無性愛

誰に対しても性的に惹かれることがほとんどないか、あるいは全く惹かれないという性的指向

(むせいあい、: asexuality)とは、他者に対する性的な惹かれ(性的魅力を感じること)の欠如、すなわち性的な行為への関心や欲求が少ないか、あるいは存在しないことである[1][2][3]。無性愛の性質を持っている人のことをアセクシュアル[4]Aセクシュアル[5]無性愛者[6]: asexual エイセクシュアル /eɪsɛkʃʊəl/[7]アセクシュアル /æsɛkʃʊəl/[8])という[注釈 1]

概要

編集

無性愛は、性欲自体がない無性欲や、性的行為に嫌悪感を抱く性嫌悪性的欲求低下障害(HSDD)英語版とは異なる。また純潔運動不淫(禁欲)も、意識的な行動であり、一般に個人の信条や宗教的信念などの要因に動機づけられる点で、無性愛とは異なる[9][10][11]

無性愛は、異性愛同性愛両性愛と同様に性的指向として扱われている[12][13]。また、より幅広い領域にわたる、様々な無性愛的なアイデンティティ(グレーアセクシュアル)を分類するための包括的用語としても用いうる[14]ブロック大学のアンソニー・ボガードは「世界人口の1%が無性愛者に当てはまる」と自身の著書に記している[15]

性的指向や科学研究の分野としての無性愛の受容はまだ比較的新しく[2][16][17]、社会学・心理学的知見からの研究の蓄積は始まったばかりである[16]。無性愛は性的指向であると主張する研究者もいれば、これに同意しない研究者もいる[17][18]

ソーシャルメディアの出現以来、様々な無性愛者のコミュニティが形成され始めている。これらのコミュニティの中で最も充実し、かつよく知られているのは、2001年にデヴィッド・ジェイ英語版によって設立されたAsexual Visibility and Education Network(AVEN; 無性愛認知教育ネットワーク)である[18][19]

他の性的指向に比べるとメディアでの紹介や法的保護の動きは遅れているが、英語圏では徐々に性的アイデンティティとしての地位を獲得しつつある[20][21]。日本でも2000年代初頭からコミュニティ形成の動きが進んでいる[22]一方で、研究やメディアへの露出は英語圏ほど活発にはなっていない。

定義

編集

本節では英語圏の文脈での定義について説明する。日本独自の用語などについては「#日本における無性愛」を参照。

無性愛であると自認する人々にはたくさんの種類がいるため、無性愛は幅広い定義を包摂しうる[23]。研究者は一般的に無性愛を「性的な惹かれや性的関心の欠如」と定義するが[18][16][24]、無性愛者らの定義は様々である。「性的な欲求が少ないか、もしくはない人」「性的な行為が少ないか、もしくはしない人」「恋愛的な関係・性愛的でない関係のみを持つ人」、または「性的な欲求および行為の両方がない人」を示す用語として無性愛は用いられることがある[16][25]。また、無性愛であるという自認(帰属意識)も定義上の要素となりうる[25]

AVENでは無性愛者を「性的な惹かれを経験しない人」として定義し、次のように述べる。

我々の皆が、無性愛であると気付いた時から無性愛という用語やコミュニティを必ずしも知っていたわけではないが、ほとんどの無性愛者は生涯にわたって無性愛である。(…)一方、無性愛者のコミュニティにも少数ながら、自らのセクシュアリティを探究したり疑問を抱く中で、束の間だけ無性愛と自認する人もいる。(…)無性愛識別基準[26]によって研究を補助する学術的試みはなされているが、その人が無性愛であるかどうかを定義するための検査は存在しない。無性愛は他のあらゆる性自認と同様に、本質的には、人々が自分自身を理解し、その一面を他人に伝える上での一助として用いる言葉にすぎない。その人が自己表現のうえで無性愛という言葉を有用と思えば、確かに無性愛者と自認してもよいだろうし、あとで無性愛者でないことを示すようなことがらを経験したなら、それでもまた構わない。[27]

無性愛の人々は、いかなるジェンダーの人々にも性的に惹かれないが、純粋な恋愛関係になる場合もあるし、ならないこともある[18][28]。無性愛を自認する人で、性的な魅力は感じるが、性的あるいは恋愛的行為(抱きしめる、手を握るなど)を心からは望んでいない、または必要とはしていないために、行動に移す気がないと述べる人もいる。一方では抱きしめたり、他の恋愛的な身体行為を行う無性愛者もいるし[9][10][16][23]、好奇心から性的な行為を試みる者もいる[16]。一人での処理の形として自慰行為をする者もあれば、その必要がないと感じる者もいる[23][29][30]

特に性的な行為に関しては、自慰行為の必要性または欲求は、無性愛者からは一般に性衝動(sex drive)と呼ばれ、性的な惹かれや性的なものとは切り離して考えられる。自慰行為をしている無性愛者は一般的に、それが人体の正常な営みであり、潜在的なセクシュアリティを持つしるしではないと考え、快感を覚えないこともある[16][31]。無性愛者の男性には勃起を経験しない人もおり、そうした人にとっては試しに挿入するといった性的な行為は不可能である[32]

無性愛者は、性行為を行うことに対する感情についても様々である。無関心で、恋愛パートナーのためにセックスをする人もいれば、一般に人がセックスをすることを嫌うわけではないが、性行為をすることには強い嫌悪感を抱く人もいる[16][23][30]

無性愛者と自認する多くの人は、自らを他の性的アイデンティティにも属していると考える。例えば、性的指向や性的アイデンティティの恋愛的・感情的側面に関しては、無性愛者は異性愛レズビアンゲイバイセクシュアルクィアと自認することがある[27][28]。あるいは性的指向の性的でない、恋愛的な側面と関係があることを示すために、以下のような用語で自らを定義することもある[23][28]

  • アロマンティック[33] - 恋愛的に他人に惹かれない
  • バイロマンティック[34] - 恋愛的に両性に惹かれる(が、性的な魅力を感じない)
  • ヘテロロマンティック[35] - 恋愛的に異性に惹かれる
  • ホモロマンティック[36] - 恋愛的に同性に惹かれる
  • パンロマンティック[37] - 恋愛的にあらゆる性に惹かれる

アロマンティックと非アロマンティックの間、または無性愛とそうでない状態との間(アロマンティック・スペクトラム)にいると感じるため、グレーA(グレーロマンティック、デミロマンス、デミセクシュアルまたはセミセクシュアルなど)を自認することもありうる。グレーAという用語が、「場合によって恋愛的な魅力や性的な魅力を感じる人」全てを指すのに対して、デミセクシュアルやセミセクシュアルは、性的な惹かれを2次的な要素として経験する、すなわち、「ある程度安定的な、あるいは強い感情的なつながりを生じて初めて性的な惹かれを感じる人」のことを言う[23][38]

コミュニティとシンボル

編集
 
無性愛コミュニティのメンバーは、帰属を表すために右手中指に黒い指輪をつけることもある[39]

コミュニティ

編集

無性愛者のコミュニティに関する学術研究は今のところ不足している[40]。海外の研究者及び当事者の間では、無性愛者は「エース(ace)」、そのコミュニティは「エースコミュニティ」と呼ばれることもある[41][42]

1990年代にはインターネット上に性的欲求がほとんどまたは全くない人々のための私的なサイトがいくつかあった[43]が、学者の述べるところでは、オンラインコミュニティの普及を追い風に、21世紀初頭に無性愛を自認する人々のコミュニティが合体したという [44][45]。「Leather Spinsters」のなどのグループは、文化の圧力に対して無性愛的な生き方を擁護し、ジェラディン・ヴァン・ヴィルステレンはオランダで「Nonlibidoism Society」を創設し、Yahoo!は無性愛者に「Haven for the Human Amoeba」というコミュニティを提供した[43]。AVENは、2001年にアメリカの無性愛活動家デビッド・ジェイによって設立された組織で、無性愛者の問題に焦点を当てている[18]。その目標は、「無性愛の周知と議論の創出、および無性愛コミュニティの形成の促進」である[18][19]。また、日本では「asexual.jp」などのコミュニティが活動している(後述)。

2014年の6月29日、AVENはワールドプライド英語版との提携の下、トロントで2度目となる無性愛者の国際会議を主宰した。1度目は、2012年のロンドンにおけるワールドプライドで開催されている[46]。2回目のこのイベントには約250人が参加したが、これは今日に至るまで最大の無性愛者の集いである[47]。会議では、無性愛に関する研究や無性愛者の人間関係、様々なアイデンティティとの交わりなどの話題に関するプレゼンテーションやディスカッション、ワークショップなどが行われた。

シンボル

編集
 
よく用いられる無性愛者のプライド・フラッグ

2009年、AVENのメンバーらが初めてアメリカでのプライド・パレードに参加し、サンフランシスコでのプライド・パレードで行進した[48]。2010年8月、無性愛者の旗を作ること、およびそのためのシステムの立ち上げ方についての議論が交わされたのち、できる限りの無性愛者コミュニティと連絡を取りあった末に、参加団体から1本の旗を無性愛者のプライド・フラッグとする旨が宣言された。最終的に決まった旗は有力な候補の1つで、元々はAVEN以外のオンライン掲示板で使われていたものであった。最終投票は、旗を作る運動の本丸であったAVENからは独立した調査システムの下で行われた。旗の色を使ったグッズも作られ、セクシュアリティに関する記事の中でも取り上げられた[49]

研究

編集

無性愛のモデル化と人口

編集
 
性的指向の程度を示すキンゼイ指標。元のスケールでは性的な行為の欠如を示す「X」が含まれている[50]

無性愛は人間のセクシュアリティの新しい形態ではないが、公の議論に表れたのは比較的最近のことである[51]

アルフレッド・キンゼイは、異性愛者から同性愛者への性的指向について、0から6の段階で評価した(キンゼイ指標)が、「社会的な性的接触や反応がない」人々について「X」という分類も設けた[52][53]。現代では、これは無性愛を表すものと分類されている[54]。キンゼイは成人男性の1.5%をXと分類した[52][53]。また彼の2冊目の著書『人間の女性の性的な行為』では、Xに分類される人の内訳について、未婚女性の14~19%、既婚女性の1~3%、結婚経験のある女性の5~8%、未婚男性の3~4%、既婚男性の0%、結婚経験のある男性の1~2%と報告している[53]

ただし学者のジャスティン・J・レーミラーは、「キンゼイのXの分類は性的な行為の欠如を強調していたが、現代の無性愛の定義は性的な惹かれの欠如に重きを置いている。とすれば、キンゼイ指標は無性愛の正確な分類には不十分かもしれない」[50]と述べている。

1979年、1980年に掲載された2つの論文では、カンザス大学のミシェル・D・ストームズがキンゼイ指標の再モデル化について概説している。キンゼイは実際の性的な行為と性的妄想(sexual fantasizing)や性欲(eroticism)に基づいて性的指向を測定したが、ストームズは妄想や性欲のみを使用し、また単一スケールの2つの端ではなく2軸上に異性愛と同性愛を置いた。これは、両性愛(異性・同性両方への性欲を異性愛者・同性愛者と同程度に示す)と無性愛(異性への性欲を同性愛者程度に、同性に対する性欲を異性愛者程度に示す、つまり性欲がほとんどない人)の区別を可能にする。このタイプのスケールは初めて無性愛を説明したものであった[55]。ストームズは、「キンゼイのモデルでは無性愛と両性愛両方が性的パートナーについてのジェンダー選好の欠如によって定義されていたので、このモデルに従う多くの研究者が、無性愛の被験者を誤って両性愛者に分類する可能性がある」と懸念した[56][57]

ポーラ・ヌリウスによる1983年の調査では、妄想と性欲の2次元スケールを用いて性的指向を測定した。回答者には結果に基づいて、異性愛・同性愛について0〜100のスコアが与えられ、両者とも10点未満の得点を挙げた者は「無性愛」と分類された。この群には男性の5%と女性の10%が該当した。調査では無性愛者が、複数のパートナーとの交際、肛門性交、様々な場所での性的接触、自己性愛的活動などの様々な性的な行為の頻度がはるかに低く、その欲求が起こる頻度も低いという結果を示した[58][59]

無性愛者の人口統計に関するより経験的なデータが1994年に発表されている[注釈 2]。これは英国の研究チームが英国人18,876人を対象に行った包括的な調査で、エイズ流行に伴って性に関する情報収集の必要に駆られたものであった。この調査には性的な惹かれに関する質問が含まれており、1.05%の回答者が「誰に対しても性的に惹かれたことはない」[60]と回答した。

この現象についての研究は、カナダのセクシュアリティ研究者アンソニー・ボガートによって引き継がれ、彼は2004年に一連の研究で無性愛者の統計的人口を調査した。ボガートの研究では、英国の人口の1%が性的な惹かれを経験していないことが示唆されたが、先の調査のために接触した人々の30%が調査に参加しない選択をしたことを指摘した上で、「この1%という数字は、無性愛者と自認する可能性のある人口を正確に反映したものではなく、その割合はおそらくずっと大きい」という確信を述べた。性的経験が少ない人はセクシュアリティに関する研究への参加を拒否する可能性が高く、無性愛者は性愛者よりも性的な経験が少ない傾向にあるため、回答した参加者には反映されていない可能性が高いからである。同じ調査によると、同性愛者と両性愛者の人数の合計は、人口の約1.1%であり、他の調査よりもはるかに小さいことが分かった[24][21]

ボガートの1%という数字とは対照的に、2013年に出版されたアイケンらの調査によれば、2000〜2001年のNatsal-2[注釈 2]のデータに基づくと、英国における無性愛者の割合は16〜44歳の年齢層でわずか0.4%である[25][61]。この割合は、10年前の同じ年齢層で収集されたNatsal-1のデータから決定された0.9%という数字からの減少を示す[61]。ボガートによる2015年の分析でも、Natsal-1とNatsal-2のデータの間に同様の低下が指摘された[62]

アイケン、マーサー、キャッセルは、いくつかの証拠から、性的魅力を感じたことのない回答者に民族的差異があることを見出だした。インドパキスタンに出自がある男性と女性の両方が、性的な惹かれがないと報告する傾向が強かった[61]。また、ムスリムの被験者のほうがキリスト教徒よりも高い割合で、いかなる形でも性的に惹かれを経験したことがないと答えている[63]。信仰の有無と無性愛との間には何らはっきりとした統計的相関は見つかっておらず、無性愛は信仰を持つ人・持たない人のいずれにも同じように見られる[63]。にもかかわらず、無性愛は禁欲を誓う聖職者の間にはよく見られる。これは、無性愛でない人々のほうが禁欲の誓いを守れない可能性が高いからである[64]

性的指向・HSDDとの関係

編集

無性愛が性的指向であるかどうかについてはかなりの議論がある[17][18]。どちらも性的欲求の全般的な欠如を意味するという点において、無性愛は性的欲求低下障害(HSDD)と比較され、同一であると考えられている。HSDDは無性愛を医療化するために使用されてきたが、無性愛はその人が医療上の問題や他者と社会的に結びつく問題を抱えていると定義するものでは必ずしもないため、障害または性機能不全(無オルガスム症冷感症など)とは一般的にみなされていない[10][28][65]。HSDDの人々とは違って、無性愛者は通常、自分の性的な感情や性的興奮のないことについて、「感情的苦痛」や「対人的な困難」を経験していない。無性愛は、永続的特性としての性的な惹かれの欠如または不在とみなされる[24][28]。ある研究では、HSDD被験者と比較して、無性愛者は性的欲求、性的経験、性に関連する苦痛および抑鬱症状が低レベルだったことが明らかになった[66]。研究者リチャーズとバーカーは、無性愛者はアレルギー鬱病、または人格障害の割合が不相応であると報告している[28]。しかし、無性欲的な状態が前述の障害のいずれかによって説明できる場合でも、無性愛であると自認している人もいる[67]

無性愛がHSDDであるという見解については、無性愛者のコミュニティ内で議論を呼んでいる。無性愛を自認する人はふつう、性的指向として認識されることを好む[18]。通常の性衝動があると報告しながらも自慰行為のできない無性愛者もいることから、「無性愛は性的指向である」と様々な学者が述べている[9][17][32]。彼ら研究者や多くの無性愛者は、性的な惹かれの欠如は性的指向に分類するには十分妥当であると考えている[68]

これらの研究者は、「無性愛者は自ら選んで性的欲求を持たないのではなく、一般に思春期ごろ性的な行為の違いに気付き始めるのだ」と主張する。こうした事実が明るみに出たことで、無性愛は選択的行動などではなく、また障害のように治癒できるものでもないと断言されている[32][69]。無性愛が一般的になりつつあるか否かも分析されており、実際により多くの人々が無性愛を自認するようになっている[70]

性的指向のカテゴリーに関しては、無性愛は、一連のカテゴリーに追加する意義のあるものではなく、むしろ性的指向やセクシュアリティの欠如であると主張されることもある。別の議論では、無性愛者が自慰したり単に恋愛パートナーを喜ばせるために性的な行為を行うことを踏まえたうえで、「無性愛は自然なセクシュアリティの否定であり、セクシュアリティへの羞恥心や不安、性的虐待によって引き起こされる障害である」と指摘されている。性的指向をめぐるアイデンティティ・ポリティクスの文脈の中で、無性愛は性的指向のアイデンティティに関する1つのカテゴリーとして実践的な政治的機能を果たす可能性がある[71]

精神衛生

編集

無性愛に関する経験的データを提供した最初の研究は、1983年にポーラ・ヌリウスによって発表された、性的指向と精神衛生の関係についてのものである[58]。米国のさまざまな大学の心理学または社会学の授業を受講している学生を主とする689人の被験者に、4つの臨床的幸福尺度を含むいくつかの調査がなされた。結果は、無性愛者が他の性的指向のメンバーよりも自己評価が低く抑鬱の可能性が高いことを示した。ここでは異性愛者の25.88%、両性愛者(ambisexual)の26.54%、同性愛者の29.88%、および無性愛者の33.57%が自己評価に問題があると報告されている。鬱病についても同様の傾向がみられた。ただしヌリウスは、様々な理由から、この結果からは確固たる結論は導けないと考えた[58][59]

2013年の研究では、ユールらが白人の異性愛者・同性愛者・両性愛者・無性愛者の精神衛生上の違いを調査した。男性203人と女性603人の結果が所見に含まれていた。ユールらの研究では、無性愛の男性被験者は、他の男性、特に異性愛者よりも気分障害を有すると報告する傾向が強いことが分かった。女性でも、異性愛者との比較で同じ結果が得られた(ただし最も高い割合を示したのは同性愛・両性愛の女性だった)。無性愛の男女ともに、他の被験者よりも不安障害を有することが多く、異性愛者の参加者よりも最近自殺したい気持ちが芽生えたことを報告する傾向があった。ユールらは、こうした差の一部は差別やその他の社会的要因によるものかもしれない、との仮説を立てている[72]

発生要因

編集

性的指向との関連が指摘される神経発達学的形質として、利き手・兄弟姉妹の数・指比が挙げられる。ユールらは2014年に無性愛の性自認をもつ人々とこれらの性質の関係を調査している。この研究では、右利きでない無性愛者の割合が異性愛者と比較して2.4~2.5倍にのぼること、無性愛および非異性愛の男性は異性愛の男性に比べて年少の兄弟である割合が高く、無性愛の女性は非異性愛の女性に比べて年長の姉妹である傾向が強いことが明らかにされた。一方で、指比については無性愛との有意な関連性は認められなかった。この研究は、性的指向の欠如という無性愛の特徴を神経発達学的側面から説明するための経験的根拠を与える初めての試みの1つであった[73]

ただし、性的指向の成因に関する研究を無性愛に適用することは、性的指向に無性愛を含めるか研究者によって一貫した定義がないという問題を孕んでいる[74]。性的指向は「永続的」で変化しないものと定義され、一般にそれを変更しようとする介入は通用しないことが証明されているが[75]、無性愛は永続的で持続するから、性的指向と定義できるかもしれない[2]。しかし異性愛、同性愛および両性愛は、必ずではないが通常、前思春期の早い段階で決定されるのに対し、いつ無性愛であると決定するかは分からない。性的関心あるいは性的欲求を持たないという特性が、生涯にわたり続くものである、あるいは後天的であると考えてよいかは判然としない[16]

差別と法的保護

編集
 
プライド・パレードにおける無性愛者の行進

2012年の研究によれば、無性愛者はゲイやレズビアン、バイセクシュアルなどの他の性的マイノリティに比べて、より不当な偏見人間性の抹殺英語版差別にさらされているという。同性愛と異性愛の人々の両方が、無性愛者のことを冷血で動物的な、抑制されていない人々と考えている[76]。無性愛の活動家であり著述家・ブロガーであるジュリー・デッカー英語版は、もっぱら無性愛者のコミュニティを標的にするセクシュアル・ハラスメント暴力矯正強姦を目にしてきた[77]。しかし別の研究では、彼らが無性愛であるがゆえの深刻な差別を受けているとする証拠はほとんど見出せなかった[78]。社会学者のマーク・カーリガンは、中立的地点から、「無性愛者はしばしば差別を経験しているが、それは嫌われるなどというよりはむしろ『人々が本当の意味で無性愛を理解しないことによる周縁化』の問題である」と論じている[79]

無性愛はまた、LGBTコミュニティからも偏見にさらされている[77][80]。多くのLGBTの人々は、同性愛者でも両性愛者でもない人々はストレートに違いないと主張し、しばしば無性愛者をクィアの定義から排除しようとする。LGBTQのコミュニティを支援する名の知れた組織は数多く存在するが、これらの組織は一般に無性愛者には手を差し伸べず、無性愛に関する文献資料も提供していない[80]。活動家のサラ・ベス・ブルックスは、無性愛者であることをカミングアウトするにあたって、「無性愛者は性自認をはき違え、社会正義の運動の中で不相応な注目を浴びている」と多くのLGBTの人々から言われている[77]。他方では「The Trevor Project」や「The National LGBTQ Task Force」のように、異性愛ではない以上クィアの定義に含まれるという理由から、はっきりと無性愛を受容しているLGBT組織もある[81][82]。今[いつ?]ではLGBTQという略語の中にAを付け加えている組織もあれば、いまだ議論の俎上にある組織も存在する[83]

いくつかの司法制度の下では、無性愛は法的保護を受けている。ブラジルは1999年から、国の倫理規定に基づいて、精神科医によるあらゆる性的指向の病理化や治療の試みを禁じており[84][85]、またアメリカのニューヨーク州では無性愛者を保護すべき人々として扱っている[86]。しかし、無性愛は大衆や研究者の目をさほど引き付けていないため、他の性的指向ほどには法制化の対象にはなっていない[21]

メディアでの扱い

編集
 
シャーロック・ホームズ

メディアにおける無性愛的な表現は限られており、作品の中で公に知らされたり、確たることが述べられることはほとんどない[20]。21世紀初頭以前の作品の中では、登場人物はたいていおのずから性的であることが前提とされており、セクシュアリティの有無に関してはふつう疑問を挟まれない[87]

コナン・ドイルの作品に登場するシャーロック・ホームズは、知性にのみ駆り立てられる肉体の欲望とは無縁の人物として意図的にキャラクター化されており、今日であれば無性愛に分類されるであろう人物として描かれている[64]アーチー・コミックのキャラクター、ジェグヘッド・ジョーンズは、アーチーの過度な異性愛の引き立て役としてわざと無性愛的に描かれている可能性が高いが、何年間もシリーズを繰り返すうちに、彼がゲイか異性愛者であるとほのめかす方向に描写を変えつつある[64][88]

1960年代のテレビシリーズ『ギリガン君SOS』に登場する同名のキャラクター、ギリガンも、今日では無性愛と位置付けられる。ドラマの製作者はおそらくそうすることで、性徴を迎えておらず性的欲求を経験したことのない少年層の視聴者により親しみやすくしようとしたのだと考えられる。ギリガンが無性愛的であることで同時に、製作者としては、歩み寄ってくる魅力的な異性をギリガンがはねつけるというコメディ的な展開をわざと描くことができる[64]

また、アンソニー・ボガートは以下のような見方を示している。映画やテレビではよく、魅力的だが無性愛的な女性のキャラクターが、物語終盤で男の主人公に異性愛に「変えられる」さまを描く。こうした非現実的な描写は、どんな無性愛的な女性もひそかに男性のことを欲しているものだという異性愛の男性の妄信を反映したものである[64]

21世紀初頭から無性愛は、生物学的な存在というよりも一種の性的アイデンティティとして、欧米のメディアで徐々に論じられるようになってきた[20]フォックス放送Dr.HOUSEシリーズの1エピソード「良き伴侶」では無性愛のカップルが描かれているが、この描写にはAVENの創設者デヴィッド・ジェイを含め無性愛者のコミュニティからは疑問の声が上がった。というのも最終的に、男は性衝動が減退する脳腫瘍に冒かされており、女は男を喜ばせるために無性愛のふりをしていただけだったことが分かって幕が引かれるのである[89]。このことが表現をめぐる議論を呼び、フォックス放送に今後の無性愛的キャラクターの表現の仕方に対する反省を求める署名がchange.orgで申請されるに至った。署名では「無性愛を病気や欺瞞とみなしている最低な表現だ」と述べられた[89]

Netflixのアニメ、ボージャック・ホースマンは第3シーズンの終盤に、主要人物の1人であるトッド・チャベスが無性愛者であることを明らかにした。第4シーズンではそれがさらに緻密に描かれており、この表現に関しては無性愛者コミュニティからも概ね好意的な反応を受けている。イギリスのソープオペラエメデールでは、15歳のキャラクターのリヴ・ファラーティが、男の子にも女の子にも靡かないことを打ち明け、無性愛者ではないかという憶測を呼んでいる[90]。ベストセラー小説シャドウハンターシリーズのドラマ版では、登場人物の1人であるラファエル・サンティアゴが無性愛者であることが確定している[91]

2011年にはアンジェラ・タッカー監督の下で、無性愛をめぐる問題を描いたドキュメンタリー映画「(A)sexual」が製作された[92]

無性愛の著名人

編集

日本における無性愛

編集

用法

編集

無性愛の定義や分類については、日本の無性愛者コミュニティでは独自の発展を遂げてきた部分もある。

日本のコミュニティで用いられる用語として非性愛者またはノンセクシュアル[注釈 1]が挙げられる。これは「性的な惹かれを感じないが恋愛感情を持つ人」を指す。海外のロマンティック・アセクシュアルと重なる用語ではあるが、無性愛が(性的感情ではなく)恋愛感情の欠如によって定義されることのある日本においては、非性愛は当然ながらロマンティック・アセクシュアルとは異なる文脈に位置づけられる。無性愛のサブカテゴリーとして「性的な惹かれの欠如」と必ず関連付けられるよりはむしろ、非性愛者は恋愛的魅力を感じうるが様々な理由により性的関係を望まない人々として理解される[95]駒澤大学による2017年の東京レインボープライド参加者およびイベントサイト上でのアンケートでは、「性的指向」の選択肢中に「ノンセクシュアル」「アセクシュアル」が用意され、全回答のうち「ノンセクシュアル」が2.7%・「アセクシュアル」が1.6%という結果となった[96]


人口

編集

2016年の博報堂DYホールディングス・LGBT総合研究所が実施した10万人を対象とするスクリーニング調査において、有効回答を得た20~50代の89,366名のうち、651人(0.73%)が無性愛者であると回答している[97]。なお同調査で、ゲイと回答した者は1,731人(1.94%)、レズビアンは1,522人(1.70%)、両性愛者は1,557人(1.74%)であった。国立社会保障・人口問題研究所による大阪市での性的少数者に関する無作為調査では、有効回答4,285件のうち33人(0.8%)が自分の性的指向をアセクシュアル・無性愛者と回答している。出生時の性別に分類した場合、男性の無性愛者の比率は0.3%、女性では1.1%であった[98]

研究・メディア

編集

日本での研究やメディアではLGBTの話題の中で稀に取り上げられてきたが、中心的に扱った紹介事例が出始めたのは2010年代に入ってからのことである。

柿沼・布施木らの2011年の論文[99]では、Aセクシャルという用語を紹介するとともに、Aセクシャル研究の現状と問題点を論じたヒンダーリター(2009)Methodological Issuer for Studying Asexuality にレビューを加えている。ここでは、(1)Aセクシャルの定義の問題(現状として、ボガートの「性的な惹かれのないこと」、ヌリウスの「性的指向のないこと」、プラウスとグラハムの「Aセクシャルであるというアイデンティティ」の3つに分裂している)、(2)サンプリングにあたっての協力者獲得や質問方法をめぐる問題、(3)アイデンティティとの関連性の問題の3点に触れており、特に定義とアイデンティティをどのようにすり合わせていくかが重要であるとコメントしている。また2013年には同じく柿沼・布施木が、量的研究からAセクシャルの発生要因に迫った Template:Anthony F. Bogaert Asexuality: Prevalence and Associated Factors in a National Probability Sample を紹介している[100]。ここで柿沼らは先天性のAセクシャルを「狭義のAセクシャル」、後天的な要因(健康・薬理・年齢など)によるAセクシャルを「広義のAセクシャル」として分離しており、ボガートの調査研究からはこれらの判別が難しいことを指摘している。

2016年には、フォタケが日本における「草食系」の言説と無性愛との関連性について論じた英語論文を発表している[6]。ここでは、本質主義的視点と構成主義視点の双方において草食系は無性愛というカテゴリーの傘下に含みうるものであるとしている。またプルジビロらが無性愛について、異性愛中心主義的な文化に抵抗する可能性を秘めていると指摘したように、草食系も「男性らしさ」の言説を再定義しうるものであると述べる。

メディアでの過去の紹介事例としては、2012年にTBS系列『私の何がイケないの?』で無性愛者が出演したほか、2013年に北陸中日新聞、2014年に朝日新聞で取り上げた記事などがある[101][102]。2018年にはAbemaTV「Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~」で、セクシュアリティ研究者の清水晶子が出演しコメントを述べている[103]。また無性愛(クエスチョニング)の女性主人公を題材にした漫画『桐生先生は恋愛がわからない。』(小野ハルカ)が『裏サンデー』・『MangaONE』で連載された[104]2022年1月-3月には、NHK総合よるドラ」枠にて、アロマンティック・アセクシュアルである男女をメインに据えたテレビドラマ恋せぬふたり』が放送された。

日本語の文献

編集
  • 綾部六郎、池田弘乃『クィアと法:性規範の解放/開放のために』日本評論社、2019年。ISBN 978-4-535-52426-2 
  • イーディー・ジョー 編、金城克哉 訳『セクシュアリティ基本用語事典』明石書店、2006年。ISBN 9784750324531 
  • 柿沼賢治、布施木誠「性的マイノリティにおける無性(Aセクシャル)概念の可能性:Aセクシャル論文のレビュー」『聖マリアンナ医学研究誌』第11巻第86号、聖マリアンナ医学研究所、2011年、21-25頁、NAID 40018754057 
  • 柿沼賢治、布施木誠「Aセクシャルにおける量的研究について:Aセクシャル論文のレビューⅡ」『聖マリアンナ医学研究誌』第13巻第88号、聖マリアンナ医学研究所、2013年、45-53頁、NAID 40019664040 
  • 染谷泰代「女ふたりという関係『子供の時間』にみる「ロマンティックでasexualな関係性」試論」『女性学年報』第25巻、2004年、1-19頁、ISSN 03895203NAID 40006599480 
  • 原口祥典、國武裕、山田茂人「女性的な仕草が見られた無性愛の男性摂食障害の1例」『九州神経精神医学』第55巻第3号、2009年、145-150頁、ISSN 00236144NAID 40017075455 
  • 伏見憲明「〈性〉のミステリー」『本』第22巻第5号、講談社、1997年、54-56頁、ISSN 03850366NAID 40004101690 
  • 三宅大二郎 著「asexualのドラマトゥルギー―AVENにおける定義の変遷に着目して」、藤川信夫 編『人生の調律師たち:動的ドラマトゥルギーの展開』春風舎、2017年。ISBN 9784861105401 
  • ユンジュン・キム 著「セックスは健康のために必要か?:無性愛という悦び」、ジョナサン・M・メツル、アンナ・カークランド 編『不健康は悪なのか:健康をモラル化する世界』みすず書房、2015年。ISBN 9784622078944 
  • Decker, Julie Sondra 著、上田勢子 訳『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて:誰にも性的魅力を感じない私たち』明石書店、2019年。ISBN 9784750348148 

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ a b セクシュアルの部分はセクシャルとも表記。
  2. ^ a b The National Surveys of Sexual Attitudes and Lifestyles(Natsal; 性に関する態度とライフスタイルに関する全国調査)。イギリスで1990~1991年と2000~2001年の2回にわたって実施されており、それぞれNatsal-1とNatsal-2と呼ぶ。

出典

編集
  1. ^ Robert L. Crooks, Karla Baur (2016). Our Sexuality. Cengage Learning. p. 300. ISBN 1305887425. 2017年1月4日閲覧.
  2. ^ a b c Katherine M. Helm (2015). Hooking Up: The Psychology of Sex and Dating. ABC-CLIO. p. 32. ISBN 1610699513. 2017年1月4日閲覧.
  3. ^ Kelly, Gary F. (2004). "Chapter 12". Sexuality Today: The Human Perspective (7 ed.). McGraw-Hill. p. 401. ISBN 978-0-07-255835-7 Asexuality is a condition characterized by a low interest in sex.
  4. ^ Decker, Julie Sondra 著、上田勢子 訳『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて:誰にも性的魅力を感じない私たち』明石書店、2019年。ISBN 9784750348148OCLC 1105994734 
  5. ^ 綾部六郎、池田弘乃『クィアと法:性規範の解放/開放のために』日本評論社、2019年。ISBN 978-4-535-52426-2 
  6. ^ a b フォタケ・イワナ (FOTACHE, Ioana)「肉を避ける人々:草食男子と無性愛」『Gender and Sexuality』第11号、国際基督教大学ジェンダー研究センター、2016年3月、175-204頁、CRID 1390009226273170304doi:10.34577/00004399ISSN 1880-4764 
  7. ^ Oxford English Dictionary オンライン版。2019年8月25日閲覧。
  8. ^ 『ジーニアス英和大辞典』大修館書店。ISBN 9784469041316 
  9. ^ a b c Margaret Jordan Halter; Elizabeth M. Varcarolis (2013). Varcarolis' Foundations of Psychiatric Mental Health Nursing. Elsevier Health Sciences. p. 382. ISBN 1-4557-5358-0. 2014年5月7日閲覧.
  10. ^ a b c DePaulo, Bella (September 26, 2011). "ASEXUALS: Who Are They and Why Are They Important?". Psychology Today. 2011年12月13日閲覧.
  11. ^ The American Heritage Dictionary of the English Language (3d ed. 1992), entries for celibacy and thence abstinence.
  12. ^ Sexual orientation”. American Psychological Association. 2024年11月4日閲覧。
  13. ^ LGBTIQ+ Equality and Rights: Internal Resource Guide”. UN Women (2022年5月1日). 2024年11月4日閲覧。
  14. ^ Scherrer, Kristin S (2008). “Coming to an asexual identity: Negotiating identity, negotiating desire”. Sexualities (Sage Publications Sage UK: London, England) 11 (5): 621-641. doi:10.1177/1363460708094269. PMC 2893352. PMID 20593009. https://doi.org/10.1177/1363460708094269. 
  15. ^ Anthony F. Bogaert,Understanding Asexuality,Rowman & Littlefield Pub Inc ,2012/8/9
  16. ^ a b c d e f g h i Prause, Nicole; Graham, Cynthia A (2007). “Asexuality: Classification and characterization”. Archives of sexual behavior (Springer) 36 (3): 341-356. doi:10.1007/s10508-006-9142-3. PMID 17345167. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17345167/.  ( 要購読契約)。 Archived from the original アーカイブ 2007年9月27日 - ウェイバックマシン(PDF) on September 27, 2007.
  17. ^ a b c d Melby, Todd (November 2005). "Asexuality gets more attention, but is it a sexual orientation?". Contemporary Sexuality. 39 (11): 1, 4–5. ISSN 1094-5725. Archived from the original アーカイブ 2015年11月6日 - ウェイバックマシン on November 6, 2015. Retrieved February 6, 2016 – via the Wayback Machine The journal currently does not have a website
  18. ^ a b c d e f g h Marshall Cavendish, ed. (2010). "Asexuality". Sex and Society. 2. Marshall Cavendish. pp. 82–83. ISBN 978-0-7614-7906-2. 2013年7月27日閲覧.
  19. ^ a b Swash, Rosie (February 25, 2012). "Among the asexuals". The Guardian. Retrieved 2013年2月2日閲覧.
  20. ^ a b c Kelemen, Erick. "Asexuality". Encyclopedia of Sex and Gender. Ed. Fedwa Malti-Douglas. Vol. 1. Detroit: Macmillan Reference USA, 2007. 103. Gale Virtual Reference Library. Web. May 2, 2016.
  21. ^ a b c Anthony F. Bogaert (2004). “Asexuality: Prevalence and associated factors in a national probability sample”. The Journal of Sex Research (Taylor & Francis) 41 (3): 279-287. doi:10.1080/00224490409552235. PMID 15497056. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15497056/. 
  22. ^ asexual.jp “日本でのAセクシャルの過去”. http://www.asexual.jp/history_japan.php asexual.jp 2018年3月17日閲覧。 
  23. ^ a b c d e f Karli June Cerankowski; Megan Milks (2014). Asexualities: Feminist and Queer Perspectives. Routledge. pp. 89–93. ISBN 1-134-69253-6. 2014年7月3日閲覧.
  24. ^ a b c Bogaert, Anthony F (2006). “Toward a conceptual understanding of asexuality”. Review of General Psychology (SAGE Publications Sage CA: Los Angeles, CA) 10 (3): 241-250. doi:10.1037/1089-2680.10.3.241. https://doi.org/10.1037/1089-2680.10.3.241. 
  25. ^ a b c Nancy L. Fischer, Steven Seidman (2016). Introducing the New Sexuality Studies. Routledge. p. 183. ISBN 1317449185. 2014年1月4日閲覧.
  26. ^ Yule, Morag A.; Brotto, Lori A.; Gorzalka, Boris B. (2015-03). “A validated measure of no sexual attraction: The Asexuality Identification Scale.” (英語). Psychological Assessment 27 (1): 148–160. doi:10.1037/a0038196. ISSN 1939-134X. http://doi.apa.org/getdoi.cfm?doi=10.1037/a0038196. 
  27. ^ a b Overview”. The Asexual Visibility and Education Network. 2019年11月23日閲覧。
  28. ^ a b c d e f Christina Richards; Meg Barker (2013). Sexuality and Gender for Mental Health Professionals: A Practical Guide. SAGE. pp. 124–127. ISBN 1-4462-9313-0. 2014年7月3日閲覧.
  29. ^ Westphal, Sylvia Pagan. "Feature: Glad to be asexual". New Scientist. Archived from the original on December 19, 2007. Retrieved 2007年11月11日閲覧.
  30. ^ a b Bridgeman, Shelley (5 August 2007). "No sex please, we're asexual". The New Zealand Herald. 2011年9月16日閲覧.
  31. ^ Yule, Morag A; Brotto, Lori A; Gorzalka, Boris B (2014). “Sexual fantasy and masturbation among asexual individuals”. The Canadian Journal of Human Sexuality (University of Toronto Press Incorporated) 23 (2): 89-95. doi:10.3138/cjhs.2409. https://doi.org/10.3138/cjhs.2409. 
  32. ^ a b c Carrigan, Mark (2011). “There’s more to life than sex? Difference and commonality within the asexual community”. Sexualities (Sage Publications Sage UK: London, England) 14 (4): 462-478. doi:10.1177/1363460711406. https://doi.org/10.1177/1363460711406. 
  33. ^ : aromantic
  34. ^ : biromantic
  35. ^ : heteroromantic
  36. ^ : homoromantic
  37. ^ : panromantic
  38. ^ Adler, Melissa (2010). "Meeting the Needs of LGBTIQ Library Users and Their Librarians: A Study of User Satisfaction and LGBTIQ Collection Development in Academic Libraries". In Greenblatt, Ellen. Serving LGBTIQ Library and Archives Users. North Carolina: McFarland & Company. ISBN 978-0-7864-4894-4.
  39. ^ Chasin, CJ DeLuzio (2013). "Reconsidering Asexuality and Its Radical Potential". Feminist studies. 39 (2): 405–426.
  40. ^ Carrigan, Mark; Gupta, Kristina; Morrison, Todd G. (2015). Asexuality and Sexual Normativity: An Anthology. Routledge. ISBN 978-0-415-73132-4.
  41. ^ Meg Barker (2012). Rewriting the Rules: An Integrative Guide to Love, Sex and Relationships. Routledge. p. 69. ISBN 0415517621. 2016年2月8日閲覧.
  42. ^ Shira Tarrant (2015). Gender, Sex, and Politics: In the Streets and Between the Sheets in the 21st Century. Routledge. pp. 254–256. ISBN 1317814762. 2016年2月8日閲覧.
  43. ^ a b Volkmar Sigusch. "Sexualitäten: Eine kritische Theorie in 99 Fragmenten". 2013. Campus Verlag[de].
  44. ^ Elżbieta H. Oleksy, Aleksandra M. Różalska, Marek M. Wojtaszek (2015). The Personal of the Political: Transgenerational Dialogues in Contemporary European Feminisms. Cambridge Scholars Publishing. p. 13. ISBN 1443884456. 2017年10月15日閲覧.
  45. ^ Abbie E. Goldberg (2016). The SAGE Encyclopedia of LGBTQ Studies. SAGE Publications. p. 92. ISBN 1483371298. 2017年10月5日閲覧.
  46. ^ Shira Tarrant (June 19, 2015). Gender, Sex, and Politics: In the Streets and Between the Sheets in the 21st Century. Taylor & Francis. pp. 278–. ISBN 978-1-317-81475-7.
  47. ^ "World Pride Toronto: Asexuals march in biggest numbers yet". thestar.com. 2014年10月6日閲覧.
  48. ^ Anneli, Rufus (June 22, 2009). "Stuck. Asexuals at the Pride Parade". Psychology Today. 2013年7月15日閲覧.
  49. ^ Money & Politics (9 January 2012). "Asexuality – Redefining Love and Sexuality". recultured. 2012年8月7日閲覧.
  50. ^ a b Justin J. Lehmiller (2017). The Psychology of Human Sexuality. John Wiley & Sons. p. 250. ;ISBN 1119164702. 2017年11月29日閲覧.
  51. ^ Smith, S. E. (August 21, 2012). "Asexuality always existed, you just didn't notice it". The Guardian. 2013年5月11日閲覧.
  52. ^ a b Kinsey, Alfred C. (1948). Sexual Behavior in the Human Male. W.B. Saunders. ;ISBN 0-253-33412-8.
  53. ^ a b c Kinsey, Alfred C. (1953). Sexual Behavior in the Human Female. W.B. Saunders. ;ISBN 0-253-33411-X.
  54. ^ Mary Zeiss Stange; Carol K. Oyster; Jane E. Sloan (February 23, 2011). Encyclopedia of Women in Today's World. SAGE Publications. p. 158. ;ISBN 978-1-4129-7685-5. 2013年7月27日閲覧.
  55. ^ Karli June Cerankowski; Megan Milks (2014). Asexualities: Feminist and Queer Perspectives. Routledge. p. 113. ISBN 1-134-69253-6. 2017年1月4日閲覧.
  56. ^ Storms, Michael D (1980). “Theories of sexual orientation.”. Journal of personality and social psychology (American Psychological Association) 38 (5): 783-792. doi:10.1037/0022-3514.38.5.783. https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/0022-3514.38.5.783. 
  57. ^ Storms, Michael D (1979). Sexual orientation and self-perception. Perception of emotion in self and others. Springer. pp. 165-180. doi:10.1007/978-1-4684-3548-1_7. https://doi.org/10.1007/978-1-4684-3548-1_7  ( 要購読契約) ISBN 978-1-4684-3548-1.
  58. ^ a b c Elisabetta Ruspini; Megan Milks (2013). Diversity in family life. Policy Press. pp. 35–36. ;ISBN 1447300939. 2017年1月4日閲覧.
  59. ^ a b Paula S. Nurius (1983). “Mental health implications of sexual orientation”. The Journal of Sex Research (Taylor & Francis) 19 (2): 119-136. doi:10.1080/00224498309551174. https://doi.org/10.1080/00224498309551174. 
  60. ^ Wellings, K. (1994). Sexual Behaviour in Britain: The National Survey of Sexual Attitudes and Lifestyles. Penguin Books.
  61. ^ a b c Catherine R.H. Aicken; Catherine H. Mercer; Jackie A. Cassell (2013-05-01). “Who reports absence of sexual attraction in Britain? Evidence from national probability surveys”. Psychology & Sexuality (Routledge) 4 (2): 121-135. doi:10.1080/19419899.2013.774161. ISSN 1941-9899. https://doi.org/10.1080/19419899.2013.774161. 
  62. ^ Anthony F. Bogaert (2015). “Asexuality: What It Is and Why It Matters”. The Journal of Sex Research (Taylor & Francis) 52 (4): 362-379. doi:10.1080/00224499.2015.1015713. PMID 25897566. https://doi.org/10.1080/00224499.2015.1015713. 
  63. ^ a b Aicken, Catherine R. H.; Mercer, Catherine H.; Cassell, Jackie A. (2015-09-07). "Who reports absence of sexual attraction in Britain? Evidence from national probability surveys". In Carrigan, Mark; Gupta, Kristina; Morrison, Todd G. Asexuality and Sexual Normativity: An Anthology. New York City, New York and London, England: Routledge. pp. 22–27. ISBN 978-0-415-73132-4.
  64. ^ a b c d e Bogaert, Anthony (2012). Understanding Asexuality. Lanham, Maryland: Rowman and Littlefield Publishers, Inc. pp. 36–39. ISBN 978-1-4422-0099-9.
  65. ^ Chasin, CJ DeLuzio (2013). “Reconsidering asexuality and its radical potential”. Feminist Studies (Feminist Studies, Inc.) 39 (2): 405-426. doi:10.1353/fem.2013.0054. https://muse.jhu.edu/pub/434/article/831751/summary. 
  66. ^ Brotto, Lori A.; Yule, Morag A.; Gorzalka, Boris B. (2015-03). “Asexuality: An Extreme Variant of Sexual Desire Disorder?”. The Journal of Sexual Medicine 12 (3): 646-660. doi:10.1111/jsm.12806. ISSN 1743-6095. https://doi.org/10.1111/jsm.12806. 
  67. ^ Karli June Cerankowski; Megan Milks (2014). Asexualities: Feminist and Queer Perspectives. Routledge. p. 246. ;ISBN 1-134-69253-6. 2014年7月3日閲覧.
  68. ^ Decker, Julie Sondra (2014). The Invisible Orientation: an Introduction to Asexuality. New York: Carrel Books.
  69. ^ Ray Over and Eric Koukounas (1995). “Habituation of Sexual Arousal: Product and Process”. Annual Review of Sex Research (Taylor & Francis) 6 (1): 187-223. doi:10.1080/10532528.1995.10559905. https://doi.org/10.1080/10532528.1995.10559905. ,Cited from: Kelly, Gary F. (2004). Sexuality Today: The Human Perspective (7 ed.). McGraw-Hill. p. 401. ;ISBN 978-0-07-255835-7.
  70. ^ Meyer, Doug (2017). “The disregarding of heteronormativity: Emphasizing a happy queer adulthood and localizing anti-queer violence to adolescent schools”. Sexuality research and social policy (Springer) 14 (3): 331-344. doi:10.1007/s13178-016-0272-7. https://doi.org/10.1007/s13178-016-0272-7.  ( 要購読契約)
  71. ^ Chasin, CJ DeLuzio (2015). “Making Sense in and of the Asexual Community: Navigating Relationships and Identities in a Context of Resistance”. Journal of Community & Applied Social Psychology 25 (2): 167-180. doi:10.1002/casp.2203. https://doi.org/10.1002/casp.2203. 
  72. ^ Morag A. Yule, Lori A. Brotto and Boris B. Gorzalka (2013). “Mental health and interpersonal functioning in self-identified asexual men and women”. Psychology & Sexuality (Routledge) 4 (2): 136-151. doi:10.1080/19419899.2013.774162. https://doi.org/10.1080/19419899.2013.774162. 
  73. ^ Yule, Morag A.; Brotto, Lori A.; Gorzalka, Boris B. (2013-09-18). “Biological Markers of Asexuality: Handedness, Birth Order, and Finger Length Ratios in Self-identified Asexual Men and Women” (英語). Archives of Sexual Behavior 43 (2): 299–310. doi:10.1007/s10508-013-0175-0. ISSN 0004-0002. http://link.springer.com/10.1007/s10508-013-0175-0. 
  74. ^ Garcia-Falgueras, Alicia; Swaab, Dick F (2010). “Sexual hormones and the brain: an essential alliance for sexual identity and sexual orientation”. Pediatric Neuroendocrinology (Karger publishers) 17: 22-35. doi:10.1159/000262525. ISBN 978-3-8055-9302-1. PMID 19955753. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19955753/. 
  75. ^ "Sexual orientation, homosexuality and bisexuality". American Psychological Association. 2013年5月30日閲覧.
  76. ^ MacInnis, Cara C; Hodson, Gordon (2012). “Intergroup bias toward “Group X”: Evidence of prejudice, dehumanization, avoidance, and discrimination against asexuals”. Group processes & intergroup relations (Sage Publications Sage UK: London, England) 15 (6): 725-743. doi:10.1177/1368430212442419. https://doi.org/10.1177/1368430212442419. 
  77. ^ a b c Mosbergen, Dominique (June 20, 2013). "Battling Asexual Discrimination, Sexual Violence, and Corrective Rape". Huffington Post. Retrieved August 2, 2013.
  78. ^ Gazzola, Stephanie B, and Melanie A. Morrison. "Asexuality: An emergent sexual orientation". Sexual Minority Research in the New Millennium.
  79. ^ Wallis, Lucy (January 17, 2012). "What is it like to be asexual?". BBC. 2014年1月1日閲覧.
  80. ^ a b Decker, Julie Sondra (2015). The Invisible Orientation: An Introduction to Asexuality. New York City, New York: Skyhorse Publishing. ISBN 978-1-5107-0064-2.
  81. ^ The Trevor Project - FAQ about asexuality, The Trevor Project website. 2018年4月4日閲覧.
  82. ^ “The A is Here to Stay” (英語). National LGBTQ Task Force Blog. (2013年4月30日). https://thetaskforceblog.org/2013/04/30/the-a-is-here-to-stay/ 2018年4月7日閲覧。 
  83. ^ Mosbergen, Dominique (2013年6月21日). “LGBT, Asexual Communities Clash Over Ace Inclusion” (英語). Huffington Post. https://www.huffingtonpost.com/2013/06/21/lgbt-asexual_n_3385530.html 2018年4月7日閲覧。 
  84. ^ Homosexuality is not deviant - Federal Council of Psychologists of Brazil Archived 2012年7月30日, at Archive.is[permanent dead link] (in Portuguese)
  85. ^ Psychiatrist Jairo Bouer talks about the "collateral effects" of "gay cure" bill Archived January 15, 2014, at the Wayback Machine. (in Portuguese)
  86. ^ The Sexual Orientation Non-Discrimination Act ("SONDA") (State of New York, Office of the Attorney General, Civil Rights Bureau, 2008)(possibly written after stated copyright date, Attorney General being stated as Eric T. Schneiderman)
  87. ^ Jackson, Stevi, and Sue Scott. Theorizing Sexuality. Maidenhead: Open UP, 2010. Web. May 2, 2016.
  88. ^ "Archie Comic Reveals Jughead Is Asexual". Vulture. February 8, 2016. 2017年12月14日閲覧.
  89. ^ a b Clark-Flory, Tracy (January 31, 2012). ""House" gets asexuality wrong". salon. 2017年9月8日閲覧.
  90. ^ "Is teenager Liv asexual in new Emmerdale storyline?". October 12, 2017. 2018年1月18日閲覧.
  91. ^ "'Shadowhunters' Confirms Raphael Is Asexual, Stays in Canon with Book Series". Hidden Remote. 2017-03-07. 2017年12月14日閲覧.
  92. ^ 関西クィア映画祭 プログラム2018年3月17日閲覧
  93. ^ 中山咲月オフィシャルブログ-無性愛LINEブログ2019年1月12日付
  94. ^ 大川恵実 (2018年12月8日). “性的欲望もたない「アセクシュアル」 恋愛経験なく自責の念も”. AERA. https://dot.asahi.com/articles/-/127052 2019年9月13日閲覧。 
  95. ^ Lehtonen, Kaisa (2018). NO ROMANTIC FEELINGS – ASEXUALITY IN JAPAN: 恋愛感情ない ・ 日本におけるアセクシャリティ (Master's thesis). University of Tampere.
  96. ^ 東京レインボープライド2017来場者アンケート調査」報告書』駒澤大学文学部社会学科社会学専攻 松信ひろみ研究室https://www.komazawa-u.ac.jp/news/files/20180511matsunobu.pdf2018年7月24日閲覧 
  97. ^ 博報堂DYグループの株式会社LGBT総合研究所、6月1日からのサービス開始にあたりLGBTをはじめとするセクシャルマイノリティの意識調査を実施』(レポート)博報堂DYグループ、2016年6月1日http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/05/HDYnews0601.pdf2018年3月27日閲覧 
  98. ^ 釜野さおり、石田仁、岩本健良、小山泰代、千年よしみ、平森大規、藤井ひろみ、布施香奈 ほか「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート報告書(単純集計結果) JSPS 科研費 16H03709」、国立社会保障・人口問題研究所内「性的指向と性自認の人口学―日本における研究基盤の構築」・「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム、2019年、2019年11月23日閲覧 
  99. ^ 柿沼賢治、布施木誠「性的マイノリティにおける無性(Aセクシャル)概念の可能性:Aセクシャル論文のレビュー」『聖マリアンナ医学研究誌』第11巻第86号、聖マリアンナ医学研究所、2011年、21-25頁、NAID 40018754057 
  100. ^ 柿沼賢治、布施木誠「Aセクシャルにおける量的研究について:Aセクシャル論文のレビューⅡ」『聖マリアンナ医学研究誌』第13巻第88号、聖マリアンナ医学研究所、2013年、45-53頁、NAID 40019664040 
  101. ^ 「初恋ナイ、男ニモ女ニモ性欲ワカナイ、体触ラレタクナイ… 「無性愛者」誤解しないで」『北陸中日新聞』2013年1月16日。
  102. ^ 「(男が生きる 女が生きる)性は男と女だけじゃない 「らしさって?」記事に反響」『朝日新聞』2014年11月16日、朝刊。
  103. ^ 恋愛感情を持たないアセクシャル、専門家「どちらも幸せなら直す必要はない」”. HUFFINGTONPOST (2018年1月12日). 2018年3月17日閲覧。
  104. ^ 桐生先生は恋愛がわからない。”. 小学館 eコミックストア. 2020年3月18日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集


  NODES
3d 1
Association 3
Community 3
ELIZA 1
Intern 1
iOS 1
mac 4
os 14
text 1
Theorie 2
Users 2
web 4