ウィキペディアを利用する人を「利用者」(りようしゃ)または「ユーザー」と呼びます。利用者は、アカウントログインしていない場合はIPアドレス)単位で認識されます。ウィキペディアを読むだけの場合はウィキペディア側に記録は残りませんが、編集などを行うと、履歴やログに記録が残ります。

システム上、利用者は異なる操作権限をもつグループに属しており、これによって多くの人に編集を可能とすると同時に、サイトを正常な状態に保守することを可能としています。このグループには、ウィキペディア日本語版(ローカル)におけるものと、全ウィキメディア・プロジェクトを横断するグローバルグループがあります。以下ではこれらのグループについて概略を解説しています。現在どのようなグループがあり、どのような権限が割り当てられているか、誰が所属しているかの正確な情報については、ローカルグループについては特別:利用者グループ権限を、グローバルグループについては特別:グローバルグループ権限をご覧ください。

利用者グループの種類(ローカル)

ウィキペディア日本語版にログインをしている利用者は1つ以上の利用者グループに属しており、グループごとに行える操作が決まっています。「登録利用者」グループを除き、これらのグループへの所属はウィキペディア日本語版(ローカル)でのみ有効で、他の言語版および他のウィキメディア・プロジェクトには及びません。

各グループに割り当てられている権限の詳細は特別:利用者グループの権限一覧を参照してください。また各利用者の権限変更(所属グループ変更)については特別:ログ/rights(利用者権限変更記録)をご覧ください。利用者グループは、ローカルの設定によって増やすことができます。

なお、何らかの理由で投稿ブロックされた場合には、以下で説明している操作の大部分は行えなくなりますが、読者としてウィキペディアを閲覧することは出来ます。

IP利用者

ログインせずに編集などの操作を行う利用者をIP利用者 (IP user) 、匿名利用者 (anonymous user) 、または非ログイン利用者と呼びます。IP利用者は明示的にはどの利用者グループにも属しておらず、特別:利用者グループの権限一覧にて「(全員)」に許されている操作だけを行うことができます。これには、ページの編集・新規作成(IP利用者の利用者ページは新規作成できません)、アカウントの作成などが含まれます(ウィキペディア英語版ではページの新規作成もできないなど、プロジェクトによって設定が異なります)。

ログインしないで行う操作は接続に用いたIPアドレス(例:IPv4アドレス「255.255.255.255」やIPv6アドレス「2001:db80:0000:0000:0000:0000:0000:0000」)で識別されます。このため、履歴やログにだれでも見られる状態でIPアドレスが表示されます。なお、IPアドレスの接続元(国・地域・組織名など)はだれにでも調べることが出来ます。

登録利用者

アカウントを作成して「登録利用者」となると、編集時に細部の編集の印をつけるなど、IP利用者にはできない操作を行うことができます。個人設定を変更してページの見た目などを変更したり、ウォッチリストを利用して気になるページを簡単に監視したりもできます(Help:ログイン参照)。自分自身の利用者ページを作ることも出来ます(ただし百科事典の編纂に関係ない用途には使えません)。

編集などの操作は利用者名で記録されますので、履歴やログにIPアドレスが表示されません(秘匿されている記録には一定期間残り、不適切な利用かどうかについて確認の必要性が生じた場合に、チェックユーザーの権限を持つ人が調べることができます。)

新規利用者

新規登録後、自動承認されるまでは特別:利用者グループの権限一覧にて「登録利用者」に許されている操作だけを行うことができます。このような利用者を「新規利用者」と呼んでいます。新規利用者は、自動承認された利用者に許されている半保護されたページの編集やページの移動ファイルのアップロードなどの操作はできません。

自動承認された利用者

新規登録(初ログイン)から4日が経過し、かつ10回の編集をすると、「自動承認された利用者」(autoconfirmed user) となります。新規利用者に課せられているいくつかの制限がなくなり、ページの移動やファイルのアップロードが可能になります。半保護されたページも編集できるようになります。また、自動承認だけでは、全保護・拡張半保護が設定されたページの編集・移動、ファイルのアップロードはできません。

他言語版ウィキペディアでは、「自動承認された利用者」となるための条件が日本語版とは異なることがあります。以下に例を挙げます。仕様変更申請をしてない場合は、「新規登録(初ログイン)から4日経過する」が基本になります。

承認された利用者

自動承認された利用者となる条件が厳しいプロジェクトでは、その条件を緩和するために「承認された利用者」の申請制度を設けている場合があります。現在の日本語版では「4日経過」と「10編集」だけが自動承認条件なので「承認」プロセスは整備されていませんが、システム的にはビューロクラットが「承認」権限を有しています。

拡張承認された利用者

日本語版ウィキペディアにおいては、初めて編集を行ってから120日(約4か月)が経過し、かつ500回の編集を行うと、自動的に「拡張承認された利用者」(extendedconfirmed user) となります。拡張半保護が設定されたページを編集することができるようになります。「4日経過」と「10編集」の自動承認条件を突破して荒らしを行う利用者への対策として運用されています。

拡張承認された利用者は一部のウィキペディアのみに導入されています。他言語版ウィキペディアでは、「拡張承認された利用者」となるための条件が主に「アカウント作成から30日経過」と「500編集」となっています。


以下に挙げる特別な利用者グループは、自動的になることができず、立候補と利用者による承認制です。

Bot(ボット)

Bot(ボット)は、スクリプトを使用して単純な操作を機械的に行うためのアカウントです。Botグループに属する利用者の編集は、最近更新されたページなどで非表示になったり、自動的にパトロール済みになったりします。

巻き戻し者

巻き戻し者 (rollbacker) は、巻き戻しを実行できます。

標準では存在しない利用者グループです。追加の利用者グループとして2011年11月15日に導入されました(phab:T34370)。

削除者

削除者 (eliminator) は、削除に関する権限を行使することができます。

標準では存在しない利用者グループです。追加の利用者グループとして2011年11月15日に導入されました(phab:T34370)。

インターフェース管理者

インターフェース管理者はMediaWiki名前空間のうち、CSSJavaScriptおよびJSONページ(たとえば MediaWiki:Common.jsMediaWiki:Vector.cssなど)といった、フロントエンド・コードが直接記載されたページの編集権限を有します。

2018年夏にウィキメディアの全プロジェクトで導入されました(m:Creation_of_separate_user_group_for_editing_sitewide_CSS/JS/ja)。

アカウント作成者

アカウント作成者英語: Account creator)は、アカウントを発行する際の技術的な制限を無視します。この権限では次のことができます (noratelimit)。

  • 24時間以内に7個以上のアカウントを作成する
  • 1分以内の投稿数の制限が解除される

編集フィルター編集者

編集フィルター編集者はスパムなどの単純な荒らしを機械的に防ぐWikipedia:編集フィルターを設定できます。

管理者

管理者 (sysop) は、ローカルプロジェクトにおいて、ページの削除・復帰・保護、利用者の投稿ブロック、保護ページ(システムメッセージ含む)の編集、ファイルの移動などを行うことができます。管理者となるための手続きなどについてはWikipedia:管理者への立候補を参照してください。

ビューロクラット

ビューロクラット (bureaucrat) は、ローカルプロジェクトにおいて、他の利用者を管理者・ビューロクラット・削除者・巻き戻し者・インターフェース管理者・アカウント作成者・ボットのグループに加えたり、削除者・巻き戻し者・インターフェース管理者・アカウント作成者・ボットのグループから除去したりする操作が行えます。

チェックユーザー

チェックユーザー (CheckUser) は、ローカルプロジェクトにおいて、登録利用者のIPアドレスなどの情報の確認を行うことができます。

オーバーサイト

オーバーサイト (oversight) は、削除したページを管理者からも隠したり、ブロックした利用者名を一覧から隠したりすることができます。

IPブロック適用除外者

IPブロック適用除外者は、広域ブロックに巻き込まれているなどの理由から、例外的に全てのブロックを回避できる権限を与えられている利用者です。

ウィキ間インポート担当者

ウィキ間インポート担当者 (transwiki importer) には特別:データ取り込みの利用に必要なimport権限が与えられます(この権限はインポート担当者と管理者にも与えられています)。データ取り込みの特別ページではウィキメディアのウィキからページとその履歴を取り込むことができます。現在、データ取り込みの機能は無効となっており、ウィキ間インポート担当者に所属している利用者はいません。

インポート担当者

インポート担当者 (importer) はウィキ間インポート担当者と似た利用者グループで、同じくimport権限が与えられますが、それに加えてimportupload権限も与えられます。この権限を有することで、特別:データ取り込みでウィキメディアのウィキからページを取り込むことに加えて、任意のウィキから出力したXMLを直接アップロードして取り込むことができます。現在、データ取り込みの機能は無効となっており、インポート担当者に所属している利用者はいません。

データ取り込みの記録は特別:ログ/importで閲覧できます。

利用者グループの種類(グローバル)

グローバルグループはウィキメディア・プロジェクト全体を横断的に操作できる権限を持つグループです。現在どのようなグループがあり、どのような権限が割り当てられているかについては特別:グローバルグループパーミッションをご覧ください。また各利用者の権限変更(所属グループ変更)についてはmeta:Special:Log/gblrights(グローバル権限変更記録)をご覧ください。

スチュワード

スチュワード (stewards) は、ウィキメディア・プロジェクト全体において利用者権限の変更やチェックユーザーなどを行うことができます。ただし自分が活動しているプロジェクトでの権限変更は方針で禁じられています。また、ウィキメディア・プロジェクトを横断しての利用者の投稿ブロックなどができます。

システム管理者

システム管理者 (sysadmin) はウィキメディア・プロジェクトのシステムを管理している技術者用のグループです。

スタッフ

ウィキメディア財団職員のためのグループです。

創設者

ウィキペディア創設者・Jimbo Wales専用の利用者グループです。Jimbo Walesは以前スチュワードグループに属していましたが、スチュワードとしての活動を行っていないために外すべきであるというコミュニティの合意がなされ、これに対してウィキメディア財団理事会の要請によりスチュワードグループと同等の権限をもつ「創設者」グループが作成されました。

グローバル・ボット

ウィキメディア・プロジェクトのうち、明示的に方針でグローバル・ボットを認めているプロジェクトでボットとして編集を行う利用者のグループです。

グローバル・ロールバック権限保持者

ウィキメディア・プロジェクトを横断して荒らしによる投稿を機械的に差し戻す「ロールバック」(巻き戻し)を行う権限をもつグループです。

オンブズマン

オンブズマン (ombudsman) はウィキメディア財団のプライバシー・ポリシーに反する投稿についての苦情に公式に対処する利用者で、財団より正式に任命されています。

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