もん

日本語

名詞

もん

1. (口語) 形式名詞「者（もの）」の撥音化。
   • 1937年、海野十三「棺桶の花嫁」

     お前さんはなかなかしっかりもんだと思って、あたしゃ前から――イエ何さ、しっかりした人だと思ってたのさ。

   • 1955年、三好十郎「樹氷」

     今日はよくも村のもんをなぐつたなあ！　仕返しをしてやるから、喜助を出せえっ！

2. (口語) 形式名詞「物（もの）」の撥音化。
   • 1944年、岸田國士「火の扉」

     異性の間の愛情つていうようなもんを、へんに神聖に考えるのはおかしいと、あたしは思うの。

   • 1962年、吉田茂「私は隠居ではない」

     いやどうも、ごらんの通り元気でね、この分では当分死にそうもありませんよ、困ったもんです。呵々。

助詞

もん

1. (口語) 接続助詞「もの」の撥音化。
   • 1927年、宮本百合子「未開な風景」

     だって二十銭も違うんだもん、そりゃそうだろう。

   • 1937年、蘭郁二郎「鱗粉」

     『そりゃそうでしょう。自殺するんなら、――それに若い娘ですもん、こんな人ごみの中で短刀自殺なんかするもんですか、もっと、どうせ死ぬんならロマンチックにやりますよ、全く――』

2. (口語) 終助詞「もの」の撥音化。
   • 1910年、小寺菊子「父の帰宅」

     「兄さんが行かんのなら、私も行くのいやだもん………」

   • 1930年、佐左木俊郎「街底の熔鉱炉」

     「でも、随分変な職業もあるもんね。そりゃ、わたしの職業なんかも、随分変なものには違いないけど……」

同音異義語

同音の漢字はWiktionary:漢字索引 音訓 も#もん。