クスノキ科

クスノキ科（APG III）
分類
学名
	Lauraceae; Juss. (1789)
属
	本文参照

クスノキ科（クスノキか、楠科、学名：Lauraceae）とは、55属2000種以上を含む被子植物の科。多くは温帯南部や熱帯、特にアジア南東部やブラジルに分布する。日本ではタブノキをはじめ照葉樹林の構成種を多く含む。大部分の種は常緑（一部落葉）高木ないし低木だが、スナヅル属（Cassytha）はつる性の寄生植物である。

精油を含み、芳香をもつ種が多い。そのためクスノキ（防虫剤などになる樟脳を採る）や、シナモン、ゲッケイジュ（香辛料）、クロモジ（爪楊枝の材料、香料のクロモジ油も採れる）などが利用される。またアボカドは脂肪分に富む果樹として有名。

花は小さく目立たないものが多い。花被は内・外3枚ずつ（花びらとがくに相当するが明らかな区別はない）。果実は液果で種子を1個含む。

分類

主な属

和名は特に断りの無いものはYListによる^[1]。分布情報は POWO (2024) による。

バリバリノキ属^[2] Actinodaphne Nees - バリバリノキ（Actinodaphne acuminata (Blume) Meisn.; シノニム: A. longifolia (Blume) Nakai、Litsea acuminata (Blume) Sa.Kurata）
アニバ属 Aniba - パウローサ^[3]
アカハダクスノキ属^[2] Beilschmiedia - アカハダクスノキ（B. erythlophloia）
スナヅル属^[2] Cassytha - スナヅル、イトスナヅル、ケスナヅル
Chlorocardium - グリーンハート greenheart^[3]^[4]（C. rodiei; シノニム: Ocotea rodiei）および C. venenosum の2種
ニッケイ属（クスノキ属^[2]） Cinnamomum - クスノキ、シナモン、ニッケイ、ヤブニッケイ、シバニッケイ（C. doederleinii）、マルバニッケイ
シナクスモドキ属^[2] Cryptocarya - シナクスモドキ（別名: マルバダモ; C. chinensis）
マキミグス属^[2] Dehaasia - メダンテラス medang teras（D. incrassata）^[3]^{[注 1]}
Dicypellium Nees & Mart. - 2種
- ブラジルチョウジ^[3]（別名: ネルケンノキ^[3]; Dicypellium caryophyllaceum (Mart.) Nees & Mart.; シノニム: D. caryophyllatum (Mart.) Nees）- 仏領ギアナからブラジル（北部および北東部）にかけて分布する高木。
- Dicypellium manausense W.A.Rodrigues - ブラジル北部（アマゾナス州）産の高木。
コウトウクスモドキ属^[2] Endiandra R.Br.
- コウトウクスモドキ Endiandra coriacea Merr. - 少なくとも台湾の蘭嶼およびフィリピンに分布する高木。
- クイーンズランドウォルナット（Endiandra palmerstonii (F.M.Bailey) C.T.White）^[4] - オーストラリアのクイーンズランド州北東部に見られる高木。
ボルネオテツボク属^[2] Eusideroxylon - ボルネオテツボク1種のみ
Kuloa Trofimov & Rohwer^{(Wikispecies)} - 2020年に新設された属で、いずれも従来Ocotea属であった3種から成る。
- Kuloa ikonyokpe (van der Werff) Trofimov^{(Wikispecies)}（シノニム: Ocotea ikonyokpe van der Werff）- カメルーン産高木。
- Kuloa michelsonii (Robyns & R.Wilczek) Trofimov^{(Wikispecies)}（シノニム: Ocotea michelsonii Robyns & R.Wilczek）- コンゴ民主共和国からルワンダにかけて分布する高木。
- East African camphorwood^{[注 2]}（Kuloa usambarensis (Engl.) Trofimov & Rohwer^{(Wikispecies)}; シノニム: Ocotea usambarensis Engl.） - ケニアから熱帯アフリカ南部にかけて分布する高木。
ゲッケイジュ属^[2] Laurus L. - ゲッケイジュ
クロモジ属^[2] Lindera
- クロモジ節 Sect. Lindera - クロモジ、テンダイウヤク天臺烏藥（L. aggregata）、ヤマコウバシ、カナクギノキ（L. erythrocarpa）、オキナワコウバシ（オキナワヤマコウバシ）
- シロモジ節 Sect. Praecoces - シロモジ、アブラチャン、ダンコウバイ
ハマビワ属^[2] Litsea - ハマビワ、アオモジ（Litsea cubeba (Lour.) Pers.）、カゴノキ（Litsea coreana H.Lév.; シノニム: Actinodaphne lancifolia (Blume) Meisn.）
タブノキ属^[2] Machilus: Persea に含めることも多い - タブノキ、アオガシ（ホソバタブ）
Mezilaurus - イタウバ itaúba（M. itauba）^[3]
Nectandra Rol. ex Rottb.
- アグアカティロ aguacatillo^[3]（Nectandra mollis (Kunth) Nees; シノニム: N. reticulata Mez、N. villosa Nees & Mart.）- メキシコから南米南部にかけて分布する高木。
カイナングス属 Neocinnamomum H.Liu
- カイナングス Neocinnamomum lecomtei H.Liu（シノニム: N. hainanianum C.K.Allen）- 中華人民共和国（広西チワン族自治区南部、貴州省南西部、雲南省南東部）からベトナム北部にかけて分布する高木。
シロダモ属^[2] Neolitsea - シロダモ、イヌガシ、ダイトウシロダモ
Ocotea Aubl.
- インブイア imbuia^[3]（Ocotea porosa (Nees & Mart.) Barroso; シノニム: Phoebe porosa (Nees & Mart.) Mez）- ブラジル（南東部、南部）からパラグアイにかけて分布する高木。
アボカド属（または、ワニナシ属）^[2]Persea - アボカド
タイワンイヌグス属^[2] Phoebe - タイワンイヌグス（P. formosana）
Potoxylon Kosterm. - ボルネオ産高木であるマラガンガイ malagangai^[3]（Potoxylon melagangai; シノニム: Eusideroxylon melagangai）1種のみ
サッサフラス属^[2] Sassafras - サッサフラス
Umbellularia - カリフォルニアゲッケイジュ^[5]/ペッパーウッド^[4]（U. californica）1種のみ

APG植物分類体系

APG植物分類体系ではクスノキ目に入れる。

被子植物 Magnoliophyta

モクレン類 magnoliids

クスノキ目 Laurales

クスノキ科 Lauraceae

クロンキスト体系

クロンキスト体系でもクスノキ目である。

被子植物門 Magnoliophyta

双子葉植物綱 Magnolliopsida

モクレン亜綱 Magnoliidae

クスノキ目 Laurales

クスノキ科 Lauraceae

新エングラー体系

新エングラー体系ではモクレン目に入れる。

被子植物門 Angiospermae

双子葉植物綱 Dicotyledoneae

古生花被亜綱（≒離弁花類）Archichlamydeae

モクレン目 Laurales

クスノキ科 Lauraceae

ギャラリー

脚注

[脚注の使い方]

注釈

^ YListでは暫定的な和名として「マキミグス」が与えられている。
^ 熱帯植物研究会 (1996) では「ヒガシアフリカカンファーウッド」という仮称を与えられている。

出典

^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList），http://ylist.info （2024年1月15日閲覧。）.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 米倉, 浩司『新維管束植物分類表』北隆館、2019年、63–64頁。ISBN 978-4-8326-1008-8。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 熱帯植物研究会編『熱帯植物要覧』（第4版）養賢堂、1996年。ISBN 4-924395-03-X。
^ ^a ^b ^c コリン・リズデイル、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー著、杉山明子、清水晶子訳『知の遊びコレクション樹木』新樹社、2007年、152頁。ISBN 978-4-7875-8556-1（原書: Eyewitness Companions: Trees, Dorling Kindersley, London, 2005.）
^ アレン・コーンビス著、濱谷稔夫翻訳・監修『木の写真図鑑完璧版』日本ヴォーグ社、1994年、189頁。ISBN 4-529-02356-7

POWO (2024). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000569-2 Retrieved 15 January 2024

外部リンク

Lauraceae in Stevens, P. F. (2001 onwards). Angiosperm Phylogeny Website Version 7, May 2006 [and more or less continuously updated since].
Lauraceae in Watson, L., and Dallwitz, M.J. 1992 onwards. The families of flowering plants: descriptions, illustrations, identification, and information retrieval. Version: 29th July 2006

[5] YListでは暫定的な和名として「マキミグス」が与えられている。

[6] 熱帯植物研究会 (1996) では「ヒガシアフリカカンファーウッド」という仮称を与えられている。

[1] 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList），http://ylist.info （2024年1月15日閲覧。）.

[Yonek.2019-2] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 米倉, 浩司『新維管束植物分類表』北隆館、2019年、63–64頁。ISBN 978-4-8326-1008-8。

[NSY-3] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 熱帯植物研究会編『熱帯植物要覧』（第4版）養賢堂、1996年。ISBN 4-924395-03-X。

[r-w-u-4] コリン・リズデイル、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー著、杉山明子、清水晶子訳『知の遊びコレクション樹木』新樹社、2007年、152頁。ISBN 978-4-7875-8556-1（原書: Eyewitness Companions: Trees, Dorling Kindersley, London, 2005.）

[7] アレン・コーンビス著、濱谷稔夫翻訳・監修『木の写真図鑑完璧版』日本ヴォーグ社、1994年、189頁。ISBN 4-529-02356-7

[1]

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[4]

[注 1]

[注 2]

[5]