System z
IBM zSeries(IBMぜっとしりーず)、IBM System z(IBMしすてむぜっと)、IBM zEnterprise(IBMぜっとえんたーぷらいず)、IBM z System(IBMぜっとしすてむ)、IBM Z(IBMぜっと)は、IBMが開発・販売するメインフレームコンピュータの2000年以降のブランド名。またIBM LinuxOne(IBMりなっくすわん)は2015年以降のLinux専用モデル[2][3]。
開発元 | IBM |
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最新版 |
z16[1](発表2022年)
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対応OS | z/OS、z/VM、z/VSE、z/TPF、Linux |
種別 | メインフレーム (z/Architecture) |
公式サイト | IBM Z |
開発元 | IBM |
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最新版 |
LinuxOne III(発表2019年)
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対応OS | Linux、z/VM |
種別 | メインフレーム (z/Architecture) |
公式サイト | IBM LinuxOne |
1964年のSystem/360からの上位互換性を持ち、64ビットアーキテクチャのz/Architectureに基づいて設計されている。サポートされるオペレーティングシステムは、z/OS、z/VM、z/VSE、z/TPF、Linuxなど(ただしIBM LinuxOneはLinux, z/VMのみ)[4]。2010年の zEnterprise よりオプションのzBX上で分散サーバーの同時稼働をサポート[5][6][7]。最新版は2022年発表の z16 [1]。
名称
編集IBMのメインフレームのブランド名で、「z」は「ダウンタイム ゼロ(Zero)」(高可用性)を意味する。
- IBM eServer zSeries - 2000年以降。pSeries、iSeries、xSeries等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM eServer」を構成する。
- IBM System z - 2005年以降。System p、System i、System x等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM Systems」を構成する。
- IBM zEnterprise System - 2010年以降。
- IBM z System - 2015年以降。(他のサーバーはPower Systems等。)
- IBM z - 2017年以降。
概要
編集zSeries、System z、zEnterprise、z System、IBM Zは、IBM System/360やSystem/370の直系の子孫であり、上位互換性を持つ。System/360用に書かれた24ビットのアプリケーション(バイナリーの実行モジュール)は、40年を隔てた最新のSystem zでも、一部の例外を除き修正なしで動作する。
1990年代より各種オープン標準(TCP/IP、Webサーバ、Linuxなど)、2000年には64ビットアドレッシングをサポートした。IBMは「IBMのメインフレームはレガシーでは無い」「世界的にはニューワークロード(Web、ERPなどの用途)が50%を超えている」と主張している。
高い信頼性・可用性が求められる業務、過去の資産(プログラム、運用管理など)を継続したい場合、多数のサーバを統合したい場合などに使われている。
筐体の色は、eServer以降はThinkPadと合わせてベースは黒、アクセントは赤に統一された。しかしz10からはグリーンコンピューティング(環境負荷が低い)を意識して、アクセントは緑に変更された。
System zの主な特徴は以下である。
- z/Architectureに基づいている(64ビットの物理空間と仮想空間)。
- 多数のプロセッサユニット(PU)を搭載し、広域クラスタを構成可能
- オペレーティングシステムとして、Linux on System z, z/OS, z/VM, z/VSE, z/TPFを使用可能
- システム/390 の 31ビットアプリケーションはz/Architecture上で完全互換
zEnterprise では、従来からのz/Architectureプロセッサーに加え、POWERおよびx86プロセッサーも搭載可能となり、全体を統合資源管理ソフトウェアでワークロード管理可能となった。
2015年1月 z13 発表時に、ブランド名称が IBM z System に変更された。
仕様
編集S/390以降の主な製品の型番(TYPE-MODEL)と仕様は以下の通り。
- S/390 G5,G6
- プロセッサー数:1〜12 (CMOS G5,G6)
- S/390 Multiprise 3000
- プロセッサー数:1〜2 (CMOS G5)
- zSeries 900 (2064-xxx)
- プロセッサー数:1〜16
- zSeries 800 (2066-xxx)
- プロセッサー数:1〜4
- zSeries 990 (2084-xxx)
- プロセッサー数:1〜32
- zSeries 890 (2086-xxx)
- プロセッサー数:1〜4
- System z9 EC (2094-S08〜S54)
- 総PU: 1.4GHz x 12〜64
- メモリー: 16〜512GB
- 最大チャネル数: 960〜1024
- System z9 BC (2096-R07/S07)
- 総PU: 1.4GHz x 8
- メモリー: 8〜64GB
- 最大チャネル数(ESCONの場合): 240〜420
- System z10 EC (2097-E12/E26/E40/E56/E64)
- 総PU: 4.4GHz x 17〜77
- メモリー: 16〜512GB
- 最大チャネル数:1024
- System z10 BC (2098-E10)
- 総PU:3.5GHz x 12
- メモリー:4〜128GB
- 最大チャネル数:480
- z System z13 [8]
- 最大コア数: 141 (111,556MIPS)
- 最大メモリー: 10テラバイト
- 最大稼動仮想サーバー: 8,000
- z14[9]。
- z15[10]
- z16[1]
System z9 EC (2094-S54)の場合、ブックあたり最大64個のPU(プロセッサ・ユニット)を搭載し、1秒間に約186億6千万回の命令を実行できるとされている。1台の S54 は1日に10億以上のトランザクションを処理できる。64個のPUのうち2個はスペアPUとして使用され、2個のPUがI/O、暗号化、メモリ制御などのプロセッサとして使用される。結果的に54個のPUをユーザーが決定した役割に設定でき、Central Processor(CP)としても、それ以外(z Application Assist Processor(zAAP)、Integrated Facility for Linux (IFL)、Internal Coupling Facility (ICF))の用途にも使うことができる。System z10 EC(E64)の場合77個のPUを搭載し64個のPUをユーザーが決定した役割に設定できる。
冗長性と信頼性
編集System z9 EC (2094-S54)の場合、PU内部の命令実行回路は二重化されており、全ての命令はふたつの回路で並行して実行される。このふたつの回路の命令実行結果が異なってしまった場合、再度命令を試行してそれでも結果が異なる場合は、そのPUで実行していたタスクを自動的に別のPUに移動させる。そのときスペアのPUが空いていればそれを使うこともできる。システムは自動的にIBMのサービスに連絡(RSF)をして、サービスエンジニアが代わりのプロセッサ・ブックを持ってきて交換を行う。このとき、システムを停止させることなく、動作したままでかまわない。このように、PUのハードウェア的な冗長性をベースとした高信頼システムが構築されている。
同じことは、メモリにもI/Oにも電源にも冷却機構にも言える。ほとんど考えられる全ての部品が冗長化されている。そして、この機能はハードウェアとマイクロコードで実現されているため、アプリケーションが特別なコードを使う必要はない。同じコンセプトはクラスタ構成にも適用される。
System zは確かに高価であるが、信頼性の高さがTCO削減となって効果を発揮する。このため政府、金融機関、商業、工業などあらゆる場面で使われている。
歴史
編集zSeries以前
編集IBM System z は、IBM System/360の直系の子孫である。
1964年 System/360シリーズを発表し、大ヒットとなる。24ビットアドレッシングであった。
1970年 後継のSystem/370シリーズを発表。仮想記憶を実現。更に後継は、大型の30x0(303x、308x、3090)、中型の4300、小型の9370となった。
1983年 System/370-XAアーキテクチャを発表。31ビットアドレッシングや動的チャネルサブシステムを実現。
1988年 ESA/370アーキテクチャを発表。64ビットのデータ空間であるハイパー空間などを実現。
1990年 ES/9000シリーズと、ESA/390アーキテクチャを発表。エンタープライズサーバー(ES)としてサーバー機能を強化した。また同時に従来の3090、4300、9370は「ES/3090、ES/4300、ES/9370」に改称され、後にES/9000(ES/9021、ES/9121、ES/9221)に移行した。
1994年 S/390 並列エンタープライズサーバーを発表。CMOSプロセッサへの移行、クラスタリングである並列シスプレックスが採用された。また小型のIBM Multiprise 2000、3000も発売された。
zSeries
編集2000年10月 ブランド名称を「IBM eServer zSeries」に変更。同時に64ビットアドレッシングのアーキテクチャであるz/Architectureと、最上位のzSeries 900(z900、型番は2064)を発表。
- 2002年2月 z900の中型版であるzSeries 800(z800、型番は2066)を発表。
- 2003年3月 最上位(z900後継)のzSeries 990(z990、型番は2084)を発表。
- 2004年5月 中型(z800後継)のzSeries 890(z890、型番は2086)を発表。
2005年7月 ブランド名を「IBM System z」に変更。同時に最上位のSystem z9 109(型番は2094)を発表。
- 2006年4月 z9 109をz9 Enterprise Class (z9 EC)と名称変更し、中型のz9 Business Class (z9 BC、型番は2096)を発表。
- 2008年2月 最上位(z9 EC後継)のSystem z10 Enterprise Class (z10 EC、型番は2097)を発表。
- 2008年10月 中型(z9 BC後継)のz10 Business Class (z10 BC、型番は2098)を発表。
最上位機種(EC)が出た1,2年度後にそのモデルアップ反映した中型機種(BC)が発表されている
zEnterprise
編集- 2010年7月 ブランド名称を「IBM zEnterprise」に変更。主なハードウェアは本体である zEnterprise 196(z196) と、zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)。z196は、5.2GHzのz/Architectureプロセッサを96個搭載できる。zBXはPOWER7などのプロセッサを搭載したブレードサーバを搭載できる。このハイブリッド環境をソフトウェアの zEnterprise Unified Resource Manager(URM)で一元管理できる。
- 2012年8月 「IBM zEnterprise EC12」(zEC12)を発表)[12]「12」は「12世代」を意味する[13]。z196の後継で、32ナノ・プロセス、5.5GHz のプロセッサ・コアを1筐体当たり最大120搭載可能。
z Systems, LinuxOne
編集- 2015年1月 ブランド名称を「IBM z System」に変更。z13およびLinuxOne(Rockhopper)を発表[8]。
IBM Z, LinuxOne II/III
編集参照
編集- ^ a b c d 次世代プラットフォーム IBM z16を発表: 革新的なイノベーションでハイブリッドクラウドとAIの未来を創造
- ^ Linux専用のメインフレーム・サーバー「IBM LinuxONE」を発表 - IBMニュースルーム
- ^ Linux専用メインフレーム「LinuxONE」、IBM自らOSSを移植 - ZDNet
- ^ IBM System z オペレーティングシステム
- ^ 革新的アーキテクチャーによる新サーバー「IBM zEnterprise」
- ^ IBM zEnterprise System の発表
- ^ IBM zEnterprise BladeCenter Extensionの発表
- ^ a b z13メインフレームを発表 - IBM
- ^ a b IBM Z (z14) プレスリリース
- ^ a b 業界初のデータ・プライバシー機能を備えた最新メインフレーム「IBM z15」発表
- ^ 日本IBM、メインフレーム新製品「IBM z16」発表--リアルタイムAI推論や耐量子暗号技術に対応 - ZDNet
- ^ 処理能力を50%向上した業界最速のメインフレーム - IBM
- ^ 日本IBM、「業界最速」のメインフレームを発売 - ITMedia
関連項目
編集- IBM Systems
- メインフレーム
- System/360
- System/370
- Multiple Virtual Storage
- z/OS
- z/VSE
- z/VM
- z/TPF