1981年の文学
できごと
編集- 1月14日 - 第1回日本SF大賞の選考会開催。堀晃の『太陽風交点』(早川書房)が受賞。
- 1月19日 - 第84回芥川龍之介賞・直木三十五賞(1980年下半期)の選考委員会開催。
- 4月15日 - 早川書房が徳間文庫版『太陽風交点』の出版差し止めを求めて、徳間書店及び堀晃を提訴。「太陽風交点事件」として知られる事件に発展する。
- 4月15日 - 青島幸男の『人間万事塞翁が丙午』(新潮社)が刊行される。同書は1981年年間ベストセラーの総合2位を記録した[1]。
- 5月1日 - 伊豆湯ヶ島の水生地に、川端康成の毛筆書きによる『伊豆の踊子』の冒頭文を刻んだ新たな文学碑が建立[2]。左半分の碑面には川端の顔のブロンズのレリーフがはめこまれている[2]。
- 5月20日 - 大阪の住吉神社境内に、川端康成の『反橋』の文学碑が建立[3]。
- 6月 – 長野県上水内郡鬼無里村(現・長野市鬼無里)松巌寺境内に、川端康成の『牧歌』の一節と、川端自筆の道元禅師の「本来の面目」――春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷しかりけり――が刻まれた文学碑が建立[3]。
- 8月22日 - 向田邦子が遠東航空機墜落事故により死去。享年51。
- 8月25日 - 井上ひさしの『吉里吉里人』(新潮社)が刊行される。
- 10月4日 - 保田與重郎が死去。
- 10月28日 – 芥川比呂志が死去。
- 11月25日 - 第2回日本SF大賞の選考会開催。井上ひさしの『吉里吉里人』が受賞。
賞
編集芥川賞・直木賞
編集- 第84回(1980年下半期)
- 第85回(1981年上半期)
その他の賞
編集1981年の本
編集小説
編集- 井上ひさし 『吉里吉里人』(新潮社)
- 椎名誠 『哀愁の町に霧が降るのだ』(情報センター出版局)
- 志水辰夫 『飢えて狼』(講談社)
- 氷室冴子 『恋する女たち』(集英社コバルト文庫)
- 堀田あけみ 『1980アイコ十六歳』(河出書房新社)
- 三石由起子 『ダイアモンドは傷つかない』(講談社)
- レイモンド・カーヴァー 『愛について語るときに我々の語ること』(クノップフ社) ※邦訳の刊行は1990年
その他
編集物故
編集- 1月18日 - 福原麟太郎、広島県出身の英文学者・随筆家。86歳没。
- 3月6日 - 荒畑寒村、日本の社会主義者・著述家。93歳没。
- 3月17日 - 赤尾兜子、兵庫県出身の俳人。56歳没。
- 5月9日 - ネルソン・オルグレン、米国の小説家。72歳没。
- 5月18日 - ウィリアム・サローヤン、米国の小説家・劇作家。72歳没。
- 7月17日 - 水原秋桜子、日本の俳人・医師。88歳没。
- 8月1日 - 神近市子、日本の婦人運動家・著述家・衆議院議員。93歳没。
- 8月1日 - パディ・チャイエフスキー、アメリカ合衆国の劇作家・脚本家。58歳没。
- 8月22日 - 向田邦子、日本のテレビドラマ脚本家・小説家。51歳没。
- 9月9日 - ジャック・ラカン、フランスの哲学者・精神科医。80歳没。
- 9月29日 - フランセス・イエイツ、イギリスの思想史家。81歳没。
- 10月4日 - 保田與重郎、日本の文芸評論家。71歳没。
- 10月28日 – 芥川比呂志、日本の演出家・演劇翻訳者。61歳没。
- 12月11日 - 田辺茂一、東京府出身の出版事業家。紀伊國屋書店の創業者。76歳没。
- 12月28日 - 横溝正史、兵庫県出身の推理作家。79歳没。
脚注
編集- ^ 1981年 ベストセラー10 (昭和56年):【 FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター 】
- ^ a b 長谷川泉「『伊豆の踊子』と新文学碑」(図書新聞 1981年5月23日号に掲載)。論考 & 1991-12, pp. 672–674に所収。
- ^ a b 秀子 & 1983-04
- ^ 受賞作はなかったが、高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』が優秀作に選ばれた。
参考文献
編集- 『決定版 三島由紀夫全集42巻 年譜・書誌』新潮社、2005年8月。ISBN 978-4106425820。
- 『川端康成全集35巻 雑纂2』新潮社、1983年2月。ISBN 978-4106438356。
- 川端秀子『川端康成とともに』新潮社、1983年4月。ISBN 978-4103460015。
- 長谷川泉『川端康成論考』明治書院〈長谷川泉著作選第5巻〉、1991年12月。ISBN 978-4625531057。