間ノ岳
間ノ岳(あいのだけ)は赤石山脈(南アルプス)北部にある標高3,190 mの山[注釈 1][注釈 2][1][2][3]。飛騨山脈にある奥穂高岳と並んで、日本第3位の高峰である。深田久弥の日本百名山のひとつ。山頂は山梨県と静岡県にまたがる。当山の南北縦走路の約3kmは標高3000mを連続して超えるため「日本一の標高3000mの縦走路」と云われる。
間ノ岳 | |
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標高 | 3,189.50[1] m |
所在地 |
日本 山梨県南アルプス市、南巨摩郡早川町 静岡県静岡市葵区 |
位置 | 北緯35度38分46秒 東経138度13分42秒 / 北緯35.64611度 東経138.22833度座標: 北緯35度38分46秒 東経138度13分42秒 / 北緯35.64611度 東経138.22833度[2] |
山系 | 赤石山脈 |
種類 | 隆起 |
間ノ岳の位置 | |
プロジェクト 山 |
概要
編集南アルプスの最高峰である北岳の南側約3.3 kmに位置し、さらに南の農鳥岳とあわせて白峰三山と呼ばれている。山名の由来は、白峰三山の真ん中の山であるためとされている[4]。だが、農鳥岳は残雪により白い鶏が現われることからそのように呼ばれているが、当山にも雪が消えた地肌が黒い小鳥に見えることから当山が農鳥山であるとの論争があったが、結局、現在の山名で落ち着いている。2014年4月1日に、国土地理院が最新の衛星測位システム(GNSS測量)に基づき標高を改定し、奥穂高岳と並んで日本で3番目の高峰となった。南アルプスでは北岳に次いで第2の標高を誇り、日本百名山[5]、及び山梨百名山[6]に選定されている。山頂の東側には細沢カール(圏谷)がある。
白峰三山を全体としてみると高山植物の豊富な山域で間ノ岳も同様だが、山頂近辺に限っては岩屑帯で、高山植物は少ない[7]。
なお、山頂付近には地すべりによってできたと考えられる線状凹地が発達しており、この地滑りが起こる前は現在より数十メートル程度標高が高かったのではないか、と考えられている。そのため、現在でこそ日本で3番目の高さの山だが、最終氷期には日本最高峰だったのではないか、とも推定されている。その当時、富士山はまだ現在の高さに達しておらず、また2位の北岳との現在の標高差がわずか4m弱しかない為である。
歴史
編集- 1814年(文化11年) - 「甲斐国志」で山名が掲載された[5][4]。
- 1904年(明治37年) - ウォルター・ウェストンが日本を再訪問し、北岳・鳳凰山及び仙丈ヶ岳とあわせて登頂[8]。
- 1908年(明治41年)7月26日 - 小島烏水らが白峰三山を南側から縦走して登頂[9]。
- 1925年(大正14年)3月22日 - 京都三高山岳部の西堀栄三郎ら4人が積雪期初登頂[9]。
- 1928年(昭和3年)1月4日 - 慶應義塾大学山岳部の国文貫一ら4人が厳冬期初登頂[9]。
- 1964年(昭和39年)6月1日 - 南アルプス国立公園に指定された[10]。
- 2007年(平成19年)9月 - 柱石が破損、転倒していた三角点を復旧[11]。
登山
編集登山ルート
編集麓から直接山頂に立つ登山道がないため間ノ岳のみを単独で登られることは少なく、白峰三山や南アルプスを縦走する際に登られることが多い[4][12]。
- 白峰三山縦走ルート - 広河原の北岳方面または、奈良田温泉の農鳥岳からの登山道を利用して白峰三山縦走するルート
- 三峰岳からのルート - 南アルプス縦走時に仙塩尾根の三峰岳から立ち寄る場合がある
- 積雪期のルート - 積雪期には北岳の池山吊尾根[13]、間ノ岳の稜線から東に伸びる尾無尾根又は弘法小屋尾根のルートがとられる場合がある。また細沢圏谷は滑降対象となる。
山小屋
編集周辺の白峰三山には、複数の山小屋があり、キャンプ指定地がある。営業期間外は、一部が冬期避難小屋として開放される場合がある[14]。北岳山荘では、南アルプスで唯一の夏山診療所が一部期間のみ開設されている。
画像 | 名称 | 所在地 | 標高 (m) |
収容 人数 |
キャンプ 指定地 |
備考 |
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農鳥小屋 | 間ノ岳と西農鳥岳との鞍部 | 2,800 | 120人 | 50張 | 水場あり | |
北岳山荘 | 北岳と中白根山との鞍部 | 2,900 | 150人 | 80張 | 夏山診療所 |
地理
編集周辺の主な山
編集南アルプスの主稜線にある三峰岳から東に0.9 kmの位置にある。北側には北岳方面に標高が3,000 mを越える尾根が延び、南方には農鳥岳を経て長く白峰南嶺が延びる[15]。
山容 | 山名 | 標高 (m)[1][2] |
三角点等級 基準点名[1] |
間ノ岳からの 方角と距離(km) |
備考 |
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甲斐駒ヶ岳 | 2,967 | (一等)「甲駒ケ嶽」 (2,965.58m) |
北 12.5 | 日本百名山 | |
鳳凰山 | 2,840 | (停止) | 北東 9.3 | 日本百名山 観音岳が主峰 | |
仙丈ヶ岳 | 3,032.56 | 二等 「前岳」 |
北西 9.2 | 日本百名山 | |
北岳 | 3,193 | (三等)「白根岳」 (3,192.18m) |
北 3.3 | 日本百名山 | |
中白根山 | 3,055 | 北 1.4 | (中白峰) | ||
間ノ岳 | 3,189.50 | 三等 「相ノ岳」 |
0 | 日本百名山 | |
三峰岳 | 2,999 | 西 0.9 | 三国境 長野・山梨・静岡 | ||
農鳥岳 | 3,025.90 | 二等 「農鳥山」 |
南 2.9 | 日本二百名山 | |
塩見岳 | 3,052 | 二等 「塩見山」 |
南 9.0 | 日本百名山 | |
富士山 | 3,776.24 [16][17] |
二等 「富士山」 |
南東 55.3 | 日本百名山 |
源流の河川
編集関連画像
編集間ノ岳の山頂
編集間ノ岳からの眺望
編集間ノ岳の風景
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2014年4月3日閲覧。
- ^ a b c “日本の主な山岳標高”. 国土地理院. 2011年3月23日閲覧。
- ^ “標高値を改定する山岳一覧 資料1” (PDF). 国土地理院 2014年3月26日閲覧。
- ^ a b c 『日本の山1000』山と溪谷社、1992年8月、452頁。ISBN 4-635-09025-6。
- ^ a b 深田久弥『日本百名山』朝日新聞社、1982年7月、300-303頁。ISBN 4-02-260871-4。
- ^ 『山梨百名山』山梨日日新聞社、2004年3月。ISBN 4897108500。
- ^ 中西俊明『北岳を歩く』山と溪谷社〈山小屋の主人がガイドする〉、1993年7月、48頁。ISBN 4-635-17066-7。
- ^ ウォルター・ウェストン 著、水野勉 訳『日本アルプス再訪』平凡社ライブラリー、1992年8月、454頁。ISBN 4582761615。
- ^ a b c 『目で見る日本登山史』山と溪谷社、2005年10月、3,32,41(別冊,登山史年表)頁。ISBN 4635178145。
- ^ “南アルプスの国立公園紹介”. 環境省自然環境局. 2011年3月23日閲覧。
- ^ “三角点「相ノ岳」復旧測量記|国土地理院”. 国土地理院広報 (2007年12月). 2014年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月7日閲覧。
- ^ 中西俊明、山下春樹『アルペンガイド10 南アルプス』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド〉、2009年6月。ISBN 978-4-635-01358-1。
- ^ 中村成勝『新版・日本雪山登山ルート集』山と溪谷社、2006年12月。ISBN 978-4-635-18009-2。
- ^ “山梨県北岳山荘”. 南アルプス市観光協会. 2011年3月23日閲覧。
- ^ a b 『北岳・甲斐駒』昭文社〈山と高原地図2011年版〉、2011年3月。ISBN 9784398757814。
- ^ 二等三角点「富士山」の標高は3,775.63 m。
- ^ “富士山情報コーナー”. 国土交通省富士砂防事務所. 2012年10月28日閲覧。