神経繊維
神経繊維(しんけいせんい、医学用語としては神経線維と表記、英: nerve fiber, axon)は、神経細胞の細胞体から延びる細長い突起で、神経細胞の軸索と神経鞘を総称したものである(神経鞘を持たない場合は、軸索のみを指す)。元来は神経「繊維」と表記されており生物学用語としては現在までこの通りの表記だが、1940年代以降に医学では神経「線維」と表記されるようになっていった[1]。
神経細胞 |
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顕微鏡像で軸索部分が白い(主として軸索に巻き付くグリア細胞のもつ脂質が白いことが原因である)ことから「神経繊維」と呼んでおり、神経をマクロ的にとらえた表現であり、神経細胞の部位を指す語句としてはほとんど用いない。神経繊維は活動電位の伝導に加え、神経終末と細胞体との間の物質交換に役立っている。肉眼で確認できる「神経」は、神経繊維の束(神経繊維束)とその周囲の結合組織からなる。
分類
編集末梢神経の神経繊維は髄鞘の有無(有髄神経繊維、無髄神経繊維と呼ぶ)、直径、伝導速度等で分類される。下表で判る通り、有髄神経繊維と無髄神経繊維では有髄神経繊維が、同じ種類の神経繊維間では直径が大きい方が伝導速度が速い。前者は跳躍伝導、後者は電気緊張電位の広がりの違いによる。
一般に、骨格筋運動と付随する固有感覚、部位のはっきりした皮膚感覚は伝導速度の速い神経繊維を、交感神経活動や鈍痛などは伝導速度の遅い神経繊維を利用して伝えられる。
分類 | 髄鞘 | 平均直径(μm) | 平均伝導速度(m/s) | 役割 |
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Aα | 有 | 15 | 100 | 骨格筋や腱からの感覚、骨格筋の運動 |
Aβ | 有 | 8 | 50 | 皮膚の触圧覚 |
Aγ | 有 | 8 | 20 | 筋紡錘の錘内筋運動 |
Aδ | 有 | 3 | 15 | 部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚 |
B | 有 | 3 | 7 | 交感神経の節前繊維 |
C | 無 | 0.5 | 1 | 交感神経の節後繊維、皮膚の温痛覚 |
感覚神経(求心性神経)では次の分類が用いられることもある。
分類 | 髄鞘 | 平均直径(μm) | 平均伝導速度(m/s) | 感覚 |
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Ia | 有 | 15 | 100 | 筋紡錘 |
Ib | 有 | 15 | 100 | 腱器官 |
II | 有 | 9 | 50 | 筋紡錘、皮膚触圧覚 |
III | 有 | 3 | 20 | 部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚 |
IV | 無 | 0.5 | 1 | 鈍痛、内臓痛 |
異常
編集神経繊維は様々な状況で損傷し、ヒトを含む動物の機能を損なう。外科的に治療出来る場合もあるが、根治出来ないこともある。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ Company, The Asahi Shimbun. “神経繊維vs.神経線維――世界大戦下の神経戦(上) - ことばマガジン:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2023年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月1日閲覧。