紀州鉄道
紀州鉄道株式会社(きしゅうてつどう、英: Kishu Railway)は、日本の不動産開発業者であり鉄道事業者である。ポリキングの子会社で、東京都中央区に本社を置く。鉄道路線として和歌山県御坊市で紀州鉄道線を運営している。
紀州鉄道本社 | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
略称 | 紀鉄(きてつ) |
本社所在地 |
日本 〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町1番7号 千歳ビル6F |
設立 | 1928年12月24日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 3010001014573 |
事業内容 | 不動産事業、リゾート施設運営業、鉄道事業他 |
代表者 | 代表取締役社長 中川源行 |
資本金 |
9500万円 (2022年3月31日現在[1]) |
売上高 |
4億4911万5000円 (2022年3月期[1]) |
営業利益 |
△7074万5000円 (2022年3月期[1]) |
純利益 |
△3億8218万5000円 (2022年3月期[1]) |
純資産 |
△23億9251万6000円 (2022年3月31日現在[1]) |
総資産 |
31億5462万2000円 (2022年3月31日現在[1]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
ポリキング 100% (2024年3月31日現在[2]) |
外部リンク | http://www.kitetsu.co.jp/ |
特記事項:鉄道事業部事務所は和歌山県御坊市薗275(紀伊御坊駅、当社支店)に所在 |
歴史
編集1928年に御坊臨港鉄道として、国鉄紀勢西線から離れた御坊市街地との連絡を目的に設立され、鉄道を1931年に開業した。当初から経営は厳しく、戦後も風水害などの被災やモータリゼーションの進展によって、1960年代には廃止の危機に追い込まれていた。
1972年、磐梯急行電鉄(1968年倒産、1969年鉄道廃止)の旧経営陣が設立していた磐梯電鉄不動産が「鉄道会社」の肩書きを求め[3]御坊臨港鉄道を約1億円で買収した。翌年1月には、紀州鉄道と社名を変更した。
1975年、紀州鉄道不動産株式会社を設立する。1978年に本社を大阪府大阪市に移転する。1979年には不動産・リゾート開発を営む鶴屋産業の傘下に入り、紀鉄ホテル株式会社を設立し、翌年には本社を東京都千代田区に移転する。
現在に至るまでリゾート開発を軸とする不動産業を主力部門としており、鉄道事業収益の割合は微少かつ慢性的な赤字となっている。しかし、不動産業などを営む際に、鉄道会社ということが信頼に繋がるという利点があり、また社名と鉄道への愛情をもたらすことから、赤字に関わらず営業を続けている[4][5][6]。
2021年頃に紀州鉄道の株式の大部分は中国系の法人である株式会社ポリキングが取得し役員にポリキングの代表が就任していることを不動産系Youtuberの吉川祐介が紀州鉄道を取材し報告した[7]。
ホテル・リゾート事業
編集那須高原・北軽井沢(嬬恋村)・房総白浜(南房総市)・熱海・箱根・伊豆一碧湖(伊東市)・名古屋市・大阪市など、日本各地にホテルを展開しており、関連会社の紀鉄ホテルが運営している。
また、群馬県において嬬恋村との共同出資で第三セクター会社のパルコール嬬恋を設立し、「パルコール嬬恋ゴルフコース」やスキー場「パルコール嬬恋スキーリゾート」を運営していたが、同社は2014年3月に民事再生法の適用を申請し、2014年4月からは紀州鉄道グループから離脱してブリーズベイホテル傘下となっている。
そのほか、長野県の軽井沢(軽井沢町・御代田町)と塩嶺高原(岡谷市)で別荘の分譲・管理事業や、関連会社の紀州鉄道不動産による会員制リゾート事業、紀鉄航空サービスによる旅行事業(東京都知事認可第2種旅行業)を行っている。
鉄道事業
編集和歌山県御坊市内を走る紀州鉄道線(御坊駅 - 西御坊駅間、2.7km)を保有・運営している。1989年4月1日に末端区間の西御坊駅 - 日高川駅の0.7kmが廃止され、全列車のワンマン化が実施されている。2010年の営業係数は367.8であり、現存する日本国内の鉄道では最も悪い数値であるものの、現状では廃止の話はない[8]。また、「学門駅入場券」など記念切符・記念グッズの販売も行っている。
かつては日本一保有する路線が短い鉄道事業者であったことから「日本一のミニ鉄道」と称していたが、2002年10月にその座を千葉県の芝山鉄道に明け渡した[注釈 1]。ただし、芝山鉄道は全列車が京成電鉄との相互直通運転を行っているなどの背景があるため、定義によっては、紀州鉄道線がなお日本一短いとみなす余地もある。御坊市の公式サイト内では「日本一短いローカル私鉄[10]」と紹介されている。
運輸政策研究機構の資料によると、2012年度の輸送密度は1日242人で、阿佐海岸鉄道の1日88人に次いで2番目に少ない数値となっている[11](各年度の輸送密度は「紀州鉄道線#利用状況」を参照)。
路線
編集車両
編集2021年4月時点で、気動車3両が在籍する[12]。いずれも他社からの譲渡車両である。
- キテツ2 - 休車中
- KR301
- KR205
その他
編集2003年7月まで西御坊駅で使われていた「回転式乗車券箱」が、埼玉県さいたま市の鉄道博物館の収蔵資料となっている[13]。
関連会社
編集- 鶴屋商事
- 紀州鉄道不動産
- 紀鉄航空サービス
- 紀鉄ホテル
注釈
編集- ^ ただし普通(粘着式)鉄道のみの第一種鉄道事業者に限った場合。線路を全く保有しない第二種鉄道事業者を除き、自身で運送を行わず線路保有のみを行う第三種鉄道事業者を含めれば、南海和歌山港線のうち久保町駅 - 水軒駅間4.6kmを保有していた和歌山県が、 この年5月に和歌山港駅 - 水軒駅間2.6kmが廃止されたことによって、保有区間が久保町駅(現・県社分界点) - 和歌山港駅間2.0kmだけとなり、保有路線日本最短になっている[9]。
また、普通鉄道以外の鉄道事業法に基づく事業者を含めた場合は鞍馬山鋼索鉄道(ケーブルカー。路線距離191m)を保有する宗教法人鞍馬寺が最も路線距離が短い鉄道事業者となる。
出典
編集- ^ a b c d e f 鉄道統計年報令和3年度版 - 国土交通省
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和6年度(電気車研究会)
- ^ 寺田裕一『データブック日本の私鉄』ネコ・パブリッシング、2002年、140頁。
- ^ “赤字鉄道部門 紀州鉄道なぜ存続させるか?ホテルリゾートで知られる企業 社長に聞いた”. 乗りものニュース. 2020年4月21日閲覧。
- ^ 日本一短いローカル鉄道「紀州鉄道」が赤字なのに走り続ける"意外すぎる"ワケ - YouTube2020年4月1日閲覧。
- ^ “意外な子会社 紀州鉄道|不動産業の「逆転の発想」”. M&A ONLINE. 2020年4月21日閲覧。
- ^ (日本語) 紀州鉄道不動産50年史 第3部・共有持分型施設の分譲販売 2024年2月26日閲覧。
- ^ 紀州鉄道 運営難で5往復減便 - 日高新報、2010年9月5日。
- ^ 意外? 日本一短い鉄道は「和歌山県」だった 南海和歌山港線の不思議 - 乗りものニュース、2018年3月5日
- ^ 紀州鉄道/御坊市ホームページ
- ^ 「数字でみる鉄道2012」正誤表 (PDF) - 運輸政策研究機構、2013年1月22日
- ^ “レトロな赤に塗り替え 紀州鉄道が車両1台一新”. 読売新聞 (読売新聞社). (2021年4月1日) 2021年8月12日閲覧。
- ^ “鉄道博物館 展示資料紹介 [紀州鉄道で使用されていた回転式の乗車券箱]”. 鉄道博物館. 2007年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月21日閲覧。
参考文献
編集- キテツ1型:月刊「鉄道ファン」2004年11月号(通巻 523号)92・93ページ
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- 紀州鉄道 鉄道事業
- 【公式】紀州鉄道株式会社 (@kishu_railway) - X(旧Twitter)
- 紀州鉄道 (紀州鉄道株式会社-352474385223430) - Facebook