ユーノー

ローマ神話の女神

ユーノーラテン語: Juno、古典綴:IV́NÓ)は、ローマ神話女性結婚生活を守護する女神で、主に結婚、出産を司る。また、女性の守護神であるため月とも関係がある[1]主神ユーピテルであり、ローマ最大の女神である[1]神権を象徴する美しい冠をかぶった荘厳な姿で描かれ、孔雀がその聖鳥。女性的気質の神格化である。ギリシア神話ヘーラーと同一視される。

ユーノー
結婚の女神
ユーノー・ソスピタ像
ヴァチカン美術館のオリジナルに基づく複製
配偶神 ユーピテル
サートゥルヌス, オプス
兄弟 ネプトゥーヌス, プルートー, ケレース, ユーピテル, ウェスタ
子供 マールス, ウゥルカーヌス, ベローナ, ユウェンタース
ギリシア神話 ヘラ
テンプレートを表示

英語ではジューノウ (Juno) 、フランス語ではジュノン (Junon) 。日本語ではユノユノージュノーなどともカナ表記する。

ユーピテル、ミネルウァと共に3柱1組でカピトーリウムの丘の神殿で崇拝されている。

6月の女神として知られる。ヨーロッパの言語で6月を表す Giugno, Juin, June などはユーノーに由来する。また、「6月の花嫁(ジューン・ブライド)」は、6月に結婚することで花嫁にユーノーの加護を期待する風習である。

神話

編集

サートゥルヌスの娘で、ユーピテルとの間にウゥルカーヌスユウェンタースを産んだ。花の女神フローラからもらった魔法の花に触れて妊娠し戦いの神マールスを単独で産んだ。

ウェルギリウスによる叙事詩アエネーイス』(Aeneid)ではトロイア人を憎み、ウェヌスの息子アイネイアースローマ建国を阻むため、アネモイ(風神)の主であるアイオロスに頼んでアイネイアースの船隊を沈没させようとした。その返礼に自らの配下のニンフで最も美しいデーイオペーアをアイオロスに与えると言った。第七巻ではユーノーがアレークトーを呼んでアマータを操って、トゥルヌスとアイネイアースの戦争を扇動させた。二人の開戦前にはユーノーが、ラティーヌス王の代わりに、戦いを始める際に開けることになっているヤーヌスの神殿の門を開け放った。

添え名

編集

ユーノーは様々な添え名と側面を持ち、崇拝されている。

ユーノー・モネータ(Juno Moneta)
忠告のユーノー。ガリア人のローマ侵入を神殿で飼われていたガチョウが告げたため「忠告する」という名を付された。紀元前345年に建設されたユーノー・モネータの神殿では後に貨幣の鋳造が行われた。
ユーノー・ルーキーナ(Juno Lucina)
出産のユーノー。ルーキーナと同じく、ローマ人では「子どもを光明の中へ出す女神」とも称される。
ユーノー・レーギーナ(Juno Regina)
女王のユーノー。ユーピテルの妻にして、通常「神々の女王」とも呼ばれる。
ユーノー・フォルトゥーナ(Juno Fortuna)
運命のユーノー。
ユーノー・カプローティーナ(Juno Caprotina)
豊穣・多産のユーノー。
ユーノー・ソスピタ(Juno Sospita)
救済・守護のユーノー。
ユーノー・ナーターリス(Juno Natalis)
誕生日のユーノー。
ユーノー・ユガ(Juno Juga)
結びのユーノー。

出典

編集
  1. ^ a b 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店1960年、293頁。

関連項目

編集
  NODES
Done 1