水頭症

脳脊髄液が頭蓋腔内に貯まり、脳室が正常より大きくなる病気

水頭症(すいとうしょう)とは、脳脊髄液の産生・循環・吸収などいずれかの異常により髄液が頭蓋腔内に貯まり、脳室が正常より大きくなる病気である。脳脊髄液による脳の圧迫が、脳機能に影響を与える。おもに乳幼児に多くみられる。

水頭症
水頭症患者のCTスキャン
概要
分類および外部参照情報
ICD-10 G91, Q03
ICD-9-CM 331.3, 331.4, 741.0, 742.3
DiseasesDB 6123
MedlinePlus 001571
eMedicine neuro/161
Patient UK 水頭症
MeSH D006849
水頭症と通常の脳の違い。脳室系頭蓋の拡大、脳溝が狭まり、脳回が平らになる。
水頭症の患者の頭蓋骨
頭蓋そのものが成長期に受けた圧力により肥大している。
脳水腫について
「水頭症」は以前「脳水腫」と称されることが多かったが、「脳水腫」は別の意味に用いられる場合がある。新病理学各論 1975年版では、脳浮腫を「脳水腫(brain edema)」とする記載がみられ、このような混同を避けるためにも「水頭症」の用語が適切と考えられる[1]

原因

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先天奇形に伴うもの

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中枢神経系の先天奇形では、脳脊髄液の循環経路のどこかに閉塞(または狭窄)を伴っていることにより、水頭症を呈するものがある。

など。

脳の器質的疾患によるもの

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  • 脳腫瘍 - 腫瘍による圧迫のため、脳脊髄液の循環系が閉塞する。特に中脳水道など、解剖学的に狭い部分が閉塞しやすい。
  • クモ膜下出血 - 脳脊髄液は側脳室脈絡叢で産生され、クモ膜顆粒で吸収されるが、クモ膜下出血後にはこのクモ膜顆粒の機能が障害され、水頭症となることがある。脳圧の上昇が強くはなく、慢性の経過で神経症状が現れるものは正常圧水頭症と呼ばれ、脳圧亢進症状よりも高次機能の低下(認知症に類似する)が目立つことがある。

感染症

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その他

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早産児低出生体重児にみられる脳室周囲白質軟化症では、文字通り脳室周囲の白質が障害されて容積が減少するため、結果として脳室が拡大する。しかし脳室・脳脊髄液側の異常ではないため、水頭症とは呼ばれない。

一方、新生児の脳室内出血(または上衣下出血)に伴い脳脊髄液の循環異常が生じることにより、水頭症を発症することもある。

症状

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脳圧が上がることによる頭痛や嘔吐、視神経の圧迫による視力低下や視力異常、失明。また、天気による、気圧の変化も影響する場合がある。

治療

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脳室腹腔とを繋ぐように皮下にチューブを通す脳室―腹腔短絡術(V-P shunt)を行うのが最も一般的である。その他に、脳室と心房とを繋ぐ脳室―心房短絡術(V-A shunt)、腰椎硬膜下腔と腹腔とを繋ぐ腰椎―腹腔短絡術(L-P shunt)も行われる。シャントバルブには圧固定式と圧可変式があり、最近では圧可変式バルブが用いられることが多い。圧可変式バルブでは、症状に応じて髄液の流れる圧設定を調節することができる。

有名な人物の例

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関連項目

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脚注

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  1. ^ 坂田一記「水頭症関連用語の交通整理」『日本外科宝函』第46巻第2号、京都大学医学部外科整形外科学教室内 日本外科宝函編集室、1977年3月、77-78頁、ISSN 00039152NAID 120005715636 

外部リンク

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