紅梅色(こうばいいろ)は、日本の伝統色の一つ。紅梅の花のような色合いで、紫色がかったピンク

概要

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平安時代貴族に非常に好まれ、染め色、織り色、襲の色目にそれぞれ「紅梅」と呼ばれる色がある。

染め色では、薄く藍染めした布の上から紅色を重ね染めしたものを、織り色では経糸を紫で、緯糸を紅色で織り上げたもので、綾織りにすると紫紅色の地に紅色の模様が浮くようになっている。

襲の色目では、表が紅梅色・裏が蘇芳色の、晩冬から春先着物とされ、旧暦の2月頃には時期外れとなっていたらしい。この紅梅襲は、『源氏物語』「梅枝」の段に、源氏から朝顔の姫君への返礼の品として登場している。

枕草子』二十二段には「すさまじきもの」(興ざめなもの)として「三四月の紅梅の衣」が挙げられているが、それだけ多くの人が好んで着たものと思われる。

寛永20年の御触れでは、「庄屋、惣百姓共衣類、紫・紅梅染致間敷候」と禁制の品に指定されている。

江戸時代後期の『貞丈雑記』には、かつての紅梅色は、桃色に近い色であったが、近年は黒っぽい紫紅色のこととなっているとあり、江戸期以降は濃い紫紅色を紅梅色と呼んでいたことが分かる。

関連項目

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参考文献

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  • 福田邦夫『すぐわかる 日本の伝統色』東京美術 ISBN 4-8087-0784-5
  • 吉岡幸雄『日本の色辞典』紫紅社 ISBN 4-87940-549-3
  • 長崎盛輝『かさねの色目 平安の配彩美』青幻社 ISBN 4-916094-54-9
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