数学における多項係数(たこうけいすう、: Multinomial coefficient)は二項係数を一般化したものである。

パスカルの三角錐を5段目まで描いたもの。側面(橙色の格子)は何れもパスカルの三角形になっている。矢印は、1つ上の段から和を取ることを表している。

定義

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非負整数列 k1, k2, …, kr および n = k1 + k2 + … + kr に対して、多項係数が定義される。

多項係数を直接表示すると

 

となる。ここに x!x階乗を表す。

多項係数は帰納的に表すこともできる:

 

多項係数は整数となる。したがって、多項係数を規則的に並べていくと r-単体となる(パスカルの単体r = 3 のときについてはパスカルの三角錐英語版を参照)。

多項係数は二項係数を用いて

 

と表すこともできる。

応用と解釈

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多項定理

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二項定理の拡張である、多項定理と呼ばれる等式

 

が成立する。特に x1 = x2 = … = xr = 1 と置くことにより

 

が得られる。

多項分布

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多項係数の応用として、多項分布

 

は離散確率変数に関する確率分布である。

組合せ論的解釈

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組み分け問題

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多項係数 (n
k1, k2, …, kr
)
n 個の対象を r 個の区別のつく箱に分けて入れるとき、各 i 番目の箱に ki 個だけの対象が含まれるように入れる方法の総数である。

重複置換の問題

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多項係数 (n
k1,k2,…,kr
)
は、1 ≤ ir に対して各々ちょうど ki 個の区別不能な対象が含まれる n 個の対象の置換の総数にも等しい。

問い. MISSISSIPPI の文字を並べ替えて得られる「語」は相異なるものが全部でいくつあるか?

この11文字の並べ替えの総数を数える必要があるが、一種類目の文字 M が 1 個 (k1 = 1), 二種類目の文字 I が 4 個 (k2 = 4), 三種類目の文字 S が 4 個 (k3 = 4), 残りは P が 2 個 (k4 = 2) であるから、多項係数

 

が答えを与える。これと対照的に、もし11文字全てが区別可能であったならば、その総数は 11! = 39,916,800 とずっと多くなる。

パスカルの単体

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二項係数に対するパスカルの三角形の類似対応物として、r-変数の多項係数にも幾何学的な図形(単体)が対応し、パスカルの r-単体と呼ばれる。r = 3 のときは特に、三項係数ドイツ語版に対するパスカルの三角錐英語版と呼ばれる。

外部リンク

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  • Weisstein, Eric W. "Multinominal Coefficient". mathworld.wolfram.com (英語).
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