対麻痺
対麻痺(ついまひ、英: paraplegia)とは、四肢麻痺と異なり、両下肢のみの運動麻痺(運動中枢から筋線維までのうちのいずれかの障害によって随意運動ができない状態)がある状態のこと。特に胸髄以下の脊髄障害および損傷によるものが多い。
対麻痺 | |
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概要 | |
診療科 | 神経学 |
分類および外部参照情報 | |
MeSH | D010264 |
対麻痺の種類
編集対麻痺に付随する症状によって分類する。
- 痙性対麻痺(spastic paraplegia):下肢の痙縮(spasticity)を伴う対麻痺をこのように呼ぶ。痙縮は筋緊張の亢進(受動的に動かしたときに正常よりも抵抗が大きい状態)であり、錐体路障害によって現れる症状であるので、他の錐体路徴候も伴っている。上位運動ニューロン障害である。後述のように対麻痺の原因疾患は脊髄障害が多いので、脊髄前角細胞よりも中枢の障害である上位運動ニューロン障害となりやすく、そのため対麻痺の多くは痙性対麻痺となる。
- 弛緩性対麻痺(flaccid paraplegia):下肢の筋緊張が低下した(受動的に動かしたときに脱力していて抵抗が小さくぐにゃぐにゃとしている)状態の対麻痺のことである。馬尾損傷や多発神経炎などの下位運動ニューロン障害のことが多い。ただし上位運動ニューロン障害でも脊髄障害の急性期には脊髄ショックを伴うので、弛緩性対麻痺になることがある。しかしこの場合は脊髄横断性症候群として対称性の感覚脱失や直腸膀胱障害を伴うので診断を誤ることは少ない。
対麻痺の原因
編集経過によって診断が異なってくる。ほとんどが脊髄の疾患である。
治療法
編集原因疾患に応じた治療法が行われる。各疾患の項目を参照されたい。対症療法として(亜急性連合性脊髄変性症の場合は根本治療であるが)ビタミンB12錠剤の投与も有効である。慢性の経過をたどる疾患に伴う対麻痺の場合は、リハビリテーションを実施するとともに、歩行の補助・リハビリを目的として長下肢装具、あるいは短下肢装具が用いられることがある。