フユナラ学名: Quercus petraea)は、ヨーロッパ全域からアナトリア半島(小アジア)の温暖な地域の森林に自生するナラの一種である。スペインからノルウェーまで、さらにアルバニア西部の森ではごく一般的な樹木で、平野や丘陵地帯に分布する[1]

フユナラ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ブナ目 Fagales
: ブナ科 Fagaceae
: コナラ属 Quercus
: フユナラ Q. petraea
学名
Quercus petraea
(Mattuschka) Liebl.
英名
Sessile Oak
葉とドングリを付けた芽
吻合した木

落葉広葉樹高木で、高さ25 - 40メートル (m) に達する[1]。分布域の重なるヨーロッパナラに似る。寿命は長く、樹齢1000年を超える個体もある[1]。成長速度は遅く、60年ほどで初開花する[1]は、長さ7 - 14センチメートル (cm) 、幅4 - 8 cmで、両側に5つから6つの裂片があり、葉柄は1 cm程度である。花は、春に咲く尾状花序である。果実は、長さ2 cmから3 cm、幅1 - 2 cmのドングリであり、成熟までに約6か月を要する。

ヨーロッパナラとの比較

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葉に葉柄があり、果実に花梗がない点が、ヨーロッパナラとの植物学上の大きな違いである。ヨーロッパナラが低地の深い肥えた土壌を好むのに対し、フユナラは、浅い酸性の砂質の土壌で、雨の多い300m以上の高地に生える。Quercus × rosaceaと名付けられたヨーロッパナラとの間の雑種は繁殖力を持ち、両親種が土壌を共有する場所で見られ、両親種の中間の性質を持つ。

利用

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木材は、木骨造等の建設や造船、ワイン用のオークの製造等に用いられる。

シンボル

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フユナラは、ウェールズの国木に指定され、Welsh Oakという別名でも知られる[2]。また、コーンウォールの木としても認識され、Cornish Oakという別名もある[3][4]

出典

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  1. ^ a b c d セルジュ・シャール 著、ダコスタ吉村花子 訳『ビジュアルで学ぶ木を知る図鑑』川尻秀樹 監修、グラフィック社、2024年5月25日、36頁。ISBN 978-4-7661-3865-8 
  2. ^ "Tree trail with worldwide flavour", BBC News, 23 July 2004
  3. ^ James Minahan, The complete guide to national symbols and emblems , Volume 1, 2009
  4. ^ http://www.thisiscornwall.co.uk/native-trees-thrive-future/story-13244009-detail/story.html
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