猪木武徳
日本の経済学者
猪木 武德(いのき たけのり、1945年9月22日[2] - )は、日本の経済学者。専門は、労働経済学・経済思想・経済史。大阪大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授、文化功労者。勲等は瑞宝中綬章。学位はPh.D., Economics(マサチューセッツ工科大学・1974年)。名の「德」にはJIS X 0208のコードが割り当てられていないため、新字体で猪木 武徳(いのき たけのり)とも表記される。
文化功労者顕彰に際して 公表された肖像写真 | |
生誕 |
1945年9月22日(79歳) 滋賀県 |
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国籍 | 日本 |
研究機関 |
大阪大学 国際日本文化研究センター 青山学院大学 |
研究分野 |
労働経済学 経済思想 経済史 |
母校 |
京都大学経済学部卒業 マサチューセッツ工科大学大学院修了 |
学位 |
Ph.D., Economics (マサチューセッツ工科大学 ・1974年) |
博士課程 指導教員 | チャールズ・キンドルバーガー[1] |
受賞 |
日経・経済図書文化賞(1987年) サントリー学芸賞(1987年) 大平正芳記念賞(1988年) 石橋湛山賞(1998年) 読売・吉野作造賞(2002年) 桑原武夫学芸賞(2004年) |
大阪大学経済学部教授、大阪大学経済学部学部長、国際日本文化研究センター教授、国際日本文化研究センター所長、青山学院大学国際政治経済学部特任教授などを歴任した。
来歴
編集生い立ち
編集滋賀県出身[2]。父は、政治学者の猪木正道[2]。洛星高等学校、京都大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学大学院修了。
経済学者として
編集大阪大学経済学部教授[2]・学部長[2]を経て、2002年より国際日本文化研究センター教授[2]。2008年、同所長[2]。日本学術会議会員。2007年から2008年まで、日本経済学会会長も務めた。2012年3月末をもって、日文研所長を退任、同名誉教授。同年4月から2016年3月まで青山学院大学国際政治経済学部特任教授を務めた。2019年12月からは石橋湛山研究学会会長を務める[3]。2016年1月に、皇居での「講書始」で「技術と労働と生産性の関係について」を進講。2019年、瑞宝中綬章受章[4][5]。
名前
編集本名は「猪木 武德」であり、文化功労者顕彰に際しての文部科学省の発表でも「武德」と表記されている[6]。ただ、名の「德」はJIS X 0208のコードが割り当てられていない文字であるため、新字体の「徳」で代用して「猪木 武徳」と表記される場合も多い。
賞歴
編集栄典
編集著書
編集単著
編集- 『経済思想』(岩波書店、1987年)
- 『新しい産業社会の条件――競争・協調・産業民主主義』(岩波書店、1993年)
- 『20世紀の日本 (7) 学校と工場―日本の人的資源』(読売新聞社、1996年)、北岡伸一・御厨貴と編集委員(全12巻)
- 『デモクラシーと市場の論理』(東洋経済新報社、1997年)
- 『日本の近代 (7) 経済成長の果実 1955-1972』(中央公論新社、2000年/中公文庫、2013年)、伊藤隆・北岡伸一・御厨貴と編集委員(全16巻)
- 『自由と秩序――競争社会の二つの顔』(中央公論新社〈中公叢書〉、2001年/中公文庫、2015年)、解説宇野重規
- 『文芸にあらわれた日本の近代――社会科学と文学のあいだ』(有斐閣、2004年)
- 『日本の現代 (11) 大学の反省』(NTT出版、2009年)
- 『戦後世界経済史 自由と平等の視点から』(中公新書、2009年)
- 『公智と実学』(慶應義塾大学出版会、2012年)
- 『経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み』(中公新書、2012年)
- 『自由の思想史 市場とデモクラシーは擁護できるか』(新潮選書、2016年)
- 『叢書・知を究める 自由の条件 スミス・トクヴィル・福澤諭吉の思想的系譜』(ミネルヴァ書房、2016年)
- 『デモクラシーの宿命 歴史に何を学ぶのか』(中央公論新社、2019年)
- 『社会思想としてのクラシック音楽』(新潮選書、2021年)
- 『経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う』(中公新書、2021年)
- 『地霊を訪ねる─―もうひとつの日本近代史』(筑摩書房、2023年)
共著
編集- (高橋進)『世界の歴史 (29) 冷戦と経済繁栄』(中央公論新社、1999年/中公文庫、2010年)
- (宮本又郎・杉原薫・服部民夫・近藤光男・加護野忠男・竹内洋)『日本型資本主義――どうなるどうする戦略と組織と人材』(有斐閣、2003年)
編著
編集- 『戦間期日本の社会集団とネットワーク――デモクラシーと中間団体』(NTT出版、2008年)
- 『<働く>はこれから 成熟社会の労働を考える』(岩波書店、2014年)
共編著
編集- (小池和男)『人材形成の国際比較―東南アジアと日本』(東洋経済新報社、1987年)
- (安場保吉)『日本経済史(8)高度成長』(岩波書店、1989年)
- (鴇田忠彦・藪下史郎)『入門・経済学』(有斐閣、1990年)
- (連合総合生活開発研究所)『「転職」の経済学――適職選択と人材育成』(東洋経済新報社、2001年)
- (大竹文雄)『雇用政策の経済分析』(東京大学出版会、2001年)
- (小池和男)『ホワイトカラーの人材形成――日米英独の比較』(東洋経済新報社、2002年)
- (小松和彦・白幡洋三郎・瀧井一博)『新・日本学誕生―国際日本文化研究センターの25年』(角川学芸出版、2012年)
- (マルクス・リュッターマン)『近代日本の公と私、官と民』(NTT出版、2014年)
訳書
編集- ケネス・E・ボールディング『社会進化の経済学』(HBJ出版局、1987年)
- ピーター・テミン『大恐慌の教訓』(東洋経済新報社、1994年)
脚注
編集- ^ Inoki, Takenori (1974). Aspects of German peasant emigration to the United States 1815-1914: a reexamination of some behavioral hypotheses in migration theory (Ph.D. thesis). MIT. 2017年4月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g デジタル版 日本人名大辞典+Plus『猪木武徳』 - コトバンク
- ^ 猪木武徳「石橋湛山研究学会の目指すところ」『自由思想』第156号、2020年、pp.34-35
- ^ 『官報』号外第14号、令和元年5月21日
- ^ “令和元年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. 2023年1月19日閲覧。
- ^ a b “令和元年度 文化功労者”. 文部科学省 (2019年11月3日). 2020年11月2日閲覧。
- ^ 受賞作品一覧 潮出版社
- ^ 2017年3月に、英文版『学校と工場-二十世紀日本の日本の人的資源』(トニー・ゴンザレス訳、出版文化産業振興財団)が出版。