する

日本語

動詞：為る

する【為る】

1. 動作を起こす。
2. あるものに作用を及ぼして、状態などを異ならせる。
   • 自動詞:なる
     • 「AをBにする」の他動詞表現は、一般に「AがBになる」の自動詞表現に近似的に変換可能である。
3. 音、味、においなど、あるいは身体的症状が感じられる。
   • よいかおりがする。
   • 頭痛がする。めまいがする。吐き気がする。
4. （〜〈金額〉する）〜の価格である。
   • 百万円する宝石。
5. （服飾品などを）身に付ける。
   • ネクタイをした男性。
6. ものを使っておおう。
   • ふたをする。カバーをする。
7. （〜〈時間〉する）〜の時間が経過する。条件節でのみ使う。
   • この建物も百年もすれば壊れるだろう。
   • あと10分したら出かける。
8. 形容詞・形容動詞の連用形について、他動詞の複合動詞を構成する。
   • 顔を赤くする。
   • 部屋をきれいにする。
9. （〜にする）〜に決める。
   • ハンバーグにしよう。
10. （〜にする）このあとすぐに行う。
    • それでは休憩にしましょう。
11. （〜とする）〜と定める。設定する。仮定する。
    • まずは現状把握を目標とする。
    • 学生を対象とした調査。
    • ここで仮にA=1とする。
12. （〜とする）〜とのべる。説明する。主張する。
    • 外相は「極めて遺憾であり厳重に抗議する」としている。
13. （多くは慣用句: 体の一部 + にする）その器官の機能を実現する。

    「AをBにする」の他動詞表現が「AがBになる」の自動詞表現に変換できない例。

    • 目にする（見る）
    • 耳にする（聞く）
    • 口にする（食べる）
    • 手にする（持つ）
    • 肩にする（肩に担ぐ）
14. （修飾語 + 体の一部 + をする）その人の特徴として、そのようなものを持つ。
    • 青い目をした少女。
    • あの子は長い髪をしている。
15. 動詞に取り立て助詞をつけるときに用いる。補助動詞に使うことは比較的少ない。形容詞の場合は ある を用いる。
    • 動きはするが、操作がきかない。
    • 酒類も一応置いてありはする。（cf.置いてはある）
    • こんなところにいはしないだろう。
    • そんな話、聞きもしないし知りもしない。
    • 頼んだりしていない。
    • 顔を上げすらしない。

活用

活用と結合例

する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
(語幹無し)	し せ さ	し	する	する	すれ	しろ せよ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	しない	未然形 + ない
否定(古風)	せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	される	未然形 + れる
丁寧	します	連用形 + ます
過去・完了・状態	した	連用形 + た
言い切り	する	終止形のみ
名詞化	すること	連体形 + こと
仮定条件	すれば	仮定形 + ば
命令	しろ せよ	命令形のみ

発音

• (東京式) する [sùrú] (平板型 – [0])
• IPA^(?): [sɨᵝɾɯ̟ᵝ]
• (京阪式) する

語源

• 古典日本語「す」 < 日本祖語 *seu

関連語

• やる
• おこなう
• いたす
• なさる
• できる
• でかす
• しでかす
• やらかす

複合語

• したりがお
• してやったり

翻訳

動作を起こす

• アイスランド語: gera ^(is), gjöra ^(is)
• アイルランド語: déan
• アラビア語: عَمِلَ (ʕámila), فَعَلَ‎ ^(ar) (faʿala) (faʿala)
• アルバニア語: bën
• イタリア語: fare ^(it)
• インドネシア語: buat, melakukan
• ウルドゥー語: کرنا (karnā)
• 英語: do ^(en)

  古英語: dōn ^(ang)

• エストニア語: tegema
• オック語: far ^(oc)
• オランダ語: doen ^(nl)
• カタルーニャ語: fer ^(ca)
• ギリシア語: κάμνω ^(el) (kámno), κάνω ^(el) (káno)

  古典ギリシア語: τελέω ^(grc) (teléō), ποιέω ^(grc) (poiéō), ῥέζω ^(grc) (rhézō) (詩的), ἔρδω ^(grc) (érdō) (詩的), δράω ^(grc) (dráō) (詩的)

• クメール語: ធ្វើ ^(km) (thvəə)
• グルジア語: კეთება ^(ka) (ḳeteba)
• クルド語:（クルマンジー）kirin, çêkirin、（ソラニー） kirdin
• 古代エジプト語: jr ^(egy)

• サルデーニャ語: fai
• シンハラ語: කරනවා ^(si) (karanawā)
• スウェーデン語: göra
• スコットランド・ゲール語: dèan
• スペイン語: hacer
• スロヴェニア語: storiti, narediti
• セルビア・クロアチア語: činiti
• タイ語: ทำ ^(th) (tham)
• チェコ語: dělat
• 中国語: 做 (zuò)
• 朝鮮語: 하다 ^(ko) (hada)
• デンマーク語: gøre, udføre
• ドイツ語: tun ^(de), machen ^(de)
• トルコ語: yapmak, etmek
• ネパール語: गर (gara)
• ノルウェー語: gjøre ^(no)
• バスク語: egin
• ハンガリー語: tesz, csinál
• ビルマ語: လုပ် ^(my) (lupʻ)
• ヒンディー語: करना (karnā)
• フィンランド語: tehdä
• フランス語: faire ^(fr)
• ベトナム語: làm, thực hiện
• ヘブライ語: עָשָׂה‎ ^(he) (asá)
• ペルシア語: کَردَن (kærdæn), کُن (kon) (現在形)
• ベンガル語: করা ^(bn)
• ポーランド語: robić ^(pl) (未完了相)/zrobić ^(pl) (完了相)
• ポルトガル語: fazer
• マルタ語: għamel
• ラテン語: facere, agere
• リトアニア語: daryti ^(lt), padaryti ^(lt)
• ルーマニア語: face
• ロシア語: делать (djélat’) (未完了相) сделать (sdjélat’) (完了相)
• ロマンシュ語: far

接尾辞：為る

する【為る】

1. 名詞や擬音語、擬態語に付いて動詞を作る。
   • 勉強する。
   • 興奮する。
   • 頭がくらくらする。

用法

ウ、ンで終わる字音語に接続する場合、多くは連濁してずるとなり、現代では上一段活用化しじるとして用いられる。

• 論ずる。論じる。

現代では、字音語に続く場合、活用が安定しないものがある。

• 愛する。(一般にはサ行五段活用だが一部の活用でするが現れる)

翻訳

動詞を作る接尾辞

• 朝鮮語: 하다 ^(ko) (-hada)
• ドイツ語: -en ^(de)
• フランス語: -er ^(fr)

動詞：擦る・磨る・擂る・摩る・摺る

する【擦る・磨る・擂る・摩る・摺る】

1. こする。
   • やれ打つな 蠅が手をすり 足をする（小林一茶）
2. マッチをこすりつけ、火をつける。
   • みんなはおじぎをして、それからたばこをくわえてマッチをすったりどこかへ出て行ったりしました。（宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』）

活用

活用と結合例

す-る 動詞活用表（日本語の活用）

ラ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
す	ら ろ	り っ	る	る	れ	れ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	すらない	未然形 + ない
意志・勧誘	すろう	未然形音便 + う
丁寧	すります	連用形 + ます
過去・完了・状態	すった	連用形音便 + た
言い切り	する	終止形のみ
名詞化	すること	連体形 + こと
仮定条件	すれば	仮定形 + ば
命令	すれ	命令形のみ

発音

• (東京式) す​る [súꜜrù] (頭高型 – [1])
• IPA^(?): [sɨᵝɾɯ̟ᵝ]
• (京阪式) する

関連語

• こする
• 摩擦

用字

• 擦る、摩る、摺るは「こする」場合（特に「擦る」は傷付ける意味を含む）。
• 磨るは「みがく」場合。
  • 「擦る」「摩る」「摺る」「磨る」はあまり使い分けない。
• 擂るは「すりつぶす」場合。

  胡麻を擂る、味噌を擂る

翻訳

こする

• 英語: rub ^(en), scrub ^(en)
• ポーランド語: ścierać ^(pl) (未完了相)/zetrzeć ^(pl) (完了相)
• リトアニア語: trinti ^(lt)

すりつぶす

• 英語: grind ^(en), mill ^(en)
• ポーランド語: mleć ^(pl)
• リトアニア語: malti ^(lt)

動詞：摩る

する【摩る】

1. (やや口語) 使い果たす。
   • 競馬で一万円摩った。

活用

活用と結合例

す-る 動詞活用表（日本語の活用）

ラ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
す	ら ろ	り っ	る	る	れ	れ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	すらない	未然形 + ない
意志・勧誘	すろう	未然形音便 + う
丁寧	すります	連用形 + ます
過去・完了・状態	すった	連用形音便 + た
言い切り	する	終止形のみ
名詞化	すること	連体形 + こと
仮定条件	すれば	仮定形 + ば
命令	すれ	命令形のみ

発音

• (東京式) す​る [súꜜrù] (頭高型 – [1])
• IPA^(?): [sɨᵝɾɯ̟ᵝ]
• (京阪式) する

翻訳

使い果たす

• 英語: lose

動詞：刷る・摺る

する【刷る・摺る】

1. 字を紙に写す。

活用

活用と結合例

す-る 動詞活用表（日本語の活用）

ラ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
す	ら ろ	り っ	る	る	れ	れ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	すらない	未然形 + ない
意志・勧誘	すろう	未然形音便 + う
丁寧	すります	連用形 + ます
過去・完了・状態	すった	連用形音便 + た
言い切り	する	終止形のみ
名詞化	すること	連体形 + こと
仮定条件	すれば	仮定形 + ば
命令	すれ	命令形のみ

用字

• 刷る（機械で行う場合）
• 摺る（手作業で行う場合）

発音

• (東京式) す​る [súꜜrù] (頭高型 – [1])
• IPA^(?): [sɨᵝɾɯ̟ᵝ]
• (京阪式) する

翻訳

写す

• 英語: print ^(en)
• ポーランド語: drukować ^(pl)

動詞：掏る

する【掏る】

1. (やや口語) 他人が身につけているものをこっそり盗む。

活用

活用と結合例

す-る 動詞活用表（日本語の活用）

ラ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
す	ら ろ	り っ	る	る	れ	れ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	すらない	未然形 + ない
意志・勧誘	すろう	未然形音便 + う
丁寧	すります	連用形 + ます
過去・完了・状態	すった	連用形音便 + た
言い切り	する	終止形のみ
名詞化	すること	連体形 + こと
仮定条件	すれば	仮定形 + ば
命令	すれ	命令形のみ

発音

• (東京式) す​る [súꜜrù] (頭高型 – [1])
• IPA^(?): [sɨᵝɾɯ̟ᵝ]
• (京阪式) する

関連語

• 掏摸（すり）（掏児とも）
• 窃盗

翻訳

密かに盗む

• 英語: pick one's pocket

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古典日本語

動詞

する

1. 動詞「す」の連体形。