縁日
神仏の降誕、示現、誓願などの縁のある日
縁日(えんにち)とは、神仏の降誕、降臨、示現、誓願などの縁(ゆかり)のある日、すなわち有縁(うえん)の日のことである[1]。
概要
編集縁日には祭祀や供養が行われ、この日に参詣すると普段以上の御利益があると信じられた。特に、年の最初(または月の最初)の縁日を初(はつ)○○(初天神、初観音、初不動など。干支を縁日とする場合は初午、初巳など)と称し、年の最後の縁日を納め(おさめ)の○○または終い(しまい)○○と称される。
近代以降では祭りが催され、露店などが多く出る。明治期には縁日欄が新聞に掲載された[2]。
「縁日」 縁日は、神社仏閣で祭神や本尊に縁のある特定の日に、祭典や供養が行われるもの。境内の外に露天が並び、お参りの人々で賑わう。明治後期には、日本橋の水天宮や、麹町の二七不動などの縁日が有名であった。日暮れの遅い夏期には、夜遅くまで縁日が開かれ、各種の露店が庶民を楽しませた。植木売りなどの露天商の絵あり。 — 清水晴風著『東京名物百人一首』明治40年8月「縁日」より抜粋[3]
主な縁日
編集- 元三大師 - 1月3日
- 宝生如来 - 毎月3日
- 阿閦如来 - 毎月4日
- 弥勒菩薩 - 毎月5日
- 水天宮 - 毎月5日(25日以外の5の付く日とする所もある)
- 薬師如来 - 毎月8日(12日とする所もある[4])
- 金毘羅 - 毎月10日
- 虚空蔵菩薩 - 毎月13日
- 日蓮聖人 - 毎月13日
- 普賢菩薩 - 毎月14日
- 阿弥陀如来 - 毎月15日
- 閻魔 - 毎月16日
- 歓喜天(聖天) - 毎月16日
- 千手観音菩薩 - 毎月17日
- 観世音菩薩 - 毎月18日
- 七面天女 - 毎月18日[5],19日[6]
- 馬頭観音菩薩 - 毎月19日
- 十一面観音菩薩 - 毎月20日
- 准提観音菩薩 - 毎月21日
- 弘法大師 - 毎月21日
- 如意輪観音菩薩 - 毎月22日
- 不空羂索観音菩薩 - 毎月23日
- 勢至菩薩 - 毎月23日
- 八幡神 - 毎月23日
- 地蔵菩薩 - 毎月24日
- 愛宕権現 - 毎月24日
- 文殊菩薩 - 毎月25日
- 天神 - 毎月25日(天神祭)
- 法然上人 - 毎月25日
- 愛染明王 - 毎月26日
- 不動明王 - 毎月28日
- 大日如来 - 毎月28日
- 釈迦如来 - 30日
- 妙見菩薩 - 毎月1日,15日
- 鬼子母神 - 毎月8の付く日
- 稲荷神 - 午の日
- 摩利支天 - 亥の日
- 毘沙門天 - 1月,5月,9月の最初の寅の日
- 大黒天 - 甲子の日
- 弁才天(弁財天) - 己巳の日
- 帝釈天・青面金剛 - 庚申の日
- 延命子育地蔵尊 (荒川区)- 毎月2の付く日(毎月2日,12日,22日)
縁日の屋台
編集→「屋台」も参照
盆踊りと同様に、縁日には伝統的に屋台が出店される場合が多いが、冬季(4月-10月頃を除く時期)の縁日には出店しない場合もある。
縁日の屋台で扱われる商品やサービスを列挙すると次のようなものがある。
- 飲食物
- 焼き鳥・やきとん・串焼き
- 焼きとうもろこし
- お好み焼き
- 焼きそば
- 今川焼
- たい焼き
- たこ焼き・明石焼き
- 大阪焼き(○○焼き・リング焼き)
- イカ焼き・ポンポン焼き
- おでん
- 豚汁
- もつ煮
- キャベツ焼き
- フランクフルト
- アメリカンドッグ(フレンチドッグ)
- フライドポテト
- 唐揚げ
- ケバブ
- ポップコーン
- 綿菓子 - 中双糖を高温で熱し、綿状にした菓子。
- りんご飴・いちご飴 - リンゴやイチゴに飴をコーティングした菓子。
- あんず飴 - 果物に水飴をからめた菓子。
- 飴細工 - 製作の実演販売を含み、それ自体が見世物となっていた。
- べっこう飴 - 2000年代にはあまり見られなくなっている。
- ハッカパイプ - ソフトビニール製の容器に薄荷糖を入れて吸う菓子(煙草ではない)。
- ベビーカステラ - おもに小麦粉からなる生地を球状に焼いた菓子。東京ケーキ、チンチン焼、ピンス焼の名で売られることもある。
- クレープ
- ワッフル
- ソースせんべい - 薄い煎餅とソースや梅ジャムなどのタレのセット。くじで当選した枚数の煎餅がもらえる場合もある。
- チョコバナナ - 皮を剥いた丸ごとのバナナをチョコレートでコーティングした菓子。
- 団子
- 餡餅
- 冷菓 - かき氷(フラッペ)やソフトクリーム、アイスクリーム、アイスキャンディー。
- 飲料 - ラムネをはじめとする清涼飲料水のほか、日本酒やビール、甘酒などが販売される。
- 遊戯
- その他
脚注
編集- ^ 「年中行事事典」p105 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
- ^ 東京朝日新聞、都新聞など確認済
- ^ 清水晴風著『東京名物百人一首』明治40年8月「縁日」国立国会図書館蔵書、2018年2月9日閲覧
- ^ [お薬師様の十二大願 - 奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Site https://yakushiji.or.jp/column/20220530/]
- ^ 身延山久遠寺のホームページ
- ^ 七面山奥之院のホームページ
- ^ ゴーシュ著『懐かしの縁日大図鑑』108 - 109頁、河出書房新社、2003年7月30日発行。ISBN 978-4309727301