強力

日本語

別表記

• ごうりき: 剛力

発音

• (東京式) きょーりょく [kyòóryókú] (平板型 – [0])
• IPA^(?): [kʲo̞ːɾʲo̞kɯ̟ᵝ]

• (東京式) ごーりき [gòóríkí] (平板型 – [0])
• (東京式) ごーりき​ [gòóríkíꜜ] (尾高型 – [4])
• IPA^(?): [ɡo̞ːɾʲikʲi]

名詞

強力 (きょうりょく 又は ごうりき)

1. （きょうりょく / 古:ごうりき）力が強いこと。また、強い力。剛力（ごうりき）。
   • 生西、撰一族中堪能强力之輩、於御前庭上令射小笠懸、召决相撲勝負。（『吾妻鑑』巻27・安貞2年4月26日）

     生西、一族中の堪能（かんのう）強力の輩を撰（えら）び、御前の庭上に於て小笠懸（こかさがけ）を射しめ、相撲（すまふ）の勝負を召し决す。

     生西（小山朝政）は、一族の中でも弓術に長けた者や力の強い者を選び、庭で小笠懸（騎射の一種）をさせたり、相撲を取らせたりした。

   • 彼等はその強力を頼んで正当に吾人が食い得べきものを奪ってすましている。（夏目漱石『吾輩は猫である』）
   • 一本の麻縄に漸次に徐々に強力を加えて行く時にその張力が増すに従って、その切断の期待率は増加する。（寺田寅彦『地震雑感』）
2. （ごうりき）荷物を持って修験者などに従う奴僕。
   • や、言語道断。判官殿に似申したる強力めは。一期の思い出な。腹立ちや日高くは、能登の国まで指そうずると思いつるに、僅かの笈負って後にさがればこそ人も怪しむれ。総じてこの程、憎し憎しと思いつるに、いでもの見せてくれんとて、金剛杖をおっ取ってさんざんに打擲す。 （『安宅』）

     やや、これはとんでもないことだ。判官殿に似た強力とは。一生ものの光栄なことだ。腹が立つ、日のあるうちに能登の国までたどり着こうと思っていたのに、わずかばかりの笈を背負って後ろに下がったりするから、おかしく思われるのだ。大体、このところ憎たらしいと思っていたところなので、目にもの見せてくれよう、といって、金剛杖をとって散々に打ちすえた。

3. （ごうりき）登山者の荷物を持って案内する人。
   • 「では、福島の方へ引っ返しましょう。そしてあしたは強力を雇って登りましょう。」（岡本綺堂『木曽の旅人』）

関連語

• 複合語: 強力犯
• ストロング

翻訳

（力が強いこと）

• 英語: mightiness ^(en)

形容動詞

1. （きょうりょく / 古:ごうりき）力が強い。
   • 相手はたいへん強力な利器をもっているぞ。（海野十三『地球要塞』）
2. （きょうりょく）作用や影響が強い。有力である。
   • アメリカの輿論も支那と同様日本も武力で開国させるというような意見がかなり強力であったようだが、たまたまアメリカの大統領が変り、外交に平和政策をとるようになったことと、尚その上にハリスという人が独自の見識と抱負をもった稀な人物であったために、日本は恵まれたのである。（坂口安吾『安吾下田外史』）

活用と結合例

強力-だ 形容動詞活用表（日本語の活用）

ダ活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
強力	だろ	だっ で に	だ	な	なら	(無し)

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
推量・意志	強力だろう	未然形 + う
過去・完了	強力だった	連用形 + た
否定形	強力でない	連用形 + ない
自動詞化	強力になる	連用形 + なる
言い切り	強力だ	終止形のみ
名詞化	強力なこと	連体形 + こと
仮定条件	強力ならば	仮定形 + ば
様態	強力そうだ	語幹 + そうだ

翻訳

• 英語: powerful ^(en), mighty ^(en), strong ^(en)