 52 | 51 | 2017年10月4日 | 泉正樹 | 600勝 612敗(0.495) | [38] | |
| 53 | 52 | 2017年12月21日 | 木村一基 | 600勝 342敗(0.637) | [39] | |
| 54 | 53 | 2018年1月29日 | 行方尚史 | 600勝 381敗(0.612) | [40] | |
| 55 | 54 | 2018年8月27日 | 三浦弘行 | 600勝 420敗(0.588) | [41] | |
| 56 | 55 | 2019年1月7日 | 渡辺明 | 600勝 313敗(0.657) | [42] | |
| 57 | 56 | 2019年4月12日 | 山崎隆之 | 600勝 329敗(0.646) | [43] | |
| 58 | 57 | 2022年1月28日 | 杉本昌隆 | 600勝 494敗(0.548) | [44] | |
| 59 | 58 | 2022年8月2日 | 神崎健二 | 600勝 560敗(0.517) | [45] | |
| 60 | 59 | 2023年8月23日 | 佐藤秀司 | 600勝 516敗(0.538) | [46] | |
| 61 | 60 | 2023年9月11日 | 畠山鎮 | 600勝 537敗(0.528) | [47] | |
| 62 | 61 | 2023年11月2日 | 富岡英作 | 600勝 645敗(0.482) | [48] | |
| 63 | 62 | 2024年5月22日 | 豊島将之 | 600勝 309敗(0.660) | [49][50] / 対局数(911局)には持将棋2を含む | |
| 64 | 63 | 2024年8月14日 | 神谷広志 | 600勝 709敗(0.458) | [51][52][注 1] | |
| 65 | 64 | 2024年12月20日 | 鈴木大介 | 600勝 492敗(0.549) | [53][54] | |
| 「通算600勝」達成65名、「将棋栄誉賞」受賞64名（達成時フリーの中井広恵は受賞対象外） | ||||||
女流棋士の600勝
編集女流棋士であっても600勝に達すれば表彰の対象となるが、棋戦の少ない女流棋士で同じ600勝を達成するのは非常に難しく、2015年に中井広恵（フリー）が600勝に到達したのが女流初であり（中井600勝288敗）[34]、2016年に清水市代が女流2人目の600勝に到達した（清水600勝252敗）。中井は600勝達成時点で日本将棋連盟の所属ではなかったため「将棋栄誉賞」の受賞対象とはならず、女流棋士受賞第1号は女流2人目の600勝達成者の清水となった。
2000年代以降、マイナビ女子オープン（2007年）、女流王座戦（2011年）、清麗戦（2019年）、白玲戦・女流順位戦（2020年）と大型棋戦の新設で8大タイトル戦となったため、達成難易度は徐々に低くなってきているものの、女流棋戦の総対局数は、参加人数が多い棋士の公式戦より依然として少ない状況である。そのため、女流棋士が対局数を稼いで600勝を達成するためには、長年に渡って女流タイトル戦の番勝負に多数回登場するレベルの実力が必要となる。
脚注
編集出典
編集- 軽部信昭 『将棋界 歴代最強棋士は 徹底分析』 e-Bookland、2011年、p.153
- ^ 『写真でつづる将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1987年、250頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 『近代将棋 1984年12月号』218-219頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 『近代将棋 1985年1月号』194-197頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ a b c 「佐藤康光棋聖、通算600勝（将棋栄誉賞）達成」『日本将棋連盟』。2003年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^
- 『近代将棋 1987年4月号』234頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- 『近代将棋 1987年5月号』116-117頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ^ 『近代将棋 1992年3月号「プロ棋界最前線（武者野勝巳）」』近代将棋社、196–199頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 「羽生善治二冠が公式戦通算1000勝(特別将棋栄誉賞)を達成」『日本将棋連盟』2007年12月20日。2007年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 『近代将棋 1999年5月号』157頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 『近代将棋 1999年8月号』近代将棋社、188頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 『近代将棋 1999年9月号』近代将棋社、187頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ 『記録室』日本将棋連盟。2000年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b 『近代将棋』 2000年12月号、近代将棋 / 国立国会図書館デジタルコレクション、187頁。
- ^ 「淡路仁茂、通算600勝（将棋栄誉賞）達成」『日本将棋連盟』。2003年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「南芳一、通算600勝（将棋栄誉賞）達成」『日本将棋連盟』。2004年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「森内俊之竜王 600勝（将棋栄誉賞）達成／日本将棋連盟からのお知らせ」『日本将棋連盟』2004年1月15日。2004年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ “島朗八段、通算600勝を達成（日本将棋連盟からのお知らせ）”. 2004年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月13日閲覧。
- ^ 『中村修八段、通算600勝を達成（日本将棋連盟からのおしらせ 2006年03月）』。2006年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ “日本将棋連盟からのお知らせ”. 2006年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月21日閲覧。
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- ^ “郷田真隆九段 600勝（将棋栄誉賞）を達成！”. 日本将棋連盟. (2007年10月3日) 2017年10月5日閲覧。
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- ^ “井上慶太八段、600勝（将棋栄誉賞）を達成”. 日本将棋連盟. (2008年10月28日) 2017年10月5日閲覧。
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- ^ 「通算成績（2024年5月22日対局分まで）｜成績・ランキング」『日本将棋連盟』2024年5月23日。2024年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「神谷広志八段、600勝(将棋栄誉賞)を達成」『日本将棋連盟』2024年8月15日。
- ^ 「通算成績（2024年8月14日対局分まで、未放映のテレビ対局を除く）」『日本将棋連盟』2024年5月23日。2024年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。
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注記
編集- ^ 「既定の成績を挙げ（略）600勝(将棋栄誉賞)を達成」との表記は未放映のテレビ対局の場合に用いられ、達成日に該当する棋戦は「第33期銀河戦」の予選対局のみ。