深谷忠記
日本の小説家(1943-)
概要
編集- 1982年、『ハーメルンの笛を聴け』で江戸川乱歩賞候補となる。
- 1985年、『殺人ウイルスを追え』で第三回サントリーミステリー大賞の佳作に入選し、本格派の新鋭として注目を集める。
- 1986年の『信州・奥多摩殺人ライン』以後は、数学者の黒江壮と出版社の文芸部員・笹谷美緒のコンビを主人公にした『阿蘇・雲仙逆転の殺人』、『札幌・仙台48秒の逆転』といったトラベルミステリー、『「法隆寺の謎」殺人事件』、『人麻呂の悲劇』といった歴史ミステリーを主に書き続けてきたが、1994年の『運命の塔』を境にして、以後は『自白の風景』、『十五年目の序章』(『五十年目の序章』と改題)、『迷界流転』(『平城京殺人事件』と改題)などの単発物が増え、2000年以後は『目撃』、『Pの迷宮』(『黙秘』と改題)、『審判』、『毒』、『傷』、『殺人者』といった単発物の社会派本格ミステリーが中心になっている。
作品
編集シリーズ作品
編集壮&美緒シリーズ
編集東京・水道橋にある
(けいめいだいがく)で助手(のちに講師に昇格)をしている数学者の黒江壮と、 神田にある中堅出版社・清新社(せいしんしゃ)の文芸書籍編集部員の笹谷美緒のコンビが、難事件を解決するトラベルミステリーシリーズ。- 信州・奥多摩殺人ライン(1986年9月 エイコー・ノベルズ / 1989年3月 ケイブンシャ文庫 / 1992年8月 講談社文庫 / 2017年3月 光文社文庫)
- 「阿蘇・雲仙」逆転の殺人(1986年10月 カッパ・ノベルス / 1990年6月 光文社文庫 / 2000年2月 ケイブンシャ文庫)
- 「札幌・仙台」48秒の逆転(1987年4月 カッパ・ノベルス / 1990年10月 光文社文庫 / 2000年12月 ケイブンシャ文庫)
- アリバイ特急+-の交叉(1987年7月 講談社ノベルス / 1990年5月 講談社文庫 / 1997年8月 ケイブンシャ文庫)
- 「南紀・伊豆」Sの逆転(1987年11月 カッパ・ノベルス / 1991年2月 光文社文庫 / 2001年11月 ケイブンシャ文庫)
- 津軽(アリバイ)海峡+-の交叉(1988年1月 講談社ノベルス / 1991年4月 講談社文庫 / 1998年3月 ケイブンシャ文庫)
- 「法隆寺の謎」殺人事件(1988年5月 カッパ・ノベルス / 1992年2月 光文社文庫 / 1999年7月 徳間文庫)
- 横浜・長崎殺人ライン(1988年7月 エイコー・ノベルズ / 1991年8月 光文社文庫)
- 弥彦・出雲崎殺人ライン(1988年9月 トクマ・ノベルズ / 1991年7月 徳間文庫 / 2001年1月 光文社文庫)
- 「万葉集の謎」殺人事件(1988年12月 カッパ・ノベルス / 1992年7月 光文社文庫 / 2000年1月 徳間文庫)
- 寝台特急「出雲」+-の交叉(1989年3月 講談社ノベルス / 1992年1月 講談社文庫 / 1998年11月 ケイブンシャ文庫)
- 「邪馬台国の謎」殺人事件(1989年7月 カッパ・ノベルス / 1993年3月 光文社文庫 / 2000年7月 徳間文庫)
- 詩人の恋 信州殺人事件(1989年9月 ノン・ノベル / 1996年6月 ノン・ポシェット)
- 指宿・桜島殺人ライン(1989年11月 トクマ・ノベルズ / 1993年4月 徳間文庫 / 2002年7月 光文社文庫)
- 鈴蘭伝説の殺人(1990年1月 カッパ・ノベルス)
- 【改題】札幌・鈴蘭伝説の殺人(1993年8月 光文社文庫 / 2001年7月 徳間文庫)
- 「博多・熱海」殺人交点(1990年5月 カッパ・ノベルス)
- 【改題】熱海・黒百合伝説の殺人(1994年3月 光文社文庫 / 2002年1月 徳間文庫)
- 北津軽逆アリバイの死角(1990年7月 講談社ノベルス / 1993年6月 講談社文庫)
- 【改題】「太宰治の旅」殺人事件(1999年6月 ケイブンシャ文庫)
- 天城峠殺人交差(1990年10月 ノン・ノベル)
- 【改題】踊り子の謎 天城峠殺人交差(1997年12月 ノン・ポシェット)
- 函館・芙蓉伝説の殺人(1990年12月 カッパ・ノベルス / 1994年8月 光文社文庫 / 2002年8月 徳間文庫)
- 伊良湖・犬山殺人ライン(1991年5月 トクマ・ノベルズ / 1995年11月 徳間書店 / 2003年5月 光文社文庫)
- 人麻呂の悲劇(1991年9月 カッパ・ノベルス【上・下】 / 1995年4月 光文社文庫【上・下】 / 2006年4月 徳間文庫)
- 萩・津和野殺人ライン(1992年3月 カドカワノベルズ / 1994年12月 角川文庫 / 2004年5月 光文社文庫)
- 倉敷・博多殺人ライン(1992年11月 C★NOVELS / 1997年10月 中公文庫 / 2005年5月 光文社文庫)
- 釧路・札幌1/10000の逆転(1993年6月 カッパ・ノベルス / 1998年2月 光文社文庫 / 2011年3月 光文社文庫【新装版】)
- 尾道・鳥取殺人ライン(1993年10月 ジョイ・ノベルス / 2001年8月 光文社文庫 / 2008年4月 徳間文庫)
- 横浜・修善寺0の交差(1994年9月 講談社ノベルス / 1997年8月 講談社文庫 / 2005年12月 光文社文庫)
- 能登・金沢30秒の逆転(1995年11月 カッパ・ノベルス / 2000年4月 光文社文庫)
- 長崎・壱岐殺人ライン(1996年5月 カドカワノベルズ / 2000年3月 角川文庫 / 2006年7月 光文社文庫)
- 千曲川殺人悲歌(1997年5月 講談社ノベルス / 2001年1月 講談社文庫 / 2006年12月 光文社文庫)
- 安曇野・箱根殺人ライン(1999年10月 ジョイ・ノベルス / 2003年8月 講談社文庫 / 2010年5月 光文社文庫)
- 札幌・オホーツク逆転の殺人(2000年10月 カッパ・ノベルス / 2003年10月 光文社文庫 / 2018年8月 光文社文庫【新装版】)
- 佐渡・密室島の殺人(2002年8月 トクマ・ノベルズ / 2004年8月 徳間文庫 / 2007年12月 光文社文庫)
- 十和田・田沢湖殺人ライン(2004年9月 ジョイ・ノベルス / 2008年5月 光文社文庫)
- 多摩湖・洞爺湖殺人ライン(2006年6月 ジョイ・ノベルス / 2009年5月 光文社文庫)
- 「奥の細道」不連続殺人ライン(2013年9月 徳間文庫)
- 遺産相続の死角 東京~札幌殺人ライン(2014年7月 光文社文庫)
- 悪意の死角 東京~京都殺人ライン(2015年7月 光文社文庫)
- 愛の死角 京都~東京殺人ライン(2016年9月 光文社文庫)
- Nの悲劇 東京~金沢殺人ライン(2017年12月 光文社文庫)
- AIには殺せない 東京~出雲殺人ライン(2019年1月 光文社文庫)
宇津木冬彦シリーズ
編集警視庁捜査一課警部補である宇津木冬彦が活躍するシリーズ。
- 飛鳥殺人事件(1992年8月 カッパ・ノベルス【上・下】 / 1996年2月 光文社文庫【上・下】 / 2005年6月 徳間文庫)
- 東京・上海 二重交点の謎(1995年1月 カッパ・ノベルス)
- 【改題】横浜・木曾殺人交点(1999年4月 光文社文庫 / 2004年4月 徳間文庫)
シリーズ外作品
編集- 落ちこぼれ探偵塾―偏差値殺人事件(1982年7月 ソノラマ文庫)
- 【改題】偏差値殺人事件(1988年1月 ケイブンシャ文庫)
- 偏差値・内申書殺人事件(1998年1月 講談社文庫)- 「偏差値殺人事件」と「内申書殺人事件」の合本
- 【改題】偏差値殺人事件(1988年1月 ケイブンシャ文庫)
- ハムレットの内申書(1983年7月 ソノラマ文庫)
- 【改題】内申書殺人事件(1988年7月 ケイブンシャ文庫)
- 偏差値・内申書殺人事件(1998年1月 講談社文庫)- 「偏差値殺人事件」と「内申書殺人事件」の合本
- 【改題】内申書殺人事件(1988年7月 ケイブンシャ文庫)
- 甲子園殺人事件(1984年5月 ソノラマ文庫 / 1987年9月 ケイブンシャ文庫 / 1996年4月 光文社文庫)
- 西多摩殺人事件(1984年11月 エイコー・ノベルズ)
- 【改題】成田・青梅殺人ライン(1988年10月 光文社文庫 / 1998年9月 日文文庫)
- 0.096逆転の殺人(1986年4月 カッパ・ノベルス / 1990年2月 光文社文庫 / 1997年10月 日文文庫)
- 南房総・殺人ライン(1987年2月 廣済堂ブルーブックス / 1988年10月 広済堂文庫)
- 【改題】房総・武蔵野殺人ライン(1994年6月 講談社文庫)
- 一万分の一ミリの殺人(1987年6月 廣済堂ブルーブックス / 1989年10月 講談社文庫)
- 【改題】殺人ウイルスを追え(2000年5月 日文文庫 / 2014年10月 光文社文庫)
- 東大・一橋大ゼロの誘拐(1987年10月 トクマ・ノベルズ)
- 【改題】ゼロの誘拐(1990年11月 徳間文庫 / 1999年8月 日文文庫)
- 暗号・殺人劇場(1988年4月 ノン・ノベル)
- 【改題】一七七文字の殺人(1995年6月 ノン・ポシェット)
- ハーメルンの笛を聴け(1989年5月 中央公論新社 / 1991年11月 C★NOVELS / 1995年8月 中公文庫)
- 虹色の罠(1989年8月 トクマ・ノベルズ / 1991年11月 徳間文庫)
- 【収録作】「死者の証明」「虫の魂」「残酷な夕陽」「哀れな鬼子母」「誤算」「お礼参り」
- 黒の組曲(1992年1月 双葉社 / 1994年1月 双葉ノベルズ / 1996年3月 双葉文庫)
- 運命の塔(1994年5月 講談社 / 1996年6月 講談社ノベルス / 2002年6月 講談社文庫)
- 十五年目の序章(1995年8月 徳間書店)
- 【改題】五十年目の序章 東京・佐賀殺人ライン(1997年9月 トクマ・ノベルズ / 2000年12月 徳間文庫)
- 自白の風景(1996年10月 講談社 / 2001年1月 トクマ・ノベルズ / 2003年2月 徳間文庫)
- 男+女=殺人(1997年6月 実業之日本社)
- 【収録作】「居眠り刑事」「武蔵が教えた」「階上のピアノ」「欲と毒」「綾の怨恨」「祭り囃子の夜」「凶悪な炎」「偶然と必然」
- ダンチェンコの罠(1997年10月 双葉社)
- 【改題】逆転!一億円詐取(2001年6月 トクマ・ノベルズ / 2003年6月 双葉文庫)
- 迷界流転(1998年4月 中央公論新社)
- 【改題】平城京殺人事件(2001年2月 中公文庫 / 2004年12月 光文社文庫)
- ソドムの門(1999年1月 祥伝社 / 2002年10月 祥伝社文庫)
- タイム(2000年3月 角川書店 / 2002年5月 角川文庫)
- 目撃(2002年3月 角川書店 / 2005年10月 角川文庫 / 2020年12月 徳間文庫)
- 殺意の陥穽(2003年6月 徳間書店 / 2007年6月 徳間文庫)
- Pの迷宮(2003年9月 角川書店)
- 【改題・加筆】黙秘(2009年7月 講談社文庫)
- 審判(2005年4月 徳間書店 / 2009年5月 徳間文庫 / 2019年6月 徳間文庫【新装版】)
- 毒(2006年8月 徳間書店 / 2011年1月 徳間文庫)
- 傷(2007年7月 徳間書店)
- 【改題】立証(2011年6月 徳間文庫 / 2022年1月 徳間文庫【新装版】)
- 悲劇もしくは喜劇(2008年7月 実業之日本社)
- 【改題・全面改稿】偽証(2010年11月 実業之日本社文庫 / 2023年7月 徳間文庫)
- 殺人者(2009年8月 徳間書店)
- 【改題】殺人者(ソウル・マーダー)(2012年2月 徳間文庫 / 2023年3月 徳間文庫【新装版】)
- 評決(2010年7月 徳間書店)
- 【改題】評決の行方 母親殺し事件の深層(2015年11月 光文社文庫)
- 無罪(2011年8月 徳間書店 / 2018年4月 光文社文庫)
- 共犯(2012年8月 徳間書店)
- 【改題】共犯 幼女誘拐事件の行方(2016年3月 光文社文庫)
- 我が子を殺した男(2017年6月 光文社文庫)
- 【収録作】「欲と毒」「階上のピアノ」「居眠り刑事」「武蔵が教えた」「我が子を殺した男」
- 執行(2021年8月 徳間書店 / 2023年12月 徳間文庫)
アンソロジー
編集「」内が深谷忠記の作品
- 推理小説代表作選集 1987年版(1988年5月 講談社)「死者の証明」
- 【改題・再編集】誰がための殺人 ミステリー傑作選25(1993年11月 講談社文庫)
- ミステリーが好き(1990年4月 新潮社 / 1995年1月 講談社文庫)「階上のピアノ」
- 日本ベストミステリー「珠玉集」〈中〉(1992年7月 光文社カッパ・ノベルス)「綾の怨恨」
- 【改題】秘密コレクション 日本ベストミステリー選集23(1996年7月 光文社文庫)
- 「傑作推理」(ベスト・オブ・ベスト)大全集〈下〉(1995年8月 光文社カッパ・ノベルス)「武蔵が教えた」
- 【改題】黒衣のモニュメント 日本ベストミステリー選集27(2000年6月 光文社文庫)
- 現場不在証明 ミステリーアンソロジー(1995年8月 角川文庫)「凶悪な炎」
- 最新「珠玉推理」大全〈中〉(1998年9月 光文社カッパ・ノベルス)「井伊直弼は見ていた?」
- 【改題】怪しい舞踏会 日本ベストミステリー選集29(2002年5月 光文社文庫)
- 迷宮の旅行者 本格推理展覧会(1999年10月 青樹社文庫)「居眠り刑事」
- 自選ショート・ミステリー2 ミステリー傑作選・特別編〈6〉(2001年10月 講談社文庫)「蒔いた種」
- 事件現場に行こう(2001年11月 光文社カッパ・ノベルス)「無意識的転移」
- 【文庫】事件現場に行こう 日本ベストミステリー選集33(2006年4月 光文社文庫)
映像化作品
編集テレビドラマ
編集- 月曜ドラマスペシャル
- 萩・津和野殺人ライン(1998年7月27日、主演:村上弘明・水野真紀)
バラエティー
編集- 超再現!ミステリー(2012年7月17日、日本テレビ系、原作:毒)
脚注
編集- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.463