製材

丸太を板や角材などの木材に加工すること

製材(せいざい、: Hewing )とは、第1に、林業(Forestry)・木材産業(Wood industry)において原木(Log / Stem)などのを角材や板材に加工すること [注釈 1][注釈 2]。 この意味で、製材工などともいう [注釈 3]

現代の大型機械による製材の様子。丸太から角材が切り出されようとしている。
ヨーロッパの古典的製材技術で加工された木材の表面/スウェーデンヘルシングランド地方にある Stråsjö kapellStråsjö 村のキリスト教会)は古来の技術で再建されたもので、外壁は全面的にこの技術が用いられている。

製材業(Lumber industry / 米国及びカナダは Lumbering)においては、製材業者(Lumberman / Timberman)は、製材所(Sawmill / Lumbermill)を所有し経営して、製材工(Hewer)を雇用し、製材品(Plain-sawn timber / Sawn timber / Lumber)を製造する [注釈 4]

日本語では古来は、原木や大型の木材から必要な寸法・品質の木材を製材することを動詞で「木取木取る」(きどる)、名詞で「木取/木取り」(きどり)といった [注釈 5] [注釈 6]

第2には、丸太や原木を切削加工して寸法を調整した木材製品、すなわち製材品をいう [注釈 7]。この対義語は、伐採前から伐採直後の木、すなわち原木である[注釈 8]

道具

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21世紀の日本においては、一般の製材所では、送材車と「本機」と呼ばれる大型機械の帯鋸盤(おびのこばん)[注 1]を使う。フォークリフトで台車装置のある「番台」と呼ばれる所へ丸太を運び、送材車に載せて帯鋸で板や角材に加工する。レールの上を前後する台車に材料を置くことで一定の厚みが決まり、精度の高い直線挽きを加工できる。

  • 1. 中世ヨーロッパにおける製材で多く用いられた、ヨーロッパ型の斫斧(はつりおの)/日本語でいうところの「ブロードアクス」、英語でいう broadaxe(ブローダクス)、ドイツ語でいう Breitbeil(ブライトバイル)、フランス語でいう doloire de charpentier(ドロワ・ドゥ・シャルパンティエ。意:大工の斧)。
  • 2. 古代ローマ水力式の木製鋸機械(のこぎり きかい)の再現模型/スロベニアのジェレズニキ博物館 (cf. en:Železniki) の展示物。タイプは帯鋸盤(おびのこばん)。
  • 3. 古代ローマ・水力式の木製鋸機械の図説/水車の回転動力をクランクへと伝え、クランクが帯鋸を前後に動かす、その力で木材を切断する。
  • 4. ヨーロッパ型の大鋸(仏語・英語:scieur de long)を使った製材/フランス中東部のフォレ英語版[注 2]にて、1900年撮影。
  • 5. 1880年代ドイツ製の鋸機械(のこぎり きかい。ドイツ語:Sägemaschinen〈日本語音写例:ゼーゲマシーネン〉)/タイプは丸鋸盤(まるのこばん)[注 3]
  • 6. 帯鋸盤の帯鋸のブレード
  • 7. 製材所関連での木材運搬用に特化したホイールローダー。車種はボルボ L90E。

製材所の歴史

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製材所(せいざいしょ、せいざいじょ)とは、製材する場所や工場をいう[13][注 4]。 英語の場合、イギリス英語では "sawmill" [3]といい、主にアメリカ英語では "lumbermill" [3]という。

20世紀以降の日本の場合、木材生産が盛んに行われていた時期、林野庁の主導により、国有林によって豊富に供給されていた頃は、全国の営林署と共に小規模な製材所がどこの都市にも見られたが、1970年代の輸入材の拡大やプレハブ工法の拡大により、年々加工量が減少しつつあることなどにより、年々減少しつつある。国産材の原木から製品まで一貫して製材を行うメーカー、輸入材の加工のみを行うメーカーなど、業態が細分化している。

  • 1. 日本の京都市北区北山「杉の里」の中川地区にある製材所(倉庫と作業場)。背後の山の斜面では北山杉が育成されている。
  • 2. ヒューズビーブローク (Huseby bruk) スウェーデンクロノベリ県アルヴェスタ市 (en) グリムスロヴ (en) 地区のヒューズビー (sv:Huseby) にある製材所(製材工場)で、観光名所になっている。

製材の風景

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製材の事故・事件

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製材業者と合法木材供給者認定制度

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特筆性のある業者について記載する。

日本

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合法木材供給事業者の認定制度としては、各地域の木材産業共同組合が連合した各都道府県の木材(産業)共同組合連合会が認定団体となっている[16]

カナダ

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日本での合法木材供給事業者認定団体としては、東京都にケベック木材製品輸出振興会(QWEB)が置かれており、2024年現在は14社が認定登録されている。

アメリカ合衆国

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日本での合法木材供給事業者認定団体として、大阪府にアメリカ広葉樹輸出協会が置かれており、2024年現在は58社が認定登録されている[18]

アメリカへの輸出については、改正レイシー法(2008年)の施行により、米国法あるいは外国法に違反して取得・輸送・売買された木材および木材由来製品は、国際間取引、州間取引を問わず取引が規制される[19]

EUでの木材・木材製品取引については、EU木材規則(EUTR)を拡大したEU森林破壊防止規則(EUDR)が2023年6月に発効しており、他国国内で合法であっても森林破壊に関与して製造されたものについては取引が規制されることになっている[20]。2024年12月30日から大企業に、2025年6月30日から中小企業に対して適用開始[21]

関連項目

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脚注

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注釈
  1. ^ イギリス英語ではSawingともいう(日本語音写例:サーイング、ソーイング。ただ「サーイング」の外来語化は確認できない。「ソーイング」は日本語では「縫製」を意味する "Sewing" が外来語として固定化しているため、「製材」の意味で用いられる可能性は低い)[1][2][3][4]。 アメリカ英語では、Lumbering(日本語音写例:ランバリング。[3]
  2. ^ 史料における「製材」の用例としては宮嶋資夫『金』(1926年刊)一七がある。「製材(セイザイ)工は重さうなその木材を巧にさばいて」[5]
  3. ^ 用例[5][6][7][6][7][5][8][2][9][1]
  4. ^ 用法[3][1]
  5. ^ 史料における用例:松平家忠家忠日記』文祿2年(1593年)6月5日江戸にたて候こさしき木取候」[10]
  6. ^ 史料における用例:俳諧撰集『曠野』(1689年刊)二「月花の初めは琵琶の木どり哉 ──釣雪」[10][10][11]
  7. ^ 用例[6][7][8][2][9][1]
  8. ^ 第2義として上述したように「製材」のままでその意味をもつが、添える「品」が限定詞的に働く[12]
  1. ^ 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. “帯鋸盤”. コトバンク. 2019年12月17日閲覧。
  2. ^ フォレ (Forez) はフランスの旧州であり,現代のロワール県の中央部、および、オート=ロワール県ピュイ=ド=ドーム県の一部に相当する地域。
  3. ^ 『精選版 日本国語大辞典』. “丸鋸盤”. コトバンク. 2019年12月17日閲覧。
  4. ^ 史料における用例:『中外商業新報』1906年(明治39年)8月31日「鉄道に三百五十万円、製材所設置費に百万円、其他の経費五十万円」[13]
出典
  1. ^ a b c d 平凡社『世界大百科事典』第2版. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  2. ^ a b c 山岸清隆、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  3. ^ a b c d e 小学館『プログレッシブ英和中辞典』第3版. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  4. ^ 平凡社『世界大百科事典』第2版. “sawing”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  5. ^ a b c 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  6. ^ a b c 小学館『デジタル大辞泉』. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  7. ^ a b c 三省堂大辞林』第3版. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  8. ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  9. ^ a b 平凡社百科事典マイペディア』. “製材”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  10. ^ a b c 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “木取”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  11. ^ 木取り”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  12. ^ 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、『デジタル大辞泉』、『精選版 日本国語大辞典』. “原木”. コトバンク. 2019年12月17日閲覧。
  13. ^ a b 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “製材所”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  14. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、96頁。ISBN 9784816922749 
  15. ^ 加茂市教育委員会市史編纂室 (2000年10月). “『かも市史だより』平成12年10月号” (PDF). 公式ウェブサイト. 加茂市. 2019年12月17日閲覧。
  16. ^ 合法木材ナビ「地域を限定して事業者認定する団体名簿(一般木材団体)」
  17. ^ "B.C. forests minister leads trade mission to Japan"(ブリティッシュ・コロンビア森林大臣、日本との取引業務を推進)。2023年12月7日。Business Intelligence for B.C.
  18. ^ 木材合法ナビ「アメリカ広葉樹輸出協会」
  19. ^ JETRO「木製家具の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出」
  20. ^ 「日本も直撃?EU森林破壊防止規則の破壊力」
  21. ^ JETRO「欧州委、森林破壊防止デューディリジェンス規則の適用開始に向け準備進める」。2024年3月27日。

参考文献

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外部リンク

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