累積分布関数 (るいせきぶんぷかんすう、英 : cumulative distribution function, CDF )または分布関数 (ぶんぷかんすう、英 : distribution function )とは、確率論 において、確率変数 X の実現値が x 以下になる確率 の関数 のこと。連続型確率変数では、負の無限大から x まで確率密度関数 を定積分 したものであるとも言える。
指数分布 の累積分布関数
正規分布 の累積分布関数
累積分布関数は同時確率分布 でも条件付き確率分布 でも定義される。
実数値確率変数 X の累積分布関数は以下で定義される[ 1] :p. 77 。この確率は下側確率 (lower-tail probability) とも呼ばれる。
F
X
(
x
)
:=
P
(
X
≤
x
)
{\displaystyle F_{X}(x):=\operatorname {P} (X\leq x)}
X の a < b の時の半開区間 (a , b ] の確率は以下になる[ 1] :p. 84 。
P
(
a
<
X
≤
b
)
=
F
X
(
b
)
−
F
X
(
a
)
{\displaystyle \operatorname {P} (a<X\leq b)=F_{X}(b)-F_{X}(a)}
連続型確率変数の累積分布関数は確率密度関数 が存在する場合は以下になる[ 1] :p. 86 。
F
X
(
x
)
=
∫
−
∞
x
f
X
(
t
)
d
t
{\displaystyle F_{X}(x)=\int _{-\infty }^{x}f_{X}(t)\,dt}
累積分布関数は広義単調増加 関数であり[ 1] :p. 78 、右連続 関数である[ 1] :p. 79 。さらに以下が成立する。
lim
x
→
−
∞
F
X
(
x
)
=
0
,
lim
x
→
+
∞
F
X
(
x
)
=
1.
{\displaystyle \lim _{x\to -\infty }F_{X}(x)=0,\quad \lim _{x\to +\infty }F_{X}(x)=1.}
離散型確率変数 X では以下が成立する。
F
X
(
x
)
=
P
(
X
≤
x
)
=
∑
x
i
≤
x
P
(
X
=
x
i
)
=
∑
x
i
≤
x
p
(
x
i
)
.
{\displaystyle F_{X}(x)=\operatorname {P} (X\leq x)=\sum _{x_{i}\leq x}\operatorname {P} (X=x_{i})=\sum _{x_{i}\leq x}p(x_{i}).}
連続型確率変数 X では以下が成立する。
F
X
(
b
)
−
F
X
(
a
)
=
P
(
a
<
X
≤
b
)
=
∫
a
b
f
X
(
x
)
d
x
{\displaystyle F_{X}(b)-F_{X}(a)=\operatorname {P} (a<X\leq b)=\int _{a}^{b}f_{X}(x)\,dx}
相補累積分布関数 (complementary cumulative distribution function, CCDF) とは、以下で定義される関数。この確率は上側確率 (upper-tail probability) とも呼ばれる。
F
¯
X
(
x
)
=
P
(
X
>
x
)
=
1
−
F
X
(
x
)
{\displaystyle {\bar {F}}_{X}(x)=\operatorname {P} (X>x)=1-F_{X}(x)}
分位関数 (quantile function) や分位点関数 とは、累積分布関数が狭義単調増加 で連続な場合に定義される累積分布関数の逆関数
F
−
1
(
p
)
,
p
∈
[
0
,
1
]
{\displaystyle F^{-1}(p),p\in [0,1]}
のこと。逆関数サンプリング法 などで使用される。正規分布 の場合はプロビット という。
^ a b c d e Park,Kun Il (2018). Fundamentals of Probability and Stochastic Processes with Applications to Communications . Springer. ISBN 978-3-319-68074-3