前立腺炎
前立腺が炎症を起こした状態
前立腺炎(ぜんりつせんえん)とは、前立腺が大腸菌、クラミジア、弱毒性細菌などが原因で炎症を起こした状態である。全男性の8割が一生に1回はかかる病気といわれ、前立腺炎には急性前立腺炎、慢性前立腺炎、非細菌性慢性前立腺炎、無症候性炎症性前立腺炎の4つに分類される[1]。
概要
編集急性前立腺炎
編集主に細菌が尿道から侵入することによって引き起こされる感染症。炎症により前立腺が充血し腫れるなどの症状が見られる。前立腺がんの腫瘍マーカーが異常な高値を示すのが通例。多くは大腸菌(グラム陰性桿菌)が原因となる。発熱、排尿痛、頻尿、尿閉などが主な症状である。
慢性前立腺炎
編集前立腺の炎症が慢性的に続く状態をいい、非細菌性慢性前立腺炎、慢性細菌性前立腺炎、前立腺痛に分類される。頻尿、残尿感、尿閉、排尿困難、排尿痛、射精痛に加え、下腹部の不快感、鈍痛などを伴うことがある。
米国国立衛生研究所による分類
編集カテゴリ | 病名 | 旧名 | 疼痛 | 細菌 | 白血球 | 備考 |
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I | 急性前立腺炎 | 急性細菌性前立腺炎 | ◯ | ◯ | ◯ | 緊急の治療が必要な前立腺の細菌感染症 |
II | 慢性細菌性前立腺炎 | 同左 | ± | ◯ | ◯ | 間欠性尿路感染症として見られる(比較的稀) |
IIIa | 炎症性CP/CPPS | 非細菌性前立腺炎 | ◯ | ✕ | ◯ | 前立腺炎診断の90~95%を占める[2] |
IIIb | 非炎症性CP/CPPS | 前立腺痛 | ◯ | ✕ | ✕ | |
IV | 無症候性炎症性前立腺炎 | (なし) | ✕ | ✕ | ◯ | 泌尿生殖器痛の既往はないが、通常、他の疾患の評価中に白血球増加が認められる。6~19%の男性は精液中に白血球を認めるが、自覚症状はない[3]。 |
診断
編集治療
編集脚注
編集註釈
編集出典
編集- ^ 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.128
- ^ “Prostatitis/chronic pelvic pain syndrome”. Annu. Rev. Med. 57: 195–206. (2006). doi:10.1146/annurev.med.57.011205.135654. PMID 16409145.
- ^ “Prevalence of asymptomatic inflammatory (National Institutes of Health Category IV) prostatitis in young men according to semen analysis”. Urology 71 (6): 1010–5. (June 2008). doi:10.1016/j.urology.2007.12.082. PMID 18455767.